「メビウスの帯」ともいわれる。細長い矩形の紙片やリボンを一度ねじって端を貼り合わせることで生じる環。表裏のない面で、位相幾何学上重要なものである。
「メビウスの帯」の形状を決定するのはエネルギー密度がそれぞれ異なる場所だという。「エネルギー密度」とは、蓄積された弾力性エネルギーのことで、「メビウスの帯」を作るときにひねりが入ることで帯の中に含まれる。帯がもっとも激しくねじれているところはエネルギー密度が最大になり、逆に、もっとも平らでねじれがない部分はエネルギー密度も最低になる。
もし帯の幅が長さに比例して広くなれば、エネルギー密度の存在する場所も移動し、その結果、形状も変化する。帯の幅が広いほど、ほとんど平らな「三角地帯」が帯上に形成され、これは紙がくしゃくしゃに丸められた状態と同じである。
機械の回転用ベルトは、一度ひねってメビウスの帯状にすることで、偏った摩擦の影響を消去できるように工夫されているものがある。
また、特定の構造物に力が加わったときどこで裂けるかを予測することが可能になり、薬学における新薬開発モデルにも貢献している。