概要
多くのビデオチップ開発メーカーがひしめき合っていた時期において、NVIDIAは「開発スピードの速さ」という点で突出していた。
同社のグラフィックアクセラレータ製品はGeForceをベースに、ノートパソコン向けに『GeForce Go(8世代からはGeForce M)』シリーズ、ワークステーション向けにOpenGL処理を向上させた『Quadro』シリーズを展開している。
GeForceシリーズはその名称でビデオチップの大まかな相対性能を知る事ができる。なお、2008年6月17日発表のGeForce GTX 200シリーズより従来のGeForce4 Tiシリーズから使われていた命名規則を一新した。 これまでの命名規則では最後に置かれていた、性能指標であるアルファベットを前に置きクラスを表すものとし、後の三桁の内、最初の一桁で世代を、残り二桁の数字でその世代での性能差を表している。
具体例を挙げると「GTX 260」ならば GTX→クラス 2→世代 60→性能指標である。
歴代の製品
デスクトップPC向け
GeForce 256
GeForce 256は、NVIDIAが開発したGeForceシリーズ初の製品である。1999年8月31日発表。開発コードネームは NV10
同社のビデオチップ製品 RIVA シリーズの後継製品で、DirectX 7に対応。これまでCPUで行っていたT&L処理を実行する機能を備えており、こうした製品は総括して GPU (Graphics Processing Unit)と呼ばれるようになった。最大128MBまでのビデオメモリ容量、SDR(シングルデータレート)のSDRAM/SGRAMに対応していたが、後にDDR(ダブルデータレート)に対応した。前世代のハイエンドRIVA TNT2 Ultraと比較すると、コアクロックやメモリクロックは低下しているものの、Riva TNT2の二倍の4パイプラインのレンダリングエンジン、二基のジオメトリエンジンを搭載しており、性能が大幅に向上した。また、チップの集積トランジスタ数は2,300万、3D計算能力は50Gflops、製造プロセスが0.22μmとなっている。
当時、最大のライバルであった3dfxに対し、事実上勝利した事を印象づけた製品でもある。
GeForce 256[Core:120MHz Mem:150(SDR版)/300MHz(128bit)]
GeForce2 GTS
GeForce 256に改良を加え、テクセルフィルレートは1ギガテクセル毎秒を突破(GeForce 256の実に3倍以上を達成)。製品に与えられた GTS とは、ギガテクセルシェーダ (Giga Texel Shader)を意味している。後に、GeForce2 GTSのコア、メモリクロックを向上させた GeForce2 Ultra(ジーフォース・ツー・ウルトラ)、メモリクロックのみ向上させた GeForce2 Proが発売された。 元々、NV15は設計段階からメモリクロック400MHzに対応していたが、GeForce2 GTS発売時にはクロックが333MHzのメモリしか調達できなかった為、スペック的に制限がかかっていた。製造プロセスは0.18μm、集積トランジスタ数は2,500万となっている。
GeForce2 GTS[Core:200MHz Mem:333MHz(128bit)]
GeForce2 Pro[Core:200MHz Mem:400MHz(128bit)]
GeForce2 Ultra[Core:250MHz Mem:460MHz(128bit)]
GeForce2 MX
eForce2シリーズの廉価製品である。GeForce 256の製造プロセスルールを0.18μmに微細化したもの。パイプラインを2つ減らし、メモリバスを半分に抑える事によってコストを抑えている。 性能的には前世代のハイエンドグラフィックボードであるGeForce 256とほぼ同じであり、人気を集めた。派生としてGeForce2 MX 200とGeForce2 MX 400が発売された。GeForce2 MXの対応メモリは64か128bitのSDRメモリ、64bitのDDRメモリであるが、GeForce2 MX 200は64bitのSDRメモリのみ、GeForce2 MX 400は128bitのSDRメモリ、64bitのDDRメモリに対応している。
GeForce2 MX 200[Core:175MHz Mem:167MHz(64bit,SDR)]
GeForce2 MX[Core:175MHz Mem:333MHz(64bit,DDR)]
GeForce2 MX 400[Core:200MHz Mem:333MHz(64bit,DDR)]
GeForce2 Ti
GeForce3シリーズ発売後に、GeForce Titaniumシリーズとして発売された廉価製品である。GeForce2 Ultraを置き換える製品であるが、スペックはメモリクロック以外は同一のものである。性能もメモリクロック低下分だけ落ちる。
GeForce2 Ti[Core:250MHz Mem:444MHz(128bit)]
GeForce3
GeForce3(ジーフォース・スリー)は、GeForceシリーズの第三世代製品である。2001年の2月に発表された。開発コードネームは NV20。 バーテックスシェーダ・ピクセルシェーダー nfiniteFX を搭載し、DirectX 8に対応。 最初にGeForce3が発売され、その後GeForce Titaniumシリーズとして、GeForce3 Ti 500、GeForce3 Ti 200が発売された。 これらはGeForce3のそれぞれ高クロック、低クロック版であり、オーバークロックすることで上位版とほぼ同じ性能となることから、GeForce3 Ti 200が人気を集めた。製造プロセスは0.15μm、集積トランジスタ数は5,700万となっている。
マイクロソフトのゲーム機XboxにはGeForce3相当のGPUを統合したチップセットが採用されている。
GeForce3 Ti 200[Core:170MHz Mem:400MHz(128bit)]
GeForce3[Core:200MHz Mem:460MHz(128bit)]
GeForce3 Ti 500[Core:240MHz Mem:500MHz(128bit)]
GeForce4
GeForce4 Ti
GeForceシリーズの第四世代製品である。2002年の2月に発表された。 開発コードネームは NV25。
GeForce3を大幅に改良した製品であり、アンチエイリアス機能が強化された。人気オンラインゲーム (MMORPG)、ファイナルファンタジーXIをプレイするために、手頃な価格ながら十分な性能を有していたローエンド製品 GeForce4 Ti 4200 に人気が集中した。 GeForce4 Ti 4800とGeForce4 Ti 4800 SEはそれぞれGeForce4 Ti 4600とGeForce4 Ti 4400をAGP 8Xに対応させた製品であり、仕様では変化していない。製造プロセスは0.15μm、集積トランジスタ数は6,300万となっている。
GeForce4 Ti 4200[Core:250MHz Mem:250MHz(128bit)]
GeForce4 Ti 4400[Core:275MHz Mem:500MHz(128bit)]
GeForce4 Ti 4600[Core:300MHz Mem:650MHz(128bit)]
GeForce4 Ti 4800 SE[Core:275MHz Mem:500MHz(128bit)]
GeForce4 Ti 4800[Core:300MHz Mem:650MHz(128bit)]
GeForce4 MX
GeForce4世代の廉価版製品である。開発コードネームは NV17。製品名ではGeForce4シリーズの一製品であるが、コードネームはGeForce2 MXのNV11に次ぐものであり、事実上GeForce2 MXの改良版といった位置づけの製品である。GeForce2 MXと比べ、コアクロックとメモリクロックが引き上げられ、メモリバス幅も最大128bitに拡張(一部64bitの製品もある)され、「Lightspeed Memory Architecture II」というGeForce4 Tiシリーズにも採用されているビデオメモリの帯域幅をより効率よく使うための機能を搭載しているため、GeForce2 MXより、およそ倍の性能になっている。また、製造プロセスが0.18μmから0.15μmに微細化した事により消費電力や発熱の低減もあった。しかし、GeForce4 Tiシリーズとは違い、DirectX 8の技術の一つであるピクセルシェーダーに対応しておらず、実質的にはDirectX 7世代のカードである。GeForce4 MXシリーズはAGP2.0(4X)対応であったが、AGP3.0(8X)対応のGeForce4 MX 440 With 8Xも販売された。また、メモリチップの容量の対応を増やした、 GeForce4 MX 4000という製品も発売された。この製品の命名規則は他のGeForce4 MXシリーズと異なっており、GeForce4 Tiシリーズの命名規則を当てはめたものと推察できる。
GeForce4 MX 420[Core:250MHz Mem:166MHz(64bit,SDR)]
GeForce4 MX 440[Core:270MHz Mem:400MHz(128bit)]
GeForce4 MX 440 With AGP 8X[Core:270MHz Mem:500MHz(128bit)]
GeForce4 MX 4000[Core:275MHz Mem:400MHz(128bit)]
GeForce4 MX 460[Core:300MHz Mem:550MHz(128bit)]
GeForce FX
GeForce FX(ジーフォース・エフエックス)は、GeForceシリーズの第五世代製品である。発表は2002年の11月である。
第5世代でありながらGeForce5でなくGeForce FXとなっているのは、買収した3dfxの技術が導入されていることによる。ただし、NVIDIAのドライバダウンロードサイトでは、GeForce 5 FXという表記になっている。
VLIWのプログラマブルシェーダを搭載し、DirectX 9に対応。NVIDIA拡張として、DirectX 9.0aに対応。OpenGLは、2.0に対応する。
特徴的なデザインとして、ピクセルシェーダーは非常に高いクロックで駆動する1機のみであり、シェーダーの演算結果を出力するROPも全モデルで4本しかない(当時の表現で4ピクセルパイプ)、という点が挙げられる。高速な1機のピクセルシェーダの演算結果を、4本のROPに順次流し込むというデザインは、シェーダユニットの動作やバスアクセスタイミングが、全て同時に行われるわけではない点に着目している(CPUでのスーパーパイプライン処理に類似する)。したがって、最上位の5900系から最下位の5200まで、ピクセルパイプとしては全て4本である。最上位のFX 5900/5800系列は、仮想8パイプ相当と公称されているが、この数値が達成されるのは、カラー・Z圧縮が最大限に効いた場合である。
また、DirectX 9.0では、実質的にATIがリファレンスデザインであり、これら、実数バッファ、MRT、テセレータと言った機能は、ATIのGPU自身でも実用には殆ど使われなかったが、実数フォーマットに関しては、FXでもハード的にサポートしているとコメントしつつ、対応ドライバを出す事は無かった。結局、対応したのは、後継製品のGeForce 6が発売された後であり、実数テクスチャのみ対応がなされた。この時期は、NVIDIAの対応が非常に消極的だったため、商品サイクル終了まで、FXは劣勢に立たされたままだった。
商品としては、殆ど良い点が無かったFXであるが、シェーダリソースの動的な管理、ピクセルシェーダでのテクスチャの扱いにほぼ制限が無い点、DirectX 10で正式に導入された指数付き整数フォーマット(ERGB)をサポートした、など技術的には見るべき点もあった。
この世代より、GPUの消費電力の増大とともにその冷却手段が課題となっていった。特に、ハイエンドモデル、さらに最初に発売される製品は製造プロセスルールが1世代古いものでハイエンドとして発売されることから、発熱は巨大なものとなっている。その多大な発熱を処理するため、高性能製品には大きな冷却機構を必要とするようになった。なお、5200、5500シリーズが150nm(0.15μm)、それ以外の製品では130nm(0.13μm)の製造プロセスで生産された。集積トランジスタ数は5200、5500が4,500万、5600、5700が8,000万、5800が1億2,500万、5900、5950が1億3,000万となっている。
Windows XP用のデバイスドライバは、バージョン175.19でサポートが終了した。Windows Vistaに関しては、当初は対応が予定されていたが、RTM版(6000以降)用のバージョン96.85のβドライバが存在するのみ。なお、このVista用βドライバは、パフォーマンスが非常に低く、また細かいバグが残っているが、FXファミリのサポートが終了した為に、更新予定は無い。
また、FXファミリの派生として、PCI Expressバスに対応したGeForce PCXシリーズも2004年2月18日に発表された。これは市場に出た初めてのPCI Express対応ビデオカードであるが、AGPネイティブ対応であるGeForce FXに、PCI Express high-speed interconnect(PCX HSI)と呼ばれるブリッジチップを載せる事でPCI Expressバスに対応したものであり、PCI Expressネイティブ対応はGeForce 6シリーズからになる。
GeForce FX 5200
GeForce FX 5200 SE
GeForce FX 5200 [Core:250MHz Mem:400MHz(128/64bit)]
GeForce FX 5200 Ultra [Core:325MHz Mem:650MHz(128bit)]
GeForce FXシリーズのローエンド向けモデル。開発コードネームは NV34。新世代GPUであるが、プログラマブルシェーダを用いない場面での性能の面では前世代のGeForce 4 Ti 4200に劣る。
GeForce FX 5500
GeForce FX 5500 [Core:270MHz Mem:400MHz(128/64bit)]
FX 5200の後継。実質的には、GeForce FX 5200の高クロック品である。開発コードネームは NV34。
GeForce FX 5600
GeForce FX 5600 SE [Core:230MHz Mem:400MHz(128bit) ]
GeForce FX 5600 XT [Core:325MHz Mem:550MHz(64bit)]
GeForce FX 5600 [Core:325MHz Mem:550MHz(128bit)]
GeForce FX 5600 Ultra [Core:350/400MHz Mem:700/800MHz(128bit)]
GeForce FXシリーズのメインストリーム向けモデル。開発コードネームは NV31。
GeForce FX 5700
GeForce FX 5700 LE [Core:250MHz Mem:800MHz(128/64bit)]
GeForce FX 5700 [Core:425MHz Mem:メーカーに依存(800MHz程度)(128bit)]
GeForce FX 5700 Ultra [Core:475MHz Mem:900MHz(128bit)]
GeForce FX 5600シリーズの後継モデル。実装されている付加機能の関係から、設計そのものは、FX 5900系を下敷きにしているとされる。開発コードネームは NV36。
GeForce FX 5800
GeForce FX 5800 [Core:400MHz Mem:800MHz(128bit)]
GeForce FX 5800 Ultra [Core:500MHz Mem:1000MHz(128bit)]
GeForce FXシリーズの最初の製品でハイエンド向けモデル。開発コードネームは NV30。
これまでにない冷却機構 FX Flow(エフエックス・フロー)を搭載していたが、動作音の大きさから不評を買った(アメリカなどではダストバスターと呼ばれていた)。FX Flowは、拡張ブラケットスペースを2個占有し、シロッコファンを用いて機外より外気を吸入して機外に排出するというもの。ちなみに、FX 5900の発表会ではNVIDIAのスタッフ自らがFX 5800をドライヤー代わりに使ったり、FX 5800の熱をコーヒーやバーベキューに利用したりといった、自虐的なジョークビデオが流された[脚注 1]。なお、FX 5900発表後は、NVIDIAのWebからも存在が抹消された。しかしその後、高性能グラフィックカードで大型ファンを搭載した製品が大半を占めるようになっている。
GeForce FX 5900
GeForce FX 5900 XT [Core:390MHz Mem:700MHz(256bit)]
GeForce FX 5900 SE [Core:350MHz Mem:700MHz(256bit)]
GeForce FX 5900 [Core:400MHz Mem:850MHz(256bit)]
GeForce FX 5900 Ultra [Core:450MHz Mem:850MHz(256bit)]
GeForce FX 5800シリーズの後継モデル。開発コードネームは NV35。
FX Flowではなく、5900シリーズではコアクロックとメモリクロックを下げ、従来の冷却機構に戻している。ただし、GPUの設計がリファインされ、メモリバスの幅が2倍になった事もあり、トータルでの性能は変わらない(ベンチマークでは若干性能が改善されている)。しかし一部のメーカーでは冷却に余裕を持たせる為に隣の拡張スロットにはみ出すような形状のものが多かった。
GeForce PCX
GeForce PCX 5300 [Core:250MHz Mem:400MHz(128bit)]
GeForce PCX 5750 [Core:425MHz Mem:500MHz(128bit)]
GeForce PCX 5900 [Core:400MHz Mem:850MHz(256bit)]
PCI Expressに対応したFXファミリ製品。ブリッジチップによる対応である。 PCX 5300はFX 5200と同じNV37、PCX 5750はFX 5500と同じNV34、PCX 5900は FX 5900と同じ、NV35チップを使用している。
GeForce 6 Series
GeForce 6 Series(ジーフォース・シックス・シリーズ)は、GeForceシリーズの第六世代製品群である。2004年4月14日発表。 スーパースカラーのプログラマブルシェーダを搭載し、DirectX 9及び拡張版の9.0cに対応。PCI ExpressとAGPの両方に対応するアーキテクチャ。シェーダを動画再生支援に利用する PureVideo(ピュアビデオ)を搭載。PCI Express版のハイエンドモデルには2枚のビデオカードを特殊なブリッジコネクタで直結することで実現するマルチGPU技術 SLI(エスエルアイ)、ローエンドモデルにはメインメモリの一部をVRAMとして割り当て共有する TurboCache(ターボキャッシュ)が搭載されている。製造プロセスはNV42コアの6800シリーズ、NV43コア、NV44コアを採用した6200、6500、6600シリーズは110nm、それ以外は130nmプロセスとなっている。集積トランジスタ数はNV40、NV45コアが2億2,200万、NV41、NV42コアが1億8,600万、NV43コアが1億4,600万、NV44コアが7,700万となっている。NVIDIAはGeForce 6シリーズのアーキテクチャ名をCineFX 3.0としている。
GeForce 6150/GeForce 6100
AMD向けチップセット、GeForce 6100/nForce 400シリーズのノースブリッジ。GPU部は6200系のものを使用している。
GeForce 6200
GeForce 6200 NV43V (110nm) 300MHz(300MHz) 550MHz (128bit) 4 3 × -W 9.0c
GeForce 6200 TC NV44 (110nm) 350MHz(350MHz) 700MHz (64bit/32bit) 4 3 × -W 9.0c
GeForce 6200 A NV44A (110nm) 300MHz(300MHz) 500MHz (128/64bit) 4 3 × -W 9.0c
GeForce6シリーズのローエンド向けモデル。それまでのGeForceローエンドチップに比べて3D描画性能が大きく底上げされており、前世代のミドルレンジ並みの性能を発揮する。 NVIDIAの公式呼称はいずれもGeForce 6200であるが、3種類のコアがある。
NV43V
当初はローエンド専用モデルが開発されていなかったため、メインストリーム向けモデルであるGeForce 6600(NV43)の機能を一部殺した廉価版を投入。PCI Expressネイティブコアであり、AGPにはブリッジで対応。メモリ最大容量は256MB。
NV44
PCI Expressの双方向性を生かし、ビデオメモリを削減してメインメモリで代用することでシステム全体の価格を引き下げるターボキャッシュ(TC)技術を搭載した製品。PCI Express専用。メモリ最大容量は64MB。
NV44A
AGP接続にブリッジを用いないAGPネイティブコアであり、AGP専用。通称GeForce 6200A。
※もう、ギブアップ、ほかの人執筆お願い!!