概要
多くのビデオカード開発メーカーがひしめき合っていた時期において、NVIDIAは「開発スピードの速さ」という点で突出していた。
同社のグラフィックアクセラレータ製品はGeForceをベースに、ノートパソコン向けに『GeForce Go(8世代からはGeForce M)』シリーズ、ワークステーション向けにOpenGL処理を向上させた『Quadro』シリーズを展開している。
命名規則
GeForceシリーズはその名称でビデオチップの大まかな相対性能を知る事ができる。なお、2008年6月17日発表のGeForce GTX 200シリーズより従来のGeForce4 Seriesから使われていた命名規則を一新した。これまでの命名規則では最後に置かれていた、性能指標であるアルファベットを前に置きクラスを表すものとしている。具体例を挙げると以下のとおりである。
- 先頭の英字
TITAN | ハイエンドの中でもさらに最上位クラスの製品 |
---|---|
RTX | リアルタイムレイトレーシング対応の通常モデル |
GTX | リアルタイムレイトレーシング非対応の通常モデル |
GT | 低価格帯(ローエンド)のモデル(ファンレスが多い) |
かつては無印(最下位モデル)やGTS(ミドルレンジ)などがあったが、2021年現在は使用されていない。
また、最新の30番台であるGTX1630はローエンドだが、GTではなくGTXブランドが使われた。
- 数字部分
- 数字3桁の場合は左1桁目、数字4桁の場合は左1-2桁目:世代番号を表す。
- 数字3桁の場合は左2桁目、数字4桁の場合は左3桁目:性能区分を表す。
性能区分 | 説明 |
---|---|
90/TITAN | ハイエンド(最上位モデルで、SLI対応が多い。) |
80 | 〃 |
70 | ハイクラス(上位モデルで、その時点の主要3Dゲームの殆どが最高設定で動作可能) |
60 | ミドルレンジ(中間モデルで、その時点の主要3Dゲームの殆どが動作可能) |
50 | 〃 |
40 | エントリークラス(準下位モデルで、価格が安い代わりに性能は控えめ) |
30 | 〃 |
20 | ローエンド(下位モデルで、CPUの内蔵GPUと互角か少し高い程度の性能) |
10 | 〃 |
- 最後尾の英字
Ti、SUPERがついている場合がある。性能はTi≧SUPER>無印。
2024年にはRTX4000シリーズにTi superが爆誕した。
性能はTi suqer≧Ti≧SUPER>無印。
歴代の製品
ここでは2023年現在サポート継続中の世代、および国内の自作パソコン市場に流通しているモデルのみ掲載する。
GeForce 900シリーズ
アーキテクチャ…Maxwell(第2世代)
製造…28nmプロセス
2014年後半から発売された製品群で、新たなメモリ圧縮技術を採用しメモリのアクセス効率が高まったバージョンである。
アーキテクチャは前世代(GeForce 700シリーズ)で採用されたMaxwellの改良版であり、4画面の4Kモニタの60Hz表示に対応する。
余談だが、ニンテンドースイッチに搭載されているGPUは、この世代のものが採用されている。
- GTX TITAN X
- GTX 980 Ti
- GTX 980
- GTX 970
- GTX 960
- GTX 950
GeForce 10シリーズ
アーキテクチャ…Pascal
製造…16・14nmプロセス
2016年から発売された製品群で、新プロセス採用によって、消費電力の増加を抑えながらコアクロックが大幅に引き上げられた。16nmはTSMC、14nmはSamsungで製造。
上位モデルでは新たなメモリ規格のGDDR5Xメモリの採用により、メモリ帯域が向上している。
この世代からアナログ映像信号出力は廃止された。
余談だが、後続のRTX30シリーズが品薄になった際にGTX1050Tiが再生産されたことがある。旧世代のGPUが再生産されるのは極めて珍しいことで、話題になった。
- NVIDIA TITAN Xp
- NVIDIA TITAN P
- GTX 1080 Ti
- GTX 1080
- GTX 1070 Ti
- GTX 1070
- GTX 1060 (6GB/3GB)
- GTX 1050 Ti
- GTX 1050 (3GB/2GB)
- GT 1030
GeForce 20/16シリーズ
アーキテクチャ…Turing
製造…12nmプロセス
2018年後半より発売されているシリーズ。20シリーズは新たにリアルタイムレイトレーシング(即時光線追跡)が追加され、メモリもGDDR6となっている。型番表記もGTXからRTXに変更され、ミドルクラス以上のみ発売されている。
2019年からは廉価版の16シリーズが発売。20シリーズの一部機能を無効化し価格を抑えたモデルとなっている。
今世代から無印版とTiの間にSUPERというグレードが登場している。また、64ビットOSのみサポートとなった。
余談だが、後続の30シリーズがマイニング需要によって品薄になった際にRTX2060が再生産されたことがある。RTX2060の12GBモデルが2021年末になって登場したのはそのためである。
- NVIDIA TITAN RTX
- RTX 2080 Ti
- RTX 2080 SUPER
- RTX 2080
- RTX 2070 SUPER
- RTX 2070
- RTX 2060 SUPER
- RTX 2060 (6GB/12GB)
- GTX 1660 Ti
- GTX 1660 SUPER
- GTX 1660
- GTX 1650 SUPER
- GTX 1650 (GDDR5/GDDR6/TU106)
- GTX 1630
GeForce 30シリーズ
アーキテクチャ…Ampere
製造…8nmプロセス
2020年後半より発売されているモデル。今世代のみ全てのモデルでSamsungのプロセスを採用している。
上位製品ではGDDR6Xメモリの採用により、メモリ帯域が向上している。
今世代のハイエンドモデルではTITANではなく90番台のモデル名が使用されており、GTX 690以来8年ぶりとなった。
下位モデル(GTX)がなくなったが、代わりにRTX50番台が追加された。
この世代はマイニング需要の急増による品薄を防ぐため、RTX 3060 Ti/3070/3080(10GB)の初期出荷分とRTX 3090/3090 Tiを除き、イーサリアムのハッシュレートに制限がかかっている。ハッシュレート制限版は製品仕様に「Lite Hash Rate」もしくは「LHR」が記載されている。
マイニング衰退後は逆に在庫過剰となったため、60番台の新たなバリエーションが2022年に追加された。
- RTX 3090 Ti
- RTX 3090
- RTX 3080 Ti
- RTX 3080 (10GB/12GB)
- RTX 3070 Ti
- RTX 3070
- RTX 3060 Ti (GDDR6/GDDR6X)
- RTX 3060 (8GB/12GB)
- RTX 3050 (GA107/GA106)
GeForce 40シリーズ
アーキテクチャ…Ada lovelace
製造…5nmプロセス
2022年10月から発売開始。
TSMCの4Nプロセス(5nm)を採用したことで前世代から実質2世代分のパワーアップを実現。
フレームレートを向上させる新機能DLSS 3が搭載された。
冷却性能向上のためサイズが非常に大きくなり、最上位の4090はPS5にも匹敵するほどで、発表当初は多くのツッコミが殺到した。
この世代から補助電源の規格が変わり、12VHPWRと呼ばれる12+4ピンコネクタに変更された。最大で600Wの供給が可能。
当初の発表では4090・4080(16GB)の他に、RTX 4080(12GB)というものもあった。このモデルは名前だけ見ると16GBモデルのメモリ削減版であるかのように見えてしまうが、実際はほぼ全ての部分が16GBモデルと異なっており、一部の人からは「本当は70番台に相当する製品だが価格を引き上げるために80番台にしたのではないか」と批判された。これを受けてNVIDIAは「紛らわしい」という理由で発売中止とした。このモデルは後に4070 Tiに改名されて発売されることになった。
TSMC 4Nプロセスが高価なためか、下位モデルでのコストカット(上位モデル比の各種コア数やメモリバス幅が過去世代の同型番と比べ大幅に少ない等)が目立っており、上位モデルとの性能差が以前よりも増した。
また、発売当初はマイニングブーム終了とコロナ特需終了によるPCそのものの売上大幅減などが重なり、国内外を問わず売れ行きが芳しくない状態が続き、4070以下は在庫過多のため生産が一時停止される事もあった。
その後、生成AIブームや米国の対中国規制によってハイエンドモデルを中心に品薄状態になり価格の急騰が起こったりと最近は価格の乱高下が激しい。
ちなみに細かい話だがこの世代のロゴからフォントには角ばったものから丸みを帯びたものが採用されるようになった。
2024年にRTX 4080、4070 Ti、4070の性能向上版であるsuperモデルが発売された。
- RTX 4090
- RTX 4080 super
- RTX 4080 (16GB)
- RTX4070 Ti super
- RTX 4080 (12GB) → RTX 4070 Ti
- RTX 4070 super
- RTX 4070
- RTX 4060 Ti (8GB/16GB)
- RTX 4060