笑うマトリョーシカ
わらうまとりょーしか
ストーリー
官房長官に出世した青年代議士とその秘書。そんな彼らに違和感を抱いた女性記者が隠された過去を暴くために奮闘する姿を描いた政治サスペンス。
登場人物
主要人物
東都新聞記者。元は社会部の敏腕記者だったものの、1年前に取材対象者がスクープを理由に自殺未遂をしたことでバッシングを受けてしまい、家庭を守るために離婚。また、その責任を取って文芸部に異動させられた。ドラマでは主人公となっている。
謎の不審死を遂げた父親の遺志を継ぎ、真相を追求する。
その過程で政府から圧力をかけられ、会社からも上層部から圧力をかけられたことで退職し、フリージャーナリストとなる。後に山中とともに新たに「報新社」を起業した。
清家の政務秘書官。清家の高校時代の同級生。元々経済産業省の官僚だったが、清家が議員となったことを機に秘書に転身した。
旧姓は「宇野」であり、父親・耕介はBG株事件で全ての責任を負い逮捕された末自殺。その後、母方の性である「鈴木」に改め、縁もゆかりも無い松山へと移住。転校先の高校で清家と出会い、親友になる。
自身もまた政治家になる夢を持っていたが、父親が犯罪者である以上まともな政治家になれないと思っており、佐々木の提案で彼のブレーンになる決意を固めた。
交通事故に巻き込まれ腰椎の一部を損傷する大怪我を負うものの幸い生命に別状はなかった。
道上からはその言動をアドルフ・ヒトラーのフィクサー・エリック・ヤン・ハヌッセンに例えられている。
学生時代に、清家の母親・浩子から、亜梨沙の排除を頼まれており、彼女とは肉体関係を持っていた。
しかし、週刊誌に自身の過去が暴露されたことで清家から断腸の思いで絶縁を言い渡され、謹慎処分を喰らい事実上クビとなってしまった。
その後、親友に裏切られたショックから意気消沈していたが、妻の言葉を受けて改めて過去と向き合う決意を固め、BG株事件の真相を道上と協力しながら追及しようとする。
厚生労働大臣。未来の総理候補ともいわれる人気政治家。原作では清家が主人公だが、ドラマでは主要人物の一人に留まっている。
清廉潔白、品行方正という政治家として完璧すぎるくらいの人物像を持っているものの、道上からは「主体性がない」「AIみたい」と評されており、事実演説の際の話し方や取材対応含め全てを鈴木に任せきりである。
一方で、自身の大切な物や人、信念を傷つけられた際には感情的になることもある。
しかし、道上との出会いを機に独自の思惑で行動するようになり、徐々に鈴木ではなく母・浩子の影響が色濃く出始めることとなる。
その後、党内の人間の不祥事を受け、その後任として内閣官房長官に就任した。
鈴木に関するスクープが発覚した際には断腸の思いで彼にクビを言い渡しており、道上からその真意について質問された際には「切りたくて切ったわけじゃない」と苦しそうに呟いていた。
なお、原作者が「櫻井翔をイメージして描いた」と公言している。
道上の関係者
- 山中尊志(やまなか たかし)
演 - 丸山智己
東都新聞の記者。道上の先輩。元々、独立して出版社を立ち上げることを夢見ており、道上がフリージャーナリストとなったことを機に自身も覚悟を決め、退職。フリージャーナリストとして壁にぶち当たっていた道上を自身の起業する出版社「報新社」に誘った。
- 青山直樹(あおやま なおき)
演 - 曽田陵介
記者。道上の後輩。
- 道上香織(みちうえ かおり)
演 - 筒井真理子
道上の母。小料理屋の店主。ドラマオリジナルキャラクター。
- 道上兼高(みちうえ かねたか)
演 - 渡辺いっけい
道上の父。故人。大手新聞社社会部の元記者。ドラマオリジナルキャラクター。
清家を追って取材を続けていたが、自家用車に突如トラックが追突し帰らぬ人となる。
- 旗手健太郎(はたで けんたろう)
演 - 和田正人
道上の元夫。公務員。息子がおり、自身が引き取って育てている。
体調が悪化し急性膵炎を患ったことでしばらく入院することとなった。
- 旗手勇気(はたで ゆうき)
演 - 森優理斗
道上と健太郎の息子。小学2年生。
- 柏木宗男(かしわぎ むねお)
演 - 高松克弥
的場修一郎議員の公設秘書。議員が再生エネ企業「エネキュア」から不正に6800万円受領していたことを道上香苗の取材で告発する。しかしその後自殺未遂した。
何とか一命を取り留め、別の仕事に就いた。その後、病気が発覚したものの早期発見のおかげで快方に向かっている。
道上と久しぶりに再会した際には自身の告発を記事として世に出してくれた感謝を伝えており、「あなたがいなければ今頃私は良心の呵責に苛まれていました。」と回顧していた。
- 凛々
演 - 咲耶
道上の実家・小料理屋「らんか」のアルバイト。中国人。
インド人の友達と、新宿区高場町の店にモーモーチャーチャーを食べに行ったと道上に話す。高場町には友人がNPO法人「在留外国人支援機構」に用事があり、一度行っただけである。
清家の関係者
- 三好美和子
演 - 田辺桃子(学生時代)
清家の嘗ての彼女。ドラマの脚本家を志望していた。清家の回顧録には「美恵子」という仮名で登場している。「若いうちに自分の人生に"生きた証"を残す」ことに拘っており、清家を27歳のうちに政治家にさせると武智に宣言していた。彼女との出会いによって清家は自身の人生観を意識するようになる。道上は鈴木の他に居る協力者として彼女の関与を疑っている。
後に「三好美和子」は偽名(幼なじみの名前)で本名は「真中亜梨沙」であることが判明した。また、本名名義で「最後に笑うマトリョーシカ」というタイトルの脚本をテレビ局に提出していたことも判明した。
また、母親からの証言により現在は結婚して姓が変わっている模様。
清家の家に入り浸り、様子を心配した清家の母親・浩子が清家の自宅に引っ越して同居を開始した後も我が物顔で振る舞うなど横柄な態度を取っていたため、浩子からも危険視され、鈴木に二人の仲を引き裂くよう頼み込む程だった。
その後の取材で、浩子のホステス時代の源氏名が「劉麗蘭」であることが発覚。彼女のペンネームも同じ名前だったため、彼女が恨んでいた浩子の源氏名を当てつけのようにペンネームとして使用していた可能性が高い。
- 佐々木光一
清家の後援会の会長。松山にある日本料理店「春吉」の経営者。清家と鈴木の高校時代の同級生、学生時代は生徒会副会長。
道上に対しては、料亭での清家への取材の様子から何かと友好的に接している。
- 和田島芳孝
演 - 加藤雅也
清家の父親。故人。代議士。清家とは実の親子だが、長きに渡ってその事実が伏せられていた。
- 武智和宏
演 - 小木茂光
愛媛出身の代議士。故人。清家たちと同じ福音学園出身。次期官房長官とまで言われたが、16年前に原因不明の自動車事故で急逝。道上は鈴木、もしくは三好が事件に関与しているのではないかと疑っている。
- 藤田則永
演 - 国広富之
武智の元政策担当秘書。武智の死後、清家の秘書になろうとしたが本人の意向で断られた。引退後は、老人ホームで療養しており、メディアからの取材を一切断っていたが、道上が清家の背後にいる存在について示唆する言葉を投げかけたことで、清家の過去について自身の知りうる限りの情報を提供した。
- 清家浩子
演 - 高岡早紀
清家の母親。日本人の父親と中国人の母親のハーフ。清家の自叙伝「悲願」では、若い頃ホステス(後に源氏名が「劉麗蘭」と判明)として勤務し、そこで和田島と出会い息子を身ごもったとされる。現在は小松政重という元医師の人物と再婚している。
過保護な面があり、息子を利用しようとしていた元カノの美和子…もとい亜梨沙を排除しようとしていた。
道上からは鈴木に続く清家にとってのエリック・ヤン・ハヌッセン的立ち位置の人間だと認識されている。
在日外国人や移民などに対して関心があり、ヘイトスピーチにも強い嫌悪感を示している。それが息子の政治理念に影響を及ぼすことになる。
学生時代から清家を理想の息子にするために暗躍しており、当時の担任であった一色と関係を持っていた。
道上と互いの素性がわかった上で再び愛媛で対面した際には道上に対して「私の事を嗅ぎ回るのはいいけど、その前に身の回りの心配をしたらどう?」と半ば脅迫のような形で彼女の取材をあしらった。
- 清家嘉和
演 - 梨本謙次郎
清家の父親。生粋の遊び人であり、晩年になって浩子と出会い、実家の愛媛県へ戻ってきた。しかし、その1~2年後に交通事故で謎の死を遂げる。