概要
せんべい汁は江戸時代後期の天保の大飢饉の頃に八戸藩内で生まれたとされ、その後200年余りに渡って現在の南部地方一帯で食べられてきた。
せんべい汁には、南部煎餅の中でもせんべい汁の具にすることを前提に焼き上げた「かやき煎餅(おつゆ煎餅・鍋用煎餅)」を使用する。これを手で割ったものを、一般的に醤油ベース(味噌・塩ベースもある)の鶏や豚の出汁でごぼう、きのこ、ネギ等の具材と共に煮立てる。
出汁を吸った煎餅は、すいとんの歯ごたえを強くしたような食感となる。煎餅以外の具材やだし汁はすいとん(南部地方では一般的に「ひっつみ」という)と同じであり、成立過程では、もともとすいとんの食文化が盛んであった南部地方で、すいとんの代わりに保存のきく煎餅を用いたものであると考えられる。
煎餅をふやかせた触感であることから、賛否の分かれるグルメとなっている。