概要
オンデマンドとは「利用者の注文に応じて」という意味であるが、現在の印刷業界でオンデマンドというと「デジタル印刷」(製本などの付帯サービスを含めることもある)のことである。DTPなどで作成した版下から直接デジタル印刷機(業務仕様のプリンターと考えれば良い)で印刷する手法である。多くの印刷会社では、冊子などの製本まで含めて対応してくれる。
一般的な書籍・雑誌・新聞などの印刷に用いるオフセット印刷とは「刷版」(大きなハンコのようなもの。これを印刷機にセットして印刷物を刷る)を作るか否かというのが大きな違いである。オフセット印刷は版下からCTPで刷版を作る(カラーの場合はCMYKの4つの版を作る必要がある)必要があるので、小部数印刷、特にカラー印刷では大変な高コストになるが、デジタル印刷は版のコストがかからない分、少部数でも安い。数百部〜数千部レベルの大部数になると逆にオフセットの方が安くなる。
同人誌印刷におけるオフセット印刷
昔の同人誌印刷所はオフセットのみ対応が主流であったため、印刷所を利用できるのは大手サークルに限られ、少部数の零細サークルは手製のコピー本などを頒布していたが、10部程度から対応してくれるオンデマンド対応の印刷所が増えた現在は、零細サークルであっても印刷所の利用が主流となった。1部からでも対応してくれる印刷所もある。
納期が早く、少部数でも対応できるために在庫を持たなくて済む。一方デメリットはオフセットに比べ印刷の質は劣る(とはいえ現在の技術ではパッと見ではほとんどわからないレベルにまでなっているが)こと、インクのテカりが目立つこと(印刷所によってはマットな所もある)ことなどが挙げられる。