プリンター
ぷりんたー
プリンターとは印刷機のことであるが、日常語としては一般にコンピューターから出力された情報を直接印刷する周辺機器のことを指す。
家庭用であればインクジェットプリンターやレーザープリンターが主流であるが、かつては専用の感熱紙に印字するダイレクトサーマルプリンターやドットインパクトプリンターも広く使われた。
家庭用のほか、印刷業者でも近年はオンデマンド出版や同人誌など少部数の印刷では業務用のインクジェットプリンターやレーザープリンターが用いられることがある(デジタル印刷)。商業用で主流のオフセット印刷機との大きな違いは、印刷用の刷版(版下を金属板に焼き付けたもの)を作らず、デジタルデータから紙に直接出力することにある。1部〜数部など少部数の印刷では刷版が不要なデジタル印刷の方が圧倒的に安いが、数百部など大量のコピーを作る場合はオフセット印刷の方が安くなる(刷版代を考慮に入れない場合20倍くらいコスト差があると言われている)。
イラストを描く人にとっては描いたイラストを印刷する重要な機器であるが、RGBで描いたイラストをプリンターで印刷しようとすると色合いが変わる場合があるので注意(RGBまたはCMYKの項目が詳しい)。
近年の家庭用プリンターはスキャナが複合した複合機が多くなっている。また、バッテリーを内蔵し持ち運びできる「モバイルプリンター」、デジタルカメラを接続したりメモリーカードなどを直接差し込む事でコンピュータに接続せずとも簡単に印刷できるものも多く登場している。
インクジェット方式は、家庭用のプリンターとして最も一般的な方式である。レーザーと比較すると消費電力が低く、一般的に枚数当たりのコストが安く、色の再現性が高い。
しかし、ヘッドを往復させる都合上、機械部が故障しやすく耐久性が低い(一部業務用機種ではヘッドを用紙幅いっぱいに置いて、往復しないものがある)。このため一般に大量印刷には向かない。
また、インクは長期間放置すると固まってしまい、ヘッドのノズルを詰まらせてしまうので、定期的に自動でインクを消費してノズルのクリーニングを行う。*一部を除く)これらのデメリットから、最終的なランニングコストはレーザー方式に劣ることがある。インクの種類は染料と顔料があるが、前者は写真印刷に向いていて、後者はテキストやイラスト印刷に向いている。多色印刷をする機種は写真印刷にも向いている。
レーザー方式は、比較的単純な印刷機構なので、故障しにくく耐久性が高い。そのため、インクジェットに比べれば大量印刷に向いているが、樹脂の粉末(トナー)を熱によって紙に定着させる都合上、消費電力が大きく(インクジェット方式の50〜100倍)、またトナー自体もインクと比較して高い。そのため、枚数当たりのコストはインクジェット方式よりも高くなりがちである。また、トナーはインクとは違い粒子が混ざらないので、水に濡れてもにじまないが、色の再現性では不利になり、基本的に写真の印刷には向かない。
専用の感熱紙を利用し、サーマルヘッドの熱により自己発色させる方法。専用の感熱紙が必要で、時間が経つと退色する。1980年代前半の家庭用プリンターやワープロ専用機の内蔵プリンターによく使われていたが、すぐに文字が読めなくなるのが嫌われ廃れた。しかし、レシート印字用や伝票用としては今でもよく用いられる。近年ではカラー印刷可能な感熱紙も開発され、フォトプリンター、モバイルプリンターとして復権している。レシート用の感熱紙に印刷するインスタントカメラもある。
インクリボンを利用し、熱したプリントヘッドを押し当てることで印字する方法。1980年代後半から90年代初頭の家庭用プリンターやワープロ専用機の内蔵プリンターに使われていた。写真印刷には不向きなことなどで家庭用プリンターとしては廃れたが、今でもFAXのプリンターとしては最も使われる印刷方式である。ラベル印刷用にカラーのインクリボンを採用した機種もある。
インクリボンを利用し、縦横に並べたドットに対応する細いピンを押し当てることで印字する方法。1980年代を中心に業務用でよく用いられたが、騒音が大きく、高精細な印刷もできない。現在の用途はATMの印字用やタイムレコーダーの印字用などの特殊用途に限られている。
日本ではエプソン、キヤノンのプリンタがトップシェアでありブラザー、ヒューレット・パッカードと続いている。