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ポポサウルスの編集履歴

2024-09-22 12:32:07 バージョン

ポポサウルス

ぽぽさうるす

三畳紀後期の偽鰐類。

概要

分類
爬虫類 Reptilia
双弓類 Diapsida
腿跗類 (クルロタルシ類)Crurotarsi
主竜類 Archosaur
偽鰐類 Pseudosuchia
鰐類(スクス類) Suchia
側ワニ型類(パラクロコダイル型類) Paracrocodylomorpha
ポポサウルス上科類 Poposauroidea
ポポサウルス科類 Poposauridae
ポポサウルス属 Poposaurus
ポポサウルス・グラシリス Poposaurus gracilis ポポサウルス・ラングストニ  P.langstoni

ポポサウルスは、三畳紀後期にアメリカ南西部と東部に生息していた偽鰐類に属する主竜類で、二足歩行を行っていた。ポポサウルス科類に属し、タイプ種P. gracilisと第二の種P. langstoniが知られている。全長は約4~5m、体重は約90~100kgと推定される。


1915年にP. gracilisが断片的な化石から記載されたが、十分なデータは揃っていなかった。2003年にアメリカ合衆国ユタ州のチンレ層で、頭部を除いたほぼ完全な骨格と一部の頭骨が発見され、これによりポポサウルスに関する理解が大きく進展した。化石はワイオミング、ユタ、アリゾナ、テキサス、バージニアでも発掘されている。


ポポサウルスの後肢は、他の二足歩行動物、特に恐竜の獣脚類に似ており、走行に適した構造を持っていた。大腿骨と脛骨は長く軽量化されており、これによって素早い移動が可能だった。同時期に生息していた獣脚類恐竜と同様に、素早い捕食者として活動していたと考えられる。また、足の構造は指行性(つま先で歩く)であり、地面との接触面積を減らすことで高速移動を実現していた。骨は軽量化されており、特に前肢や体幹の骨は軽さを保ちながらも強度を維持していた。骨の内部に空洞がある構造も確認され、これも軽量化に寄与していた可能性がある。


ポポサウルスは鋭い歯を持ち、肉食性に適応していた。これらの歯は、肉を引き裂くのに適しており、他の小型動物を捕食していたと考えられる。頭部は比較的小さく、全体的にバランスの取れた形状をしており、捕食者としての機能を十分に果たしていた。尾は長く柔軟で、二足歩行時のバランスを取るのに重要な役割を果たし、高速走行時には安定性を確保していたと考えられる。


前肢は後肢に比べて縮小しており、移動や捕食にはあまり関与していなかったとされる。この前肢の縮小は、獣脚類恐竜にも見られる特徴で、後肢での移動に特化した形態だと考えられる。また、ポポサウルスは他の派生的な偽鰐類とは異なり、体を覆う皮骨板を持たないという特徴を持っていた。これは、体を軽く保ち、素早い動きを可能にする進化的適応だったと考えられている。

発見の歴史と学名の由来

ポポサウルスの最初の標本は、ワイオミング州ランダー近くの赤い堆積層から発見された腸骨であった。当初、この化石は同じ偽鰐類に分類される植竜類、パレオリヌス・ブランソニのものとされていたが、後の研究で別種とされた。1904年夏、シカゴ大学の探検隊がワイオミング州を訪れ、ウィンド・リバー地域のポポ・アギー層から植竜類の化石を発見したが、ポポサウルスが正式に命名されたのは1915年、モーリス・ゴールドスミス・メールによってである。彼は、腸骨や脊椎、大腿骨、脛骨、腓骨などの化石を元にポポサウルス・グラシリスと命名した。この名は発見場所であるポポ・アギー川に由来している。

生態

ポポサウルスは、当時の陸上捕食者として、恐竜の獣脚類と同様の生態的ニッチを占めていたと考えられている。彼らの後肢は非常に長く発達しており、主に二足歩行で移動し、砂漠や半乾燥地帯で生活していたことが示唆されている。

特徴

ポポサウルスは、約2億2000万年前の後期三畳紀に北アメリカ西部で生息していた二足歩行の偽鰐類に属する主竜類である。彼らは、体の構造や進化において、当時の他の主竜類(恐竜など)と共通点を持ちながらも、独自の特徴を進化させていた。


ポポサウルス・グラシリスの骨格研究により、多くのことが明らかになっている。彼らは中型捕食者で、全長約4~5m、成体の体重は約90~100kgと推定され、恐竜の獣脚類と同様に陸上捕食者としての生態的ニッチを占めていたと考えられている。後肢は非常に細長く、走行性動物によく見られる特徴を持っている。腰帯と大腿骨の形態から、後肢は垂直に近い姿勢で体を支え、静止時や歩行時も後肢のみで立っていたことが示唆されている。


最初の化石は1915年に部分的に発見されたが、ポポサウルスの詳細な理解には時間を要した。だが2003年にユタ州のグランドステアケイス・エスカラントナショナルモニュメントにあるチンレ層から発見されたほぼ完全な標本(YPM 57100)が発掘された。この標本にはほぼ全身の骨格と頭骨の一部が含まれており、ポポサウルスについて詳細な情報をもたらした。この発見により、ポポサウルスが恐竜に似た二足歩行を行っていたことが確認された。


ポポサウルスの特徴として以下が挙げられる。

  • 4つ以上の仙椎を持つ(これは恐竜とも共有される特徴である)。
  • 腸骨は前方に伸びた突起があり、垂直に配置されている。
  • 大腿骨は細長く軽量で中空の構造を持っている。
  • 恥骨の下端には「ピュービックブーツ」と呼ばれる後方に突き出した突起があり、筋肉の付着点として機能していたと考えられている。
  • 坐骨の下部には他の骨と結合するための窪みがあり、腸骨と強固に結びついていた。また、坐骨は左右で融合しており、骨盤の安定性を高めていた。
  • 骨盤周辺の筋肉付着部位の発達が非常に顕著である。この構造は、後肢の動作を強化し、運動能力を向上させるための進化的適応と考えられる。

ポポサウルスは走行性に特化しており、前肢は後肢に対して47%の比率で他の偽鰐類よりも短く、二足歩行および速く走る能力に関連している。この前肢の縮小は、恐竜や類似の偽鰐類であるエフィギアにも見られる進化的適応である。


ポポサウルスが歩行時には足全体を地面に接地させる「蹠行性」であったのか、それともつま先立ちで走行する「趾行性」であったのかは、まだ明確にはなっていない。しかし足の構造から、趾行性での走行能力があったことは、同様の足を持つ他の爬虫類と比較しても可能性が高いと考えられている。

彼らの足の構造、特に第五指はほぼ痕跡的で、重さを支える役割を果たしていないことが確認されている。この姿勢は恐竜や現生の鳥類、走行性哺乳類のものに似ている。足の爪は蹄のような形をしており、速い走行に適応した動物に共通する特徴である。このような爪の形状は、一部の鳥脚類の恐竜や同じ偽鰐類のボヴェリスクスにも見られるものである。


後肢(大腿骨、脛骨、腓骨)は走行に適応しており、筋肉の付着部位が骨表面に残されている。大腿骨の第四転子は大きく発達しており、強力な筋肉が付着していたことがわかる。踵骨隆起も大きく、走行時に強力な蹴り出しを可能にしていた。


骨盤は、前方部が細長く後方に広がっており、後肢の筋肉が強力だったことを示している。また、恥骨の「ピュービックブーツ」も走行に重要な役割を果たしていた。脊椎には5つの仙椎があり、これは後肢の体重を支え、二足歩行を可能にする基盤となっていた。


ポポサウルス・ラングストニの脊椎の研究でhyposphene–hypantrum関節があることが確認されている。

Hyposphene–hypantrum関節は、脊椎の「ロック機構」として機能し、脊椎の安定性を高め、特に大型動物において重要な役割を果たすと考えられている。この構造は脊椎の安定性を高める反面、脊柱の柔軟性を犠牲にしている。脊柱の硬直性が高まることで、運動時の脊椎の動きが制限されるが、巨大な体を持つ動物にとっては安定性が重要であるため、このトレードオフが進化的に選ばれたと考えられる。

ポポサウルスを含む偽鰐類では、このhyposphene–hypantrum関節が少なくとも二度独立して進化していることが確認されているが、現在のワニ類や一部の偽鰐類では失われている。

系統的な位置づけ

ポポサウルスは、ポポサウルス上科類(Poposauroidea)というグループに属している。

ポポサウルス上科の一部には、以下のような多様な形態を持つ動物が含まれている。

  • エフィギアやシュヴォサウルスのように、歯を持たず、二足歩行で草食性と考えられる種。
  • アリゾナサウルスやクテノサウリスクスのように、長い帆状の背骨を持つ種。これらの帆は、体温調節や繁殖行動に役立った可能性がある。
  • キアノスクスのような水中適応を持つ可能性がある種。

このように形態的な多様性に富んでおり、偽鰐類の適応力の高さがうかがえる。


参考文献

  1. Lees, J.H. (1907). "The skull of Paleorhinus, a Wyoming phytosaur"
  2. Mehl, M.G. (1915). "Poposaurus gracilis, a new reptile from the Triassic of Wyoming"
  3. C.M.; Nesbitt, S.J. (2018). "The axial skeleton of Poposaurus langstoni (Pseudosuchia: Poposauroidea) and its implications for accessory intervertebral articulation evolution in pseudosuchian archosaurs"
  4. Weinbaum, J.C.; Hungerbühler, A. (2007). "A revision of Poposaurus gracilis (Archosauria: Suchia) based on two new specimens from the Late Triassic of the southwestern U.S.A."
  5. Stefanic, C.M.; Nesbitt, S.J. (2018). "The axial skeleton of Poposaurus langstoni (Pseudosuchia: Poposauroidea) and its implications for accessory intervertebral articulation evolution in pseudosuchian archosaurs"
  6. Schachner, E.R. (2010). Anatomical reconstructions of respiratory morphology and hindlimb musculature in Poposaurus gracilis (Archosauria: Poposauroidea) and related dinosauriformes
  7. Gauthier, J.A.; Nesbitt, S.J.; Schachner, E.R.; Bever, G.S.; Joyce, W.G. (2011). "The bipedal stem crocodilian Poposaurus gracilis: inferring function in fossils and innovation in archosaur locomotion"
  8. 英語版Wikipediaのポポサウルスのページ

関連タグ

ポポサウルス科

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