『青少年健全育成条令改悪反対』は、架空の創作表現を規制あるいは萎縮させる可能性のある本来の目的を逸脱した「青少年の健全な育成に関する条例(もしくはそれと同等の条例)」の改定(もしくは改定案)に対し、反対の意思を表明する、批判する、情報の共有を呼びかける等の投稿につけられるタグである。
2009年11月、東京都HPに掲載された第28期東京都青少年問題協議会答申素案に、将来的な創作物規制につながる可能性のある記述が盛り込まれていた事から運動が活発化した。
以下は第28期東京都青少年問題協議会及び東京都青少年の健全な育成に関する条例改定についての内容を中心に記述する。
架空創作表現規制反対、【規制反対】タグと一緒に用いられる事が多い。
第28期東京都青少年問題協議会
東京都青少年問題協議会会長 石原慎太郎に対し、東京都知事 石原慎太郎より『メデイア社会が拡がる中での青少年の健全育成について』の諮問が行われた事を受けて召集された。
2008年12月24日の第1回総会に始まり、2009年11月迄に9回の専門部会を経て答申素案を提出している。その後、平成22年1月14日に東京都知事 石原慎太郎に対し答申を提出した。
(委員名簿【pdfファイル】)
しかしながら、その専門部会(特に第7回・第8回)は「表現の自由について一顧だにしない、問題発言がてんこもり(出典)」であるとリンク総合法律事務所の山口貴士弁護士に評されている。
「表現の自由について一顧だにしない、問題発言」
それらの問題とされる発言について、『「反ヲタク国会議員リスト」メモ』に要約がまとめられている。以下に一部を引用する。
議事録原文は第7回専門部会議事録【pdfファイル】・第8回専門部会議事録【pdfファイル】を参照のこと。
大葉ナナコ氏の発言
「酷い漫画の愛好者達はある障害を持っているという認識を主流化していく事は出来ないものか。」(第8回P.28)
「何とか法規制しようとしている人達に対し、漫画家達が凄い数の抗議メールを送ってきたのは、どう考えても暴力だ。法規制の根拠を示す必要も無いぐらいの暴力だ。」(第8回P.28-29)
「性同一性障害と同じく持って生まれた嗜好だという事で、子供に対する性暴力漫画を好む人達を放免とするのであれば、彼らは認知障害を起こしているという見方を主流化する必要があるのではないか。」(第8回P.29)
「彼らに認知障害があり、暴力的だという事が分かっていれば、証拠が無いのに法規制出来るのかという主張を論破出来る。そうした対策を考えていきたい。」(第8回P.29)
新谷珠恵氏の発言
「他の先進国には子供の人権に配慮した規制がある。日本だけが法整備を進めないというのは凄く不思議。漫画家団体に対して説明や調査データを示す必要も無いくらい規制は当たり前の事だ。正論でガンと言ってやれば良い。」(第8回P.25-26)
吉川誠司氏の発言
「一番手前の同人誌は、バーチャルな児童ポルノという観点で見ると議論がややこしくなってくる。だが、性器が詳細かつ露骨にカラーで描写されているので、多分猥褻図画に該当する。過去にこういった漫画を描いていたイラストレーターが猥褻図画製造で逮捕されているので、これはぜひ警視庁さんが、販売自粛ではなく、製造した人間自体を取り締まって頂きたい。」(第7回P.35)
前田雅英氏の発言
「どう考えても、実在する人がいなければどんな漫画でも許されるというのはおかしい。175条の猥褻物に当たらない限りは許されるというのは、皆さんもかなりおかしいと思っているので、そろそろ前に出なきゃいけない。しかし出る以上は腰を据えていかないと、漫画の問題は非常に大変だ。児童ポルノ法改正を与党案でやると書いただけで、物凄い数の脅迫メールが国会議員の担当に来たという話を聞いた。だからこそやらなきゃいけない。」(第8回P.14)
「最後は、法律の世界では常識で、こういう物があったら犯罪が増えるとする人が多い感じがあれば法的に禁止する。これは当然。統計データがなければ禁止出来ないというのはナンセンス。」(第8回P.18)
以上、上記サイトより問題とされる発言の一部を引用した。問題とされる発言はその他にも多数存在する。
詳細及び解説は「規制に反対するヲタクは認知障害者」(東京都青少年問題協議会)/「規制に反対するヲタクは認知障害者」(東京都青少年問題協議会)Ⅱを参照のこと。
答申素案の主なポイント
東京都HPでは諮問事項「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」について、答申素案の主なポイントを以下のように掲載している。
1 ネット・ケータイに関する青少年の健全育成について
・青少年にとって安全・安心な携帯電話を、都が推奨する制度を創設すべきである。
・不健全な行為を意図的に行った青少年の保護者に対し、指導・勧告等を行い、責任の自覚を促すべきである。
・青少年が使用する携帯電話について、保護者が容易にフィルタリングを解除できないよう手続きを厳格化すべきである。
・フィルタリングから除外されるべきサイト基準について、実態に照らし、青少年が被害に遭わないものにするため、条例への規定や第三者認定機関への要請等を行うべきである。
2 児童を性の対象として取り扱うメディアについて
・児童ポルノを始め、児童を性の対象として取り扱うメディアの根絶・追放のため、機運の醸成と環境の整備に努めるべきである。
・国に対し、児童ポルノの「単純所持」の処罰化を強く要望すべきである。
・いわゆる「ジュニアアイドル誌」へ子どもの売り込みを行った保護者に対する指導・勧告の仕組みを検討すべきである。
・児童を性の対象とする漫画等のうち、著しく悪質な内容のものを、追放の対象として明確化するとともに、「不健全図書」の指定対象に追加すべきである。
・児童・生徒の性行為を描写した、小・中学生を対象とする「ラブ・コミック」を、レーティング(推奨年齢の表示)の対象とすべきである。
パブリックコメント募集について
上記の第28期東京都青少年問題協議会答申素案に関して、パブリックコメントの募集が行われた。期間は平成21年11月26日(木曜日)~平成21年12月10日(木曜日)。
答申素案の要点や提出方法等、詳しくはこちら>第28期東京都青少年問題協議会答申素案及び都民意見の募集について。
パブリックコメントの具体例
リンク総合法律事務所 山口貴士弁護士
【パブリックコメント】第28期東京都青少年問題協議会答申素案に対する都民意見【青少年問題協議会の暴走を止めよう】
インターネットユーザー協会(MIAU)
第28期東京都青少年問題協議会答申素案に対する意見書を提出しました
パブリックコメントの結果概要
東京都HPの平成22年1月14日掲載の報道発表資料で、上記のパブリックコメントの結果概要が発表された。
「第28期東京都青少年問題協議会答申素案及び都民意見の募集について」の結果概要
第28期東京都青少年問題協議会答申
東京都HPの平成22年1月14日掲載の報道発表資料で、第28期東京都青少年問題協議会答申が発表された。
なお東京都HPでは諮問事項「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」について、答申の概要を以下のように掲載している。
□ネット・ケータイに関する青少年の健全育成について
(1) ネット・ケータイでの被害・トラブルの防止
都において、青少年にとって安全・安心な携帯電話を推奨する制度を創設すべきである。
不健全な行為を意図的に行った青少年の保護者に対し、指導・勧告等を行い、責任の自覚を促すべきである。
(2) フィルタリングの実効性の向上
青少年が使用する携帯電話について、保護者が容易にフィルタリングを解除できないよう手続きを厳格化すべきである。
フィルタリングから除外されるべきサイトの水準について、実態に照らし、青少年が被害に遭わないものにするため、条例への規定や第三者認定機関への要請等を行うべきである。
(3) 青少年や保護者に対する効果的な教育・啓発
都において、青少年に対する教育・啓発水準の確保のため、指針等を策定すべきである。
□児童を性の対象として取り扱うメディアについて
(1) 児童ポルノがインターネット上等において蔓延していることについて
児童ポルノを始め、児童をみだりに性的対象として取り扱う風潮の追放・根絶に向けた機運の醸成と環境の整備に努めるべきである。
児童ポルノを製造・販売・所持してはならない旨を定める規定等を設けるべきである。
国に対し、児童ポルノのいわゆる「単純所持」の処罰化を強く要望すべきである。
(2) ジュニアアイドル誌が自由に販売等されていることについて
いわゆる「ジュニアアイドル誌」へ子どもの売り込みを行った保護者に対する指導・勧告の仕組みを検討すべきである。
(3) 児童の性的行為等を描写した漫画等が自由に販売されていることについて
児童をみだりに性的対象とする漫画等のうち、強姦等を積極的に肯定するような著しく悪質な内容のものを青少年への販売等を規制する「不健全図書」の指定対象に追加すべきである。
小・中学生を対象とする漫画等で、児童・生徒の性行為の描写を多く含むものを、レーティング(推奨年齢の表示)の対象とすべきである。
□青少年の健全な成育を取り巻く環境整備について
・特定の図書類発行業者が発行する図書類が累回にわたり不健全指定を受けている場合の対応
短期間に不健全図書類の指定を繰り返し受ける図書発行業者については改善勧告を行い、従わない場合は社名を公表する等の条例規定を検討すべきである。
条例案の提出
平成22年2月24日の東京都議会平成22年第一回都議会定例会において、『東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例』条例案が提出された。
都知事の反応
東京都知事 石原慎太郎は、この条例案に対し支持を表明している。
平成22年第一回定例会録画映像(04:26:30~)
『「反ヲタク国会議員リスト」メモ』では、発言を以下のようにまとめている。
(以下引用)
「次いで、青少年健全育成条例の改正についてでありますが、まぁ、児童ポルノや子どもへの強姦を描いた漫画の蔓延を、「見て楽しむだけなら個人の自由である」「如何なる内容であっても表現の自由である」と、許容する事は、これはあの自由の、自由の履き違えで正にありまして、青少年を守り育てる大人たちとしての責任と自覚を欠いた、未成熟な人間の自己保身に他ならないと思います。
また保護者が、幼い子どもを性的写真集の被写体として売り渡す行為も子どもを使って自己の欲望や利益を満たそうとする、まぁ大人として親として、まぁ卑劣というかあるまじき、下劣な行為であると思います。
このような児童ポルノや、青少年をみだりに性の対象として扱う風潮から、次代を担う青少年を守らなければならないと思います。
この為、青少年健全育成条例を改正し、児童ポルノの根絶と、この種の図書類の蔓延の防止に向けて、都が、都民、事業者と一体となって取り組み、現存のおぞましい状況に、この東京から決別していきたいと、思っております」
(引用終/太字は引用者による)
参考ホームページ
第28期東京都青少年問題協議会
第28期東京都青少年問題協議会答申素案及び都民意見の募集について
「第28期東京都青少年問題協議会答申素案及び都民意見の募集について」の結果概要
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(※ 2004年3月、当時の与党によって国会に提出された「青少年健全育成基本法案」に対して)