ハイパワー
はいぱわー
概要
アメリカの銃器設計家ジョン・ブローニングが生前最後に設計した拳銃である。
1926年のブローニングの他界後、FN社のデュードネ・ヨセフ・サイーブが設計を引継ぎ、1934年に完成。
複列弾倉を量産品として初めて採用したシングル・アクションの自動拳銃で、その装弾数の多さから「ハイパワー」と名づけられた。
「FNハイパワー」、「ブローニング・ハイパワー」、「FNブローニング・ハイパワー」とも呼ばれる。
コルトM1911やブローニングM2重機関銃など、数々の銃器を設計したブローニングの集大成ともいえる自動拳銃である。
カム溝を用いた改良ブローニング式のショートリコイル機構は、以降に製品化された多くの自動拳銃で模倣されている。
高い信頼性と実用性から世界の50ヶ国以上の軍隊、警察で制式採用され、ドイツ武器弾薬工業の開発した9mmパラベラム弾が、世界の軍用拳銃の標準的な実包となる一因となった。
長年に亘り正式採用の座を譲らず、その後も改良が重ねられている。
安全装置の一つにマガジンセーフティが採用されている。
マガジンを抜いた状態ではトリガーがロックされ、薬室内に弾薬が残った状態であった場合に誤発射を防ぐ機構だが、この機構のせいでマガジンが抜きづらい等の問題があったために使用者の手によりキャンセルされて使用されることが多かった。
バリエーションとしてダブルアクションモデルのハイパワーDA、コンパクトモデル、変則ダブルアクションのファストアクションモデルなどが開発されている。
ハイパワーの後継機種としてポリマーフレームのFNP、FNX等が開発されている。
オリジナルでの生産はベルギーのFN社での生産終了後もアメリカのブローニングアームズ社が2018年まで行っていたが、同年に製造を終了した。ハンガリーやインドでは現在も生産が続いている。
生産終了したと思ったら・・・
2021年11月下旬、アメリカのイリノイ州に拠点を置く銃器メーカー、スプリングフィールド・アーモリー・インクがSA-35という名称でハイパワー・クローンを発表した。オリジナルのハイパワーを意識した外観であるが、少々の設計変更も行われ、古い印象だが古典的でない仕上がりを自負する銃を送り出した。
その3か月後、アメリカ国内最大規模の銃器関連見本市Shotshow2022にて、今度はFN社が刷新した''HIGH POWER''を発表、17発装填可能なマガジン、アンビ操作可能なレバー・ボタン、ポリマー製グリップパネルとオプションのG10と木製グリップ、フレームに凹凸の追加など、現代的なリニューアルを加えられた。メーカーのラインナップも黒、ステンレスシルバー、FDEの三色を用意しており民間及びLE、軍事に対応した展開である。