概要
キャラクターの初出は、ダンゲロスオーヴァーキルの杉能コノハ。
一族と言っても、キャラクター間に血の繋がりや、交流といった描写は無く、共通特徴として「寄生体を媒介に能力を発動する」という点のみがあげられる。
何故、彼女らを指して、Sの眷属と呼ばれているのかは定かではない。
彼女らを説明する重要な概念として、シスマおよびパラシトスが上げられ、それによると、Sの眷属とは、特定の寄生型の魔人能力のキャリアを指しているのではないかと考察される。
<TIPS #シスマとパラシトス>
魔人能力の中には分裂型と呼ばれるような病理的傾向を持つものが存在する。
魔人と魔人能力の関係は、“魔人”が使う側、主であり、“魔人能力”は使われる側、従の関係である。だが極稀に、“魔人能力”そのものが人格や意志、実体などを獲得し、まるで一個の生命体のように振舞うことがある。
時に彼らは、術者の思考を読みとり、また術者の支配から離れて主体的に行動する。一方、術者は彼らの思考を読みとる事はできない。
分裂型の初期段階である「プレ分裂型」の間は、術者と能力は一蓮托生の関係であり、能力は依然として術者の支配下に置かれるため、その関係性は維持される。
だが、術者と能力との分離が進み、「分裂型」の段階を踏むと、能力は術者の支配から逃れ、逆に術者を支配しようとする。この時から、術者は行使''する''側から行使''される''側へと移行していく事となる。魔人能力そのものが、意志を持ち、術者を無視して行動する様は、もはや、個人の特性や能力と言ったものの範疇を超えており、「悪魔」もしくは「魔物」などと表現される。
分裂型において、術者の死は「能力」の消滅を意味せず、むしろ術者の死によって、「能力」は術者から解放される。
解放された「能力」は、単独で行動する場合もあるが、新たな術者を求めて、転移することもある。転移を行う分裂型を特に、分裂―転移型と呼ぶ事もある。
分裂―転移型は、誤った標的へと転移した場合、被転移者のアポトシス因子に働きかけ、被転移者を衰弱死させるか自殺へと誘導するとされる。
これが分裂型の概要である。宗教組織の分裂過程との類似性を、術者と能力の分裂との間に見出し、分裂によって生じる新個体を「シスマ」と呼ぶ場合もある。
前述の通り、分裂型には必ず分裂元となる術者が存在するはずである。
しかし、分裂元の存在しない、自然発生的にどこからともなく現れる「分裂―転移型」というのも報告されている。それらは総じて「受胎型」、「パラシトス」などと呼ばれる。
パラシトスは「主」とも呼ばれ、彼らを信奉するものたちの存在も多い。
非魔人の少女を介して何の前触れもなく、そして静かに少しずつこの世界を浸食していくとされる。
分裂型による転移、またはパラシトスの寄生の対象となった受胎者は、表面上、疑似的に魔人として覚醒する。しかし実のところ、真に魔人として覚醒したとは言えず、媒介的に能力を発動しているに過ぎない。ゆえに媒介となるパラシトスなどが取り除かれれば、彼女らは魔人能力を失う。
特に脅威なパラシトスは、中国の伝説に存在する四凶に擬へられるときがある。
パラシトス
マダマテ
愛らしい犬のような姿をしたパラシトス。混沌。
物質や空間をまるで電子情報のように扱うことができ、それによって周囲や自己を複製もしくは書き換える特性を持つ。
現実世界の不可逆性を否定し可逆化させる能力を媒介する。
性格は自閉的であり、人間社会に不干渉的。
特定のものに執着するという性質ゆえか、皇すららという少女に対して、異常な執着心を見せており、マダマテに寄生されたものは、皇すららと同一の存在へと書き換えられてしまう事が確認されている。
ネルファ
翼の生えた少女のような姿をした蟲人のパラシトス。窮奇。
男性との性的接触によって、己が体液を媒介に、対象の遺伝子を書き換える。遺伝子を書き換えられた対象の性細胞は肥大化し、やがてはネルファの幼生へと変貌を遂げる。
また遺伝子を書き換えられたものが、別のものと性接触を持った場合も、同様にその体液を通じて書き換えが行われる。
ネルファは記憶を捨て、少女の姿で男性の前に現れると考えられ、また、その性質上、彼女は何らかの手段を用いて男性を魅了するものとされる。
アビメルム
何層もの次元に渡って存在するものと考えられている。饕餮
アビメルムは魔人の「魂」、つまりはその心を蝕み糧にする。
特にアビメルムの受胎者はアパストルと呼ばれ、アビメルムが安定して魂を得るために、文字通り寄生される。
アビメルムによって蝕まれた魂は、怒りや憎しみなどの負の感情へと変性し、受胎者の心の奥底に蓄積される。その蓄積されていく負の感情は抑圧され、受胎者の精神が崩壊するまで蓄えられる。その限界まで押し込められた負の感情によって、受胎者の精神が崩壊したとき、それまでアパストルと呼ばれていた受胎者はバシリウスと呼ばれるようになり、魔人として覚醒する。このとき、生じた魔人能力は直ちに、術者と分離してシスマとなる。シスマは次なるアビメルムとなるべく1つ下位の次元へと転移を図る。そこに転移したシスマが、新たなアパストルを選び出すというのを繰り返す事で、何層もの次元に渡って、アビメルムが存在する事となる。
以上はアビメルムがこの次元に現れた際の観測データを元にした考察であり、確かな事は何も分かっていない。
このような得体の知れない存在故か、信奉者も多く、彼らによると、
「アビメルムは虚無と根源、その二つの姿を内包する両義的な存在である」
とされ、アビメルムの見せる「悪夢」は、全ての次元に影響を与えると、彼らは考えている。またその夢を見ることができるのは、アビメルムに選ばれた者に限られると言う。
ベフィルン
少女の肉体に巣食うとされる。檮杌。
有機物・無機物の区別なく同化・融合する能力を持つ。
一覧
ヴィリギエル
概念的存在。
実体を持たず、寄生者の魔人能力を歪めることで、その中に自身を作成するプログラムを潜り込ませる。
- 杉能コノハ
- 空憂愛
- 涼原カヤ
マダマテ
上位次元存在。現実世界の不可逆性を否定し可逆化させる。
性格は自閉的であり、世界に対する干渉には興味を持たず、特定のものに対して執着する。
寄生者を物質的かつ精神的に歪めることで、寄生者を束縛する
- 皇すらら
ネルファ
母性的存在。女性的人格を持つ。
彼女の子ども達はワームと呼ばれ、幼虫の姿のまま変化することがない。
ネルファスは記憶を一時的に消し、少女の姿で生まれ直す。
性的接触を通して、人にワームの卵を植えつける。
ワームは人の肉体に擬態し、内側から肉体を喰らい成長する。
- 清々那帰莢(ネルファス)
- 衆洲城 爽(ワーム)
結晶生物
上位次元存在。
- 巣篭そら
シネラリアム
異次元存在。
美しい少女の「死」という精神状態を通して顕現する。
寄生した少女の肉体の内にはびこり、その肉体を常に美しい状態に保とうとする。
- 縋ふうちゃ
- 杉崎ルミネ
ムマ
夢的自己存在。
失われた感覚を通して顕現する。
- ステラ=グレイス(ムマ)
- 数珠浅葱(ムマ)
アビメルム
- 夢売誘子