概要
一般的には、関係を築いた本来の目的ではなく関係そのものに依存してしまい、
その関係から抜け出せなくなった状態に対してこの言葉が用いられる。
こうなると適切な人間関係を築けず、結果として周囲を巻き込みながら互いを不幸にしてしまう。
自尊心や自己肯定感の低い人に多く
「他者から必要とされる自分」に存在意義を見出そうとして
このような状態に陥ってしまうのである。
他にも他者との適切な境界設定ができない、自意識の把握や表現が苦手、
自己の欲求をうまく伝えられない、といった特徴も見られる。
こういった人々の多くは虐待や家庭内不和など、育った家庭環境に問題を持っていた人間が多い。
つまり、「不幸な家庭で育った人間が不幸な家庭を築く」という
負の連鎖を引き起こしてしまっているのである。
当事者のみでこの状態から抜け出すのは困難で、一定の距離を保った第三者の助けが必要となる。
元々はアルコール依存症に関することのみに用いられていた
(アルコール依存症とその家族の関係にこのような状態が多く見られたため)が、
現在では恋愛や親子関係など様々な分野で使われるようになった。
典型的な例としては
「家族に依存するアルコール依存症患者と、患者の介護に存在意義を見出す家族」との関係である。
他には「親から虐待を受けながらもその親をかばう子供」
「DVに苦しみながらも相手から離れられない夫婦」
「過剰な期待を子供にかける親とそれに応えようと藻掻く子供」
「恋人に異常なほど献身的になってしまう男女」などが挙げられる。
治療方法としては、多くの精神病と同様、専門家によるカウンセリングである。
対象者と一定の距離を取らせ、正しい現実認識と自立心の育成を促すことが重要となる。
ただし、依存することそれ自体は病気ではない。
共依存に関して間違った認識を持たせてしまうと、相手を不必要に追い詰めてしまうため
注意が必要である。
ドラマや漫画などのフィクションの世界でもこういった関係が取り上げられることは少なくない。
主題として重く取り上げたものもあれば、ダメ人間同士の関係をギャグ調に描いたものもある。
共依存に基づいた「不健全な恋愛関係」というものに
ある種の退廃的な魅力を感じる者もいるため、
そういった関係のカップルが登場する作品も意外と多い。