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※『刀剣乱舞』の検非違使については、検非違使(刀剣乱舞)



概要編集

検非違使(けびいし、けんびいし)とは、令外官(律令制定後に新設された官職)のひとつ。「非違(不法、違法)を検察する天皇の使者」の意。検非違使別当と呼ばれる長官に率いられた検非違使は、平安京における治安維持と裁判の機能を兼ねており、天皇に直接奏上する特権も持って貴族の犯罪にすら対処できる強制力を有した(坂上康俊「政務処理と法」『律令国家の転換と日本』)。端的に言うと、当時の警察である。


10世紀後半ごろには、桓武平氏清和源氏と言った有力武士団の武家たちが実際の犯人逮捕に活躍する検非違使尉(判官ともいう)に任命されるようになり、都に於ける武士の勢力基盤ともなった(川尻秋生「はじめに」『揺れ動く貴族社会』)。


11世紀に入ると、京都の治安が低下し、日常的に盗賊が活動するようになって内裏にすら侵入している(朧谷寿「末法の到来」『王朝と貴族』)。朧谷によると、犯人捕縛に当たった検非違使の配下には、刑を一部免除された犯罪者である「放免」を用いたため、逆に検非違使の権威を利用して悪事を働く者も現れたという。


検非違使が急速に弱体化したのは、承久の乱がきっかけである。この時、後鳥羽上皇の命により盗賊(と呼ぶにはデカすぎでしょな敵)の追討に動員される。ところが、鎌倉幕府は大人しく捕まるどころか、帝に寝返ると目された一族まで揃って幕府側について、なんと逆に京都に攻め込まれてしまう。


検非違使判官三浦胤義は、最後の一戦を交えんと御所に戻って陣をしこうとするが、上皇は検非違使たちを追い返し、鎌倉に恭順を示すために「胤義は乱の首謀者である」と院宣を出してしまう。胤義たちは、上皇の手のひら返しに激怒しながら落ち延びたが、逃げ切れずに自害した。こうして、検非違使は壊滅的な打撃を受ける。山本幸司によれば、乱後の検非違使は無力化し、京都には群盗が溢れた(山本幸司『頼朝の天下草創』)。この後、六波羅探題が設置されて京都の治安維持権限は幕府側に奪われていった。最終的には室町幕府が京都の市政権を掌握すると、全ての権限は幕府侍所に移って消滅した。


組織編集

検非違使の長官は、「別当」と呼ぶ。その地位は一般に従三位以上と高く、しかも別当の命令すなわち別当宣は天皇の命令たる勅宣に準ずる効力があるとされ、上級貴族すら捕える事が出来る法的根拠が与えられていた。ただし、中納言参議が兼任する名誉職的色彩が強く、普段の実務にはあまり携わっていなかったらしい。次官が「検非違(使)佐(すけ)」で従五位上、別当に代わって実際に検非違使を運営していた実質的な長官である。


佐の下にある実務担当者としては、大尉(たいじょう)と少尉(しょうじょう)、大志(だいさかん)・少志(しょうさかん)が置かれた。大尉は裁判官にあたり、坂上氏と中原氏の世襲。その部下である大志・少志は明法家(法律官僚の家柄)が代々任ぜられ、尋問や審理を担当した。少尉は「追捕尉」とも呼ばれ、事件の捜査と犯人の追補を指揮した。現代で言えば警視警察署長に相当する。少尉は源氏・平氏などの武力に期待できる王家の犬じy・・・もとい武家が任ぜられることが多かった。律令ではかみ、すけに続く第三位の職・じょうを「判官」と呼ぶが、平安時代以降、一般に部署名をつけずに「判官」と呼んだ場合は検非違使の尉を指した。判官と言えば源義経が有名だが、鎌倉時代以降も箔が付く武士の官位として人気があったらしい。部下には府生(豪族や下級官人の子弟で武芸に優れたものが選ばれた、現代で言えば警部みたいな仕事)、火長(衛府の兵士から選ばれた、概ね分隊指揮官~一般捜査員相当)がおり、その下の下っ端には先述の放免が動員されていた。


関連人物編集

  • 源義経 検非違使判官を務めたことから、九郎判官と呼ばれる。ここから、義経を心情的に応援する立場を判官贔屓(ほうがんびいき)と呼ぶ。
  • 佐々木道誉 大河ドラマ太平記の通称「判官どの」。史実でも検非違使の判官として京都の治安や政治に関わっていた。

検非違使が登場する作品編集


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平安時代

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