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概要

JR北海道が運営する北海道新幹線の大部分を有する海底トンネル

1988年に営業開始(在来線のJR海峡線として開業)した、日本で一番長いトンネルである。全長53.85km、海底部23.3km。

戦前から本州と北海道をトンネルで結ぶ構想があったが、1954年に青函連絡船洞爺丸台風15号の被害で沈没し、多数の犠牲者を出したことから、青函連絡船に代わる交通手段として実現に向けた着工が開始された。

1971年に本格的な着工が開始され、1985年に貫通。

このトンネルの新幹線での通過時間は約20分。その間、携帯電話を利用することができなかったが、2018年から順次、携帯電話回線の整備が進められている。

開業当時は世界一の長さを持つ交通用トンネルで、英仏海峡トンネル(ユーロトンネル)に鉄道トンネル海底部分の世界一(海底部37.9km 全長50.5km)、スイスゴッタルドベーストンネル(2016年に営業開始、全長57.1km)に全長の世界一を譲るまでその地位を保った。

在来線列車が運行されていた時代は寝台特急の「カシオペア」、「トワイライトエクスプレス」、「北斗星」や夜行急行「はまなす」の走行するルートになっていた。その長大さ故、青函トンネルを通行する車両に関しては規制が厳しい。また踏切などの障害物が無いため、トンネル内の最高速度も140km/hと他の在来線を上回っていた。

トンネル自体は新幹線規格で建設されており、2016年春に開業した北海道新幹線はこのトンネルを通っている。在来線時代の普通乗車券(青春18きっぷなど含む)のみの乗車特例は新幹線開業の時に廃止され、現在はオプション券発売で対応。

新幹線開業後は在来線からの貨物列車も引き続きこのトンネルを走り、貨物列車と共用の関係上、当初は新幹線側も青函トンネル内は140km/h走行だった。なお、在来線の旅客列車は消滅したが、クルーズトレイントランスイート四季島(TRAIN SUITE 四季島)」の通るルートにも決まっている。

2018年9月からは新幹線列車の速度を160km/hに引き上げる試験を行い、問題がなかったため、2019年3月のダイヤ改正から適用された。これにより、新函館北斗~東京の所要時間は最速3時間59分となり、新幹線対飛行機の所謂「4時間の壁」を破る。

さらに2020年の年末以降、特定の期間と列車(貨物列車の時間を調整し、すれ違わないようにした列車)において210km/h走行を開始した。

建設当時、既に東京北海道圏の移動は航空機が中心となっており、存在意義について明らかに無用であるとの声もあったが、飛行機の保安検査が厳格長時間化したり新幹線が高速化したりしたため、JR側は北海道新幹線札幌開業による競争を見込んでいる。

貨物輸送については航空便や船便より天候に左右されにくいこともあって北海道と本州を結ぶ重要な輸送手段となっている(現在でも旅客列車より本数が多い)。

青函トンネル内の制限事項

火災防止および火災報知機の誤報防止のための事項

  • 緊急時の救援用機()を除き内燃車(ディーゼル機関車気動車)の自走禁止。(内燃車が通行する時は、電気機関車が牽引して輸送または回送する。)
  • トンネル内終日禁煙(開通当初から)
  • コンテナ車に積載する冷凍コンテナは、冷凍機駆動用エンジンが機関車の運転室から遠隔操作で停止できるものに限定。

高湿度による事項

  • 在来線列車が運行されていた時代は保安装置にATC-L型を装備していることが条件だった。これは高湿度で霧が出やすいため、地上設置式の信号機では見落とす危険性が高い事が理由。北海道新幹線開業後は新幹線の保安装置に対応するためATC-L型からDS-ATCに変更された。
  • 高湿度に耐える車両構造であることが条件。

その他

・・・緊急時の救援用機としてDE10形ディーゼル機関車が北海道側と青森県側の最寄の駅にそれぞれ1両ずつ配属されていた。開業前の建築限界測定車の走行ではDD51形も使用されている。

北海道新幹線開業後は奥津軽いまべつ・木古内両駅に1編成ずつH5系が常駐している。

生態系に対する影響

北海道と本州の生態系は津軽海峡で隔てられている。これをイギリス人の貿易商トーマス・ブラキストン氏に則り、「ブラキストン線」と呼ぶが、青函トンネルの開通でその壁が壊されているという指摘がある。

事実として、本州にはいないはずのキタキツネが青森県で確認されており、青函トンネルを通過して本州にやってきたのではないかとも考えられる。

逆にニホンザルが北海道にやって来るのではないかという懸念を抱くかもしれないが、北海道の厳冬の環境を生き抜けるだけの能力があるキタキツネならともかくとして、本州の環境よりも北海道の環境は厳しい為、ニホンザルが定着できないと思われる。

余談

北海道新幹線開業前に採用していたATC-L型は、ATCの装置を使用したATSとして開発していたため、「ATS-L型」としていたのだが申請の際に「制度上、車内信号機による閉塞方式はATSとして認める事はできない」というアレな理由でATCという分類になったそうだ。

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