概要
沖縄県那覇市において沖縄都市モノレール線(愛称:ゆいレール)を運営する第三セクター軌道会社。
2003年8月10日に那覇空港駅~首里駅間の12.9kmが開業。2019年夏に首里駅~てだこ浦西駅間の4.1kmの開業を予定している。
乗車券は北京地下鉄や北九州モノレールでお馴染みのQR乗車券方式となっている(通常の磁気式乗車券と異なる)。
ICカードは本モノレールと沖縄本島の各社バスのみ通用するOKIKAが利用可能。Suica等は利用出来ないので注意。1日・2日乗車券が売っているので、そちらを購入しよう(1日乗車券は観光客向けと認識されているのか、提示することで首里城の見学料など各観光地の利用料が割り引きされる)。
開業までの経緯
かつて明治・大正期にトロッコ鉄道や軽便鉄道が開通したのをきっかけに、戦前の沖縄本島にはいくつかの鉄道が存在していた(代表格として沖縄県営鉄道がある)。
しかし、路線バスとの競争が始まると多くの鉄道会社が経営不振に陥り、さらに第二次世界大戦末期の沖縄戦でそれまであった鉄道路線が完全に破壊され、続く占領軍による鉄道施設跡地への基地建設や鉄道路線跡の道路転換政策、さらには自家用車の普及とバス路線の整備による車社会化により、戦後の沖縄における鉄道文化はほぼ完全に駆逐され(あとはせいぜいサトウキビ運搬用のごく小規模な産業鉄道や、テーマパーク用の小さな遊覧鉄道が点在していた程度)、沖縄の鉄道は長い長い冬の時代に突入することとなった。
その後1970年代に入って沖縄県内での経済活動が活発になると、都市部(主に那覇市)への人口や産業の集中の影響もあり、市内の移動交通手段を自動車に全振りしたツケが慢性的な渋滞となって返ってくるようになり、渋滞対策として鉄軌道を用いた公共交通機関の復活を望む声が日増しに高まりはじめた。
その声を受けて、国や県による協議会が設立され、検討段階にはじまり、調査や各種申請などが延々と行われた結果、協議段階からおよそ30年近くもかかりはしたものの、2003年にようやく開業にこぎつけた。沖縄県において、実に58年ぶりの本格的な鉄軌道路線の復活であった。
なお、開業前および開業直後は「長らく車社会化して久しい沖縄において、鉄道を利用する人がどれだけいるというのか?」という理由から、沖縄都市モノレールの実用性や採算性を疑問視する声は少なからず存在し続けていた。
…が、いざ蓋を開けてみると、バスに比べて渋滞が無く運行時間が正確であることや一度に輸送できる人員がバスよりも多いこと、さらには那覇空港から路線バスの一大拠点である那覇バスターミナルおよび県下最大の繁華街である国際通りを経て世界遺産に指定されている首里城付近まで乗り換え無しで行ける高い利便性や、モノレールならではの「高い場所を走る」という特性から車窓の眺めの良さなどを支持する声がマイカーを持たない地元の学生やお年寄り、あるいは観光客らから次々に上がり、利用者自体も開業してから徐々に増加の傾向で推移しており、2019年にはさらなる延伸計画が決定しているなど風向きは概ね好調であり、そのためか前述のような存在を疑問視する声は開業後数年も経たぬうちにほとんど聞かれなくなった。
「日本最西端の駅」「日本最南端の駅」について
どちらもゆいレールのものではない。というのも、ゆいレールは軌道法に基づいて建設されており、同法においては乗降場はバスや路面電車と同じ「法律上の停留所」であるからである。
どっからどう見ても“駅”に見える大阪メトロむむや名鉄豊川線の“駅”も法律上は「停留所」である。
ちなみに「モノレールだから軌道法」ではない点にも注意(東京モノレールは鉄道線)。
日本最南端の駅・日本最西端の駅は同一で、宮古島に存在する観光リフト「ザ シギラリフト オーシャンリゾート」が鉄道事業法上の索道鉄道線であり、この乗降場が日本最西端にして最南端の「駅」である。一般的な地域内交通・地域間交通の「駅」としては日本最西端は松浦鉄道のたびら平戸口駅、日本最南端はJR九州指宿枕崎線の西大山駅である。
反論は多々あろうが、法律上そうなっているのだから仕方ない。日本は法治国家である以上、法律の改正をもってでなければ、ゆいレールの「自称・駅」は「駅」ではなく「停留所」である。もっとも、法改正をしたところで宮古島のシギラリフトが最南端にして最西端であることに変わりはないのだが…
駅一覧
駅番号 | 駅名 | 乗り換え・備考 | 所在地 |
---|---|---|---|
① | 那覇空港 | 那覇空港のりかえ。 | 那覇市 |
② | 赤嶺 | 那覇市 | |
③ | 小禄 | 那覇市 | |
④ | 奥武山公園 | 那覇市 | |
⑤ | 壷川 | 那覇市 | |
⑥ | 旭橋 | 那覇バスターミナルのりかえ。沖縄県立図書館の最寄り駅 | 那覇市 |
⑦ | 県庁前 | 那覇市 | |
⑧ | 美栄橋 | 那覇市 | |
⑨ | 牧志 | 那覇市 | |
⑩ | 安里 | 那覇市 | |
⑪ | おもろまち | 那覇市 | |
⑫ | 古島 | 那覇市 | |
⑬ | 市立病院前 | 那覇市 | |
⑭ | 儀保 | 那覇市 | |
⑮ | 首里 | 那覇市 | |
⑯ | 石嶺 | 那覇市 | |
⑰ | 経塚 | 浦添市 | |
⑱ | 浦添前田 | 浦添市中心市街地の最寄り駅 | 浦添市 |
⑲ | てだこ浦西 | 沖縄自動車道のりかえ。琉球大学医学部付属病院最寄り駅 | 浦添市 |
使用車両
1000形:ワンマン運転・2両編成。ラッシュ時は5~6分間隔、日中は10分間隔で運転されている。