曖昧さ回避
なぜ私のことを知りたいのだ?!(概要)
エニックス(現スクウェア・エニックス)より発売されたRPG『ドラゴンクエストⅣ導かれし者たち』に登場するキャラクター。本作のラスボス。
とある理由で人間を嫌い「デスピサロ」を名乗り魔族の王として世に君臨し、その天敵である「伝説の勇者」の出現を阻止しようと目論む。
今のところ勇者が力を付けないうちに抹殺しようと自ら前線に赴いた唯一の魔王である(部下を使って抹殺しようとした魔王は他にもいる)。
その強さと冷酷さにより人間には恐れられているが、指導者に相応しい厳格さと器の大きさ、カリスマ性を持つため部下の魔物達からは崇拝されており、ロザリーヒルの住民にも信頼されていた。
ちなみに、作中では明かされていないが、第5章の冒頭、勇者の暮らしていた山奥の村に迷い込んで来た「旅の詩人」はピサロが化けた姿であり、彼の扇動によって山奥の村は勇者を残して滅ぼされてしまっている。この事実は、CDシアター版で明かされており、また小説版では黒ずくめの騎士として登場している。
本作では前作までの単純な勧善懲悪の図式から脱却しており、必ずしも人間側が一方的な被害者としては描かれていない。天空人、地上人、エルフなど亜人、魔族の関係が明確でない上、マスタードラゴンや天空人の傲慢さや閉鎖性、人間のエルフ狩りなどの所業を踏まえれば、ピサロが人間の撲滅を掲げていた理由はそれなりに想像はつく(多数派からの少数派に対する差別など)。
ただ、ドラクエシリーズは基本的にゲーム内世界の具体的な社会情勢や種族間の関係などの描写を深く掘り下げない傾向にありこれらの事情もゲーム内で深く語られないためわかりにくく、良い印象がもたれにくいのも確かである。
来歴
人間に襲われていたエルフの娘を助け、行く宛のなかったエルフの娘に「ロザリー」という名前を与え2人で暮らしていたが、ある日世界征服の野望を抱いて村を飛び出したことが住民によって語られている。
世界を魔族のものにするべく、魔物たちを従え地獄の帝王の復活のために奔走し、人間を根絶やしにする決意を固める。
一方で、ロザリーに対しては優しい姿を見せており、彼女を守るために塔を建造し魔物たちに守護させ、人間たちのエルフ狩りから守っていた。
そんな中、目覚めたばかりの地獄の帝王が勇者に倒されてしまうという想定外の事態となった上に、ロザリーを人間に殺されたことで憤怒と狂気にかられた結果、様々な研究・実験の末に完成させた進化の秘法を自らに施す。
しかしその結果、肉体は比類なき強力なものになったが、精神がそれに耐えられずに自我が崩壊。ロザリー等に関する一切の記憶は失われ、人間を根絶やしにするという意思のみが残り、デスキャッスルを抜けた大きな山の奥にて勇者たちを待ち受ける。
その悲劇的な運命からファンの間での人気は高く、Pixivでも多くのイラストが投稿されている。
特に勇者との対比を強調したイラストや、ロザリーとのカップリングイラストが多く見られる。
来歴(小説版)
大幅に設定が盛られている。久美沙織節全開。
魔界の帝王ナルゴスの孫。ナルゴスの子らのうち、長男と次男は抗争の末に死亡、柔弱な三男・ニュイイと陰険な四男・ヘイゲンが次の王座を競う中、父ニュイイの補佐を務めつつ、老いたるナルゴスからの期待は血族の中でも最も高かった。
ナルゴスに恭順をよしとせずに戦い滅んだエルフ族の都・サルムラーンにて、唯一生き残った幼い王女を発見。密かにこれを匿い、ロザリーと名を与えて育てた。早い話が光源氏計画で、まだ幼いロザリーの我儘を諫める為にけしからんことをしている。
ロザリーとの愛を深める中、ヘイゲンの息子ミアソフがこれに気づき、計略をもってナルゴスに注進。失望したナルゴスによって記憶と力を奪われ、ロザリーともども地上へと放逐されてしまう。通常魔族は陽光を嫌うが、この時は陽光の下でも普通に生きられる身となっており、心優しい青年としてロザリーやホビット達と共にロザリーヒルを建設。穏やかな日々を送った。
やがてロザリーの献身的な導きによって徐々に力を取り戻すが、人間に扮して海辺の村の祭りに参加した時、占い師に見とがめられて呪いの言葉をかけられる。折しも魔界では危篤状態に陥っていたナルゴスが、今際の際になってピサロ追放に関与した黒幕の存在に気づく。ナルゴスは最後の力をもってピサロの記憶を解放する。かくして「魔族の王子」は復活を果たした。
その後ニュイイとヘイゲンの抗争に介入。黒幕の思惑通り、ミアソフごとヘイゲンを排除した後は父を帝王の座につけたが、魔物達からは真の王として崇拝されていた。
地上に満ちて同族ばかりか獣や妖精を虐げ、無駄に大地を食い漁る人間を嫌悪し、その絶滅を決意。黒鉄と黒い宝石と黒い羽でできた仮面をつけて「デスピサロ」を名乗り、自らを滅ぼす運命にある勇者の発見と殺害、太古に覇を唱えた地獄の帝王エスタークの復活、進化の秘法の完成に必要な黄金の腕輪の入手……と、次々と計画を推し進める。
その過程においてカメレオンマンを倒したアリーナの存在を知るが「人の子にあっていとも稀有な花。いずれ摘み取られる運命だが、開花を待たずに摘み取るのは無粋」として見逃す。また興味本位でエンドールの武術大会に出場するが、エスタークを予知夢で感知したサントハイム王と城の人々がキメラの翼で転移しようとするのを妨害した結果、彼らを時空のあわいに飛ばす結果となる。これがちょうど武闘大会決勝と重なっており、結果的に二度アリーナは命を救われている。
勇者の抹殺に成功した後はやや無気力になっていたものの、キングレオの死によって勇者が生きていた事を知ると、ようやく張り合いを見出す。その後無人となったサントハイム城に立ち寄り、城を預けたバルザックの様子を密かに覗き見る中で猫(ミーちゃん)を抱き上げて愛でるなど、人間以外には優しい一面を見せた。
しかしアッテムトの地下でエスタークが発見され、復活を待ち望む中、ロザリーヒルの塔に隠していたロザリーが黒幕の手引きによって誘拐される。衝動的にその場を離れ、陽光に焼かれて苦しみながらもロザリーの元に駆けつけるが、欲深い人間達に痛めつけられていたロザリーは死亡。愛するものを抱き締めながら放たれた慟哭は波動となって世界を駆け、勇者(ユーリル)を衝撃で打ちのめし、父ニュイイも血脈の繋がりからより強い衝撃を受けて死亡した。
更にエスタークが勇者一行に倒され、アッテムト鉱山は崩落。大半の部下が生き埋めとなり、戻った時には何もかもが手遅れとなっていた。
全てを失い放心状態になるピサロは、黒幕の目論見どおりに進化の秘法で怪物になる事を選択。魔界の最奥にて勇者一行と対峙するが、その心はとうに壊れ果て、黒幕の操り人形と化していた。無限に再生する強さで勇者たちを圧倒するが、些細な偶然によって秘法は失敗。黒幕を討ち果たした勇者たちの手により、光へと導かれる。
忌まわしいだけの光の中で本来の姿を取り戻し、ロザリーの霊と再会を果たす。デスピサロとしての仮面を取り払われ、二人の愛の証であったサークレットを授けられると、子供のように泣きじゃくりながら、光の中へと消えていくのであった。
容姿
原作であるFC版では、魔物化(デスピサロ時)の姿以外の立ち絵が存在しなかったこともあり、『4コママンガ劇場』や小説版などの媒体では各作家のイメージで描かれることがほとんどだった。
4コママンガ版(作家多数)
左が新山たかし版、右が牧野博幸版のピーちゃn…ピサロである。
デザインこそバラバラだが、多くは「美形の若い青年」「折襟の上にマントを羽織った気品ある衣装」「エルフ耳」などの特徴が踏まえられている。また髪型に関しても、ドット絵や攻略本では黒髪に描かれたが、作家によって金髪や白髪、あるいはその他の色で彩色され、ヘアスタイルや髪の長さも人それぞれである。
ちなみに、一部でピサロの事をピー坊やピー助などと呼ぶようになったのは4コママンガ劇場の牧野氏のネタからである。
小説版(いのまたむつみ:画)
小説版(久美沙織:著)の挿絵に描かれたピサロ。
前述のマンガ版と同様、現在のデザインが公開される前に描かれたが、銀髪や黒い衣装など後述のリメイク版公式デザインに何かしらの影響を与えたと思われる。
ちなみに髪型は頭頂部で髷を結っているような感じ(ポニーテール)。
出自が由緒正しい魔王の家柄であったり、ロザリーの設定など原作との相違点もいくらか見られる。
なお、こちらでの瞳の色は金色。
リメイク版(鳥山明:画)
2001年発売のPSリメイク版にて、ようやく公式でイラストが設定される。
本作では、銀色の長髪(アホ毛付)が特徴の端正な顔立ちの青年の姿となり、衣装は黒と赤を基調とした貴族服で、毛皮のマントや髑髏の装飾品を着用している。また、左腰には柄や鞘が禍々しく装飾された大きな剣を携えている。
以降はコチラが正式なデザインとされ、後年発売のシリーズ派生タイトルでもこの姿で登場している。
余談だが、Vジャンプの漫画ではピサロの女性バージョンである魔界の女剣士「クイーンピサロ」が存在する。
デザインは上記の公式イラストで、端正な顔立ちや長髪など元のデザインが中性的だったこともあり、違和感のないものに仕上がっている。
ちなみに巨乳である・・・。
その他
ちなみに、導かれしものたち一行の内で直接的な因縁があるのは、勇者を除くと武闘会で闘えなかったアリーナくらいしか居なかったりする。
ただし、ライアンの場合は彼の章のボスがピサロの手先であり、マーニャ、ミネア姉妹については父が発見し、仇のバルザックが奪った進化の秘法が関わっている以上、完全に無関係というわけでもない。
アリーナの従者であるクリフトとブライ、そしてトルネコとは直接的な関わりが殆ど無い。
彼の本当の種族は・・・?
公式には魔族とされており、鬼に近いという説もある。
一部ファンの間では「じつはロザリーと同じエルフ族では?」「堕天した天空人などでは?」などの意見もある。
お前のための関連タグじゃないぞ
ネタばれだぞ? まあいい、好きにしろ。見たら貴様のせいだからな。
リメイク版の展開
リメイク版では、一度クリアすると世界樹の花によってロザリーを生き返らせることが出来るという派生イベントが追加されており、蘇生したロザリーを連れてデスピサロの元に行くと彼女の説得でピサロは正気を取り戻し、進化の秘法の力を破って元に戻る。その後、ピサロは真の悪・エビルプリーストを倒すために勇者たちの冒険に同行することになる。
仲間になった後の彼の性格は明らかにツンデレである。そのツンデレぶりで彼の人気がさらに上がったという説もあるとかないとか。
ただし、そもそもロザリーを殺される以前から人間の根絶やしを目論んでいるだけでなく、これまでの悪役以上に数々の非道な悪行を働いていたのも事実で、「悲劇のラスボス」として扱うのに異を唱えるファンも多い。
第1章では、「勇者となる子供が分からない」のを理由に手当たり次第に子供を誘拐させたり、第5章の冒頭では「勇者になり得る」というだけでまだ何もできない子供同然だった勇者のいる山奥の村で虐殺の限りを尽くしたり、「世界中の葉の力が厄介」というだけで庇護していたはずのエルフ達の住まう世界樹を焼き払う計画を立てている等、ピサロは明らかに人間の命を軽く見ており、結局やっている事は、欲望のままにロザリーを迫害した上で死に至らしめた悪人達と何一つ変わっていないのではないかと言えなくもない(目的とは無関係な人間まで平然と犠牲にしている点を見れば、ロザリーを死に至らしめた悪人達よりも性質が悪い)。
特に主人公である勇者の立場からしてみれば、家族や友人達を理不尽な形で殺された怨敵とも言える相手で、復活したロザリーに懇願されたとはいえ、その心情を考えればピサロを仲間にしようなどと考えたり、全ての責任に関し強引にエビルプリースト一人に押し付けようなどとする事は無いはずである(しかもピサロは、仲間にはなっても改心している訳ではない)。
それ故に、リメイク版でのこの展開に対しては、人気キャラクターであるピサロを判官贔屓的に持ち上げ過ぎていて、勇者を始めとするピサロの独り善がりな行いの犠牲になった者達の事に関し、無思慮過ぎるのではないかと批判的な声も多く、結局の所、賛否両論という形で落ち着いている。
性能
ホイミン等のNPCとは異なり、こちらの作戦に従ってくれるし武器・防具の装備変更も可能で、隠しで専用の武器・防具も存在する。呪われた武器・防具を平気で装備出来るのは魔族故であろう。
強力な攻撃魔法・回復魔法を複数使用し、さらにまじん斬り、メタル斬り、ムーンサルト、ジゴスパーク、終いにはあのマダンテまで使えてしまう。
…進化しない方が強いんじゃないか?というツッコミは却下だぞ!!
ちなみに彼が仲間入りするのと同時にロザリーも冒険に同行するようになるが戦闘には参加しない。
派生タイトルでの扱い
上記の経緯もあり、以降の派生タイトルでは敵キャラ・味方キャラの両方でゲスト参戦している。
モンスターバトルロードビクトリー
ゲームの世界から王者決定決戦に乱入し、主人公に戦いを挑んでくる。
原作での肩書きは「魔族の王」だが、本作では「魔剣士」となっており、一人称も「私」だったが「オレ」に変わっている。
本編クリア後は町の港に出現、彼の持つ大魔王と対決して勝つとそのカードをくれる。
大魔王としてデスピサロも登場するのだが、とどめの一撃はわざわざ元の姿に戻って放つ。
そのため、一部からは『退化の秘法』と呼ばれていることも。
両形態こちら側として使う事も出来る。
ドラゴンクエストヒーローズ
配信コンテンツにてプレイアブルキャラクターとして登場。
同じく肩書きは魔剣士だが、武器は大剣と体術、ドルマ系呪文を使用する。
ヘルムードの計画により次元同士を隔てる壁に綻びが生じ、自身と同じ魔族がヘルムードに操られている事を知り、エルサーゼに転移。アリーナ、クリフトから敵とは認識されていないなど、リメイク版EDの後だと思われる。
必殺技で進化の秘宝を使い、なんとデスピサロの姿へと変身するなど、存分に使いこなしているようだ。
世界樹での戦いでアクトらを二度助けているが、仲間にする為にはピサロと戦うサブクエストをクリアしなければならず、彼だけでなくピサロナイトも相手をしなくてはならない。
2でも登場、使える場所は限られているがさらに強くなっている。
プレイヤーキャラクターの1人として参戦。
「魔剣士」という職業に属しており、自身の最大MPを増加させる「MPブースト」戦術や、
癖の強い強力なカードの扱いを得意とする。
ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3プロフェッショナル
人間形態である彼も『魔剣士ピサロ』名義でまさかの参戦。
攻撃、素早さ、賢さが非常に高く、体力と守備力が低めという速効アタッカー向きの能力。
サイコピサロ、真・魔王ザラーム、大魔王マデュラージャ、マスタードラゴンの4体配合で生み出せる。
並べただけで分かるとおり配合難易度はデスピサロなどの比ではない、というかデスピサロは寄り道イベントでそのまま仲間に出来る。
豆知識から見るに進化の秘宝から解き放たれ6章後の静かに暮らしている彼をイメージしているようだ、それならデスピサロより配合が難しいのはおかしい事ではない…かも。
さらに彼は進化の秘宝でパワーアップした大魔王マデュラージャの裏形態、「魔界神マデュラーシャ」に必要となる…進化の秘宝から開放されたと思ったら進化の秘宝を使いこなした(?)魔王の配合に必要という道のりを辿るという事である。
関連タグ
モンスターバトルロードビクトリー ドラゴンクエストライバルズ ラゴンクエストヒーローズ ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3