東武30000系とは、東武鉄道の通勤型車両の一形式。
伊勢崎線・日光線系統(南栗橋車両管理区と、その支部)のみだったが、ごく最近東上線系統(森林公園研修区)に31601F+31401Fが転出した。
東武の新製車で、最後のアルナ工機製である。また、一部車両は富士重工製(31406Fのみ)と東急車輛製がある。
概要
東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線との直通運転開始に先立ち、平成7年に登場した。
乗り入れ相手に合わせ、10連で登場したが、当時はそれがまだ計画段階であったため、当分は地上線での運用にとどまるため、6連+4連という、地上線・地下鉄直通運用の双方に対応したフレキシブルなスタイルで登場した。このスタイルは、最終編成まで変更されることはなかった。
車体
10030系・20000系シリーズに引き続き、軽量ステンレス製で、臙脂(えんじ)色の帯を巻いている。
先頭部は窓を大きく取り、側面は窓を2連窓とした。種別・行き先表示機は3色LED式で、正面は左側の窓の上部に種別表示装置を、貫通扉上に行き先表示機を、それぞれ設置している。
側面は一体型で、横にものすごく長い。近鉄のシリーズ21を彷彿とさせる。
性能
半蔵門線・田園都市線に合わせ、最高速度は120km/h、加速度は3.3km/h/sとされた。
制御装置には東武初となるIGBT素子使用のVVVFインバーターを搭載した。このインバーターは、日立製であるが、IGBTの草創期に登場したため、変調音が独特である。
MT構成は、6連では3M3T,4連では2M2Tとなっており、合計で5M5T、比は1:1となっている。首都圏私鉄のVVVF車の大半は、MT比率が1:1となっており、特に変わった特徴はない。
内装
座席は青を基調とし、赤のストライプが巻かれている。
また、座席には仕切り板があるが、これは製造時期により、
- 長方形で、角が丸くなっているタイプ
- JR東日本の209系のような形状で、色が淡い青に塗装されているタイプ
の2タイプがある。どちらも片持ち式ではなく、座席下部から床にかけてヒーターが置かれている。
最近の動向
30000系は先述のとおり6+4の10連で登場した。
そして、半蔵門線・東急田園都市線との直通運転が開始され、東武からは本形式のみが運用に就いた。
だが、そんな30000系は編成上の特性から、まずい弊害が起きた。
それは朝夕ラッシュ時にとんでもない混雑を見せる渋谷駅半蔵門線ホーム。
この駅では、5号車と8号車付近のみに階段がある。
しかし、30000系は、4・5号車が連結位置となるため、定員の少ない先頭車が最も混雑するとされる5号車に来るため、ラッシュ時にはこの電車は非常に乗り降りに時間がかかったり、すぐに満杯になってしまったりしてしまう。
そこで、東武は東武50000系の派生車である50050系を投入することで、この問題の解決を図ろうとした。
50050系は10連固定で、浅草への乗り入れを考慮していないため、先頭車が編成中間にくることは絶対にない。
これにより、30000系は50050系に押されていき、ATCを譲って地上線運用専用となった。
現在、3社直通対応の30000系はわずか2本(31606F+31406F、31609F+31409F)しかない。変化というものは実に速いものである。これらは、足利方面への臨時直通列車によく使われている。
また31601Fと31401Fが東上線に転出した。