概要
東アジア〜タイにかけて広く分布する鞘翅目(コウチュウ目)・コガネムシ科・カブトムシ亜科・真正カブトムシ族・カブトムシ属の昆虫。今森光彦著の『世界のカブトムシ』ではツノカブトと表記されている(日本産は後述)。
学名は「Trypoxylus dichotomus」。
山奥よりもある程度人の手が入った里山の雑木林などを好み、密林の奥地などを好む世界のカブトムシ類と比べても珍しい生態とされ、最も北に生息しているカブトムシである。
雄は大きな二又の頭角を有する。他の多くのカブトムシと同様、角は雄のみに存在し、メスは普通のコガネムシのような姿をしている。この立派な角の付いた頭部と丸い胸部を合わせて見ると兜のように見えることからこの名が付いた。ちなみに外側に枝分かれした角を持つカブトムシは実は世界的に見ても珍しい。
雌は胸角を掴めば素手で容易に捕獲できるが、雌は突起が無く、掴む場所は体の側面にならざるを得ない為、やや難易度は高い。更に足には木を掴むための鉤爪がある為、手に登られると結構くすぐったい…というか痛い。流石にしっかりケージの蓋をしていれば逃げ出さないとは言え、木の幹に潜んでいる事の多いクワガタとは異なり、油断していると飛翔して逃げる事がある。
雌は脚の脛節(人間の脛に相当する箇所)に鋸状の突起物を持ち、これは腐葉土に潜る為と考えられている。
成虫は主にクヌギ・コナラ・ヤナギなどの樹液を食べている(残念ながら海岸線などの松林にはいない)。口上部の突起で樹皮を削って樹液を出すこともできる。
後述する通り、甘い果物も好み果物を食べてしまうために農家からは農業害虫として扱われていることもある。果樹園の地面に落ちた果実に寄って来る事もあるという。
雌は雑木林などの腐葉土および、農家の堆肥の中に卵を産み、地中で孵化した幼虫はそれを食べて暮らす。甲虫は体が硬いため成虫になってしまうと大きさは変わらない、そのため幼虫の間にたくさん餌を食べれば食べるほど後の身体がドンドン大きくなることとなる。
なお、かつて昭和中期までの東北地方山間部などでは、木材が主食のカミキリムシやクワガタムシの幼虫を冬場の蛋白源として食用としていたが、カブトムシの幼虫は堆肥や腐葉土が主食のため食用に耐える代物ではなかったようだ。
天敵として、成虫はカラスなどの鳥類やタヌキなど、幼虫と蛹はモグラ、寄生バチ、ケラ、ダニなどが挙げられる。
亜種
9亜種に分類される(イラストはツノボソカブト)。
原名亜種(ssp.dichotomus)
ヤマトカブト(ssp.septentrionalis)
日本に分布。一般的は国産カブト、日本のカブトムシ等とも呼ばれるが、後述の亜種やサイカブト、コカブトといった日本に分布する他種カブトムシと区別するため当記事ではこの名称を用いる。
北海道及び沖縄本島は本来の分布域では無いが、国内外来種として帰化しており問題となっている。
ヤクシマカブト(ssp.shizuae)
オキナワカブト(ssp.takarai)
沖縄本島に分布。
詳細は当該記事参照。
クメジマカブト(ssp.inchachina)
久米島に分布。
ツチヤカブト(ssp.tuchiyai)
口永良部島に分布。
亜種名は昆虫雑誌『ビー・クワ』の編集長土屋利行氏にちなむ。
ツノボソカブト(ssp.tunobosonis)
台湾に分布。
ツヤカブト(ssp.politus)
インドカブト(ssp.xizangensis)
メディアでの扱い
カブトムシを参照。
当項目では昆虫(主にカブトムシ・クワガタ)を題材にしたエンタメ作品での本種について記述する。
トリビアの泉
企画にてヘラクレスオオカブトとの3本勝負中1本取り、準優勝する。
世界最強虫王決定戦
肩書は「日本のラストサムライ」。
甲虫王者ムシキング
2亜種及びゲームオリジナルの個体が登場している。
当時はサビイロカブトと同属とされており、学名もAllomyrina dichotoma表記であった。
カブトムシ
初期シリーズから登場。つよさ120、アタックタイプ。必殺技はパー。肩書きは「甲虫の王者」。超必殺わざは「トルネードスロー」。
ムシカード無しでプレイする際に使えるカブトムシはつよさ100、性格なし。
超必殺わざの「トルネードスロー」は、体の小さいカブトムシがムシキングの「キングトルネードスロー」をお手本に編み出した技らしい。
その割にはグラントシロカブトも使えた。もっとも、2004ファーストプラスまでに登場していた甲虫は他の甲虫と超必殺わざを共有していたのもあるが。「新甲虫王者ムシキング」では超必殺わざの共有は全種撤廃された。
サビイロカブトとはタッグマッチで同時に使うとタッグチーム「甲錆砲(こうせいほう)」が発動し、固有合体技「ブーメランインパクト」ならびに合体超必殺技「トルネード・ダイシャリン」が使えた。
なおカブトムシがサビイロカブト属から独立したのはムシキング稼動期のことだが、ムシキングでは(属がステータスとして機能するためか)オオクワガタとは違い最後まで旧学名で通した。なお、このアロミリナ属は唯一「固有名詞付き甲虫」でタッグ相性◎にできる属である。
なおアダー完結編ではカブトムシにサビイロカブトをカスタマイズすると専用の合体わざが使えた。
新甲虫王者ムシキングでは2015 1stから登場。ノコギリクワガタなどと並んで1st、2nd両方に登場する数少ないムシである。階級はR。
とあるカップで優勝するとSRに覚醒し、肩書きが「王者覚醒」、技も「スーパートルネードスロー」になる。
残念ながら技のシステムが旧版と異なるため究極必殺技という括りではないが。
超神化編では1弾よりストーリーの鍵を握るムシとして赤目のゴッドフォームのカブトムシが登場し、カナトにテレパシーを使って呼びかけた。
その後4弾メインシナリオ5章最終戦のチャレンジボーナスとして(赤目ではなくなっているが)GRとしてカード化可能(1記録1枚のみ。要は激闘編の彼のようなもの)。肩書きは「覚醒の刻(かくせいのとき)をまつゼウス」、必殺わざは「シャイニングトルネード」。紋章の文字は「MYSTIC」でパートナーもカナトだがガイアの2匹と異なり色は金色。
また7月中旬よりこのGRカブトムシを肩書きのとおりSGRに覚醒できるようになった。覚醒後の肩書きは「絆の王者ゼウス」、必殺わざは「キングトライアングル」。
オキナワカブト
2007ファーストにて、沖縄固有の亜種「オキナワカブト」が登場。詳細は当該記事参照。
ムシキング
詳細は当該記事参照。
キング
今賀俊版コミカライズ(森の救世主)のムシとしての主人公。
詳細は当該記事参照。
カブト丸
ザックの冒険編のムシとしての主人公。
詳細は当該記事参照。
タケゾー
新甲虫王者ムシキングのマスコットキャラクター
CV:小野坂昌也。
激闘6弾、超進化3弾にてカード化。レアリティはN。
余談
英語版では「という名称になっていたが、実際に英語圏ではその呼び名は農作物の害虫であるコガネムシ科のマメコガネを指し、ヤマトカブトのことは「Japanese rinoceros beetle」と呼ぶ。
どうぶつの森
第一作から登場している。