解説
1954年生まれ。誕生日不明。
ドラコ・マルフォイの父親。純血魔法族聖28一族名家・マルフォイ家の当主。
魔法省に多大な寄付を施し、ウィルトシャーに屋敷を構える大金持ち。純血主義者。
妻ナルシッサ・マルフォイと息子ドラコを溺愛している。
しかしそれはあくまで待遇面においてであり、躾や教育に関しては厳しく、息子を遠方のダームストラング校に入学させようとしたり、マグル出身であるハーマイオニー・グレンジャーに成績で劣った息子の言い訳を「お前が恥じ入って然るべき」と一蹴した。
アズカバンに収監された際、ドラコが深い怒りを抱いたことから、厳格な父親ではあってもドラコからも愛されていた模様。
ちなみに息子ドラコのミドルネームはルシウスである。
ホグワーツ魔法魔術学校在学中はマルフォイ家の例に漏れず、スリザリン寮所属。
5年生時はホグワーツ監督生を任されるなど模範的な生徒だった。得意科目などは判明していない。
またヴォルデモート卿を支持する死喰い人で、失墜するまではその中でもリーダー的存在であった。参加時期は不明。神秘部の戦いで倒れた古参のノットをあっさりと切り捨てていることから、彼よりも地位が高い可能性が高い。ヴォルデモートも分霊箱の一つを預けるなど、それなりに信用を置いていた。だが、必ずしもヴォルデモートに忠実というわけではなく、立場を私的な目的に利用することも多い。ヴォルデモートが謎の失踪を遂げた後は「協力を強制された」と言ってアルバス・ダンブルドアの側に真っ先に帰参した。ヴォルデモートの復活後はそのことを責められた。
死喰い人の関係者との知り合いがやたら多く、クラッブ、ゴイル、ノットだけでなくダームストラング校長のイゴール・カルカロフや魔法省の処刑人ワルデン・マクネアともお友達。セブルス・スネイプはお気に入りの後輩。
とにかく地位に執着し失うことを恐れる性格であるらしく、前述の露骨な寝返りのほか、リドルの日記が破壊される原因を作ったことがヴォルデモートに知られて凄烈な怒りを買い、失墜する。
その後ヴォルデモートに、マルフォイ家に代々受け継がれていた杖を奪われたり、息子のドラコ・マルフォイにダンブルドアを暗殺するという無理ゲー任務を与えられたり、ボロ雑巾になるまで拷問されたりと、様々なパワハラを受けた。その後も捕えたハリー・ポッターを差し出して復権を図ったり、ベラトリックス・レストレンジと言い争ったり、ホグワーツの戦いへの参戦を願い出たりと地位のために積極的に活動する。
最終的にはホグワーツの戦いに参加しなかったこととナルシッサの保身によって寝返った格好になり、さらに死喰い人残党の捕縛に協力したためヴォルデモートの死後も破滅することはなかった。
偶然もあったとはいえ、めちゃくちゃ世渡りが上手いと言える。続編の『呪いの子』ではドラコがマルフォイ家の当主となっているため、たぶん家が没落とかもしていない。ぶっちゃけ勝ち逃げに等しい。
マルフォイ家がそもそも中世くらいから純血主義を掲げつつ裏でマグルとも癒着するという余りに狡猾な家風なので、まさにルシウスはそれを体現した男と言えるだろう。また、ナルシッサも同様にそもそも基本的に「家族>自分>純血主義やらヴォルデモート」なのであり、純血主義や死喰い人の立場も極論手段でしかない。そういう意味では真に邪悪な男でなく、息子のドラコが人殺しができないのも納得である。
といっても、暴力に頼り、死喰い人として数々の非道を犯してきたことは間違いないが。
また、息子のドラコやその嫁のアストリアが改心したのに自身は未だに純血主義を継がせようとしていたり、ヴォルデモート復活などのリスクが高い逆転時計の制作を依頼しているなど、本当に反省したのか微妙な描写も時々見受けられる(最も後者に関してはその真意やどこまで意識していたかは明らかにはなっていない)。
「愛」が強い力を持つとされるウィザーディング・ワールドにおいて、家族愛だけは貫いたマルフォイ一家が破滅を免れたのも当然といえば当然の話である。
また、映画『不死鳥の騎士団』での神秘部の戦いにおいては、シリウス・ブラックに対して不意打ちできる状況であったにもかかわらず、わざわざ「ブラック!!」と呼んで正面から正々堂々と戦おうとする一面もあった。
能力
アバダケダブラを習得しているなど、魔法の実力も立場相応に高い様子だが、映画版では押されている場面しか登場していない。
2作目でドビー、5作目でシリウス・ブラック、7作目でハリーと、3回も吹き飛ばされたり、失墜後はフェンリール・グレイバックから意気地がないと罵られる等、ヴォルデモートに次ぐ地位にいたとは思えない扱いとなっている。
だが原作ではベラトリックス・レストレンジの放った呪文を強引に屈折させる技を披露する。『ハリー・ポッター』世界での呪文は、基本的に一方通行で呪文を止めるには反対呪文で相殺するか防御呪文で弾くかで処理され、呪文を捻じ曲げるという魔法は作中でルシウスしか行っていない神業である。
総じて優れた才能と技量を持っていたが、それを活かして活躍するにはメンタルが弱すぎたと言えよう。
余談
ニュージーランドで発見された新種の蜂に彼の名前が付けられた。
また、未遂だが映画版では作中で死の呪文を初めて使おうとした人物でもある(ハリーの策略によりドビーを解雇させられたことに激高して「アバダ…」と詠唱している)。
彼の使用している杖は45.7センチ(18インチ)と作中最長だが、これはルシウス個人のものではなくマルフォイ家の家宝として当主に代々伝わる杖らしく、オリバンダー製であるかは不明(楡+ドラゴンの心臓の琴線の組み合わせはオリバンダーも扱っている)。
『死の秘宝』の序盤でボスに借りパクされた挙句、ハリーの杖の対ヴォルデモート自動迎撃機能によって破壊され次期当主の手には渡らなかったが、映画ではその後別の杖を使用しており、詳細は不明だがこれがルシウス個人の杖である可能性がある。