紀州鉄道
きしゅうてつどう
概要
路線全長わずか2.7キロの、『日本最短のローカル私鉄(※)』である。
列車本数は1日23往復と、ローカル線としては比較的多い。これは、御坊駅が市街地からやや離れており、御坊市街中心部へのアクセスを図るため、JR和歌山駅~御坊駅間運転の紀勢本線普通列車との接続を出来る限り取っているためである。かつては毎時2本運転のJRの普通列車とほぼ完全な接続を行っていたが、利用客数の減少に伴い一部列車が削減されて現在では2時間あたり3往復の運転とされている。このため、日中の運行間隔が約30分-30分-60分といういびつなサイクルとなっている。
紀州鉄道は鉄道会社ではあるが、不動産事業が主体の会社であり、
鉄道事業は顧客の信頼を得るための、いわゆるステータスとしての意味合いが強い。
元は御坊臨港鉄道という、港湾地区の付近を走行するだけのローカル私鉄であったが、ネームバリュー欲しさに東京の不動産業者がこれを1億円で購入したという曰くがある。なお、路線規模が規模だけに赤字でも全く廃線の話を聞かない。同じ和歌山県の他のローカル私鉄が全廃され、あまつさえ南海グループの貴志川線すら一時は廃線危機に陥ったのとは対照的とも言える。
ホテル・リゾート事業も営んでおり、「紀州鉄道ホテル」が全国各地にある。鉄道会社がホテルを運営する事例は日本各地にあるが、大抵は地元中心である。しかし紀鉄の場合、鉄道線に最も近い「紀州鉄道ホテル南紀白浜ビラ」ですら、車かJR線で1時間かかったりする。
そんな紀州鉄道であるが、およそ30年前に開業50周年の記念切符を販売したところ飛ぶように売れ、鉄道事業部事業所(事実上の鉄道部門本社)のある市内中心部の紀伊御坊駅の駅舎の建て替え費用がなんとかなってしまったという伝説を持っており、意外と「本業」も馬鹿に出来ないのである。
車両は、元北条鉄道のレールバスが走行している。今や国内で旧型のレールバスに乗れる唯一の路線。なお、レールバス以前は大分県の大分交通耶馬渓線の廃線に伴い転籍したキハ600型が30年以上に渡って使用されていた。
※ 鉄道会社全体では、現在は芝山鉄道が日本最短。ただし芝鉄には延伸の話がある。