九試単座戦闘機
三菱内燃機製造(後の三菱重工)が開発した戦闘機。後に零戦を設計する堀越二郎技師が設計した試作戦闘機である。
従来の戦闘機と一線を画す空力的に洗練された形状で、沈頭鋲の全面採用、翼端の「ねじり下げ」など随所に先進的な工夫を折り込み、航空後発国であった日本の戦闘機が一気に世界のトップレベルに達したことを告げるエポックメイキングな機体であった。
なお、空母に乗せる艦上戦闘機の試作品ながら単座戦闘機となっているのは、設計に極力枷をはめないように努めた海軍の配慮から来ている。当時の艦上戦闘機は複葉帆布張りの時代であり、本機が海軍機としては最初の全金属製低翼単葉機であった。
結果としてそれまでの戦闘機の性能を大きく更新する九六式艦上戦闘機の雛形が誕生したのである。正式採用され量産化された九六式艦上戦闘機ではオミットされている逆ガル翼が、この機体の外見的特徴である。
堀越二郎を主役にした映画「風立ちぬ」では、堀越の夢の実現という形で描写されている。