ヴァルナ(Varuna)はインド神話に登場する神。
アーディティヤ神群の最高神で、デーヴァの代表インドラに対してヴァルナはアスラの代表とされる。
「リグヴェーダ」では、天則(リタ)と掟(ヴラタ)を護持して世界の秩序と運行を守り、人間を監視して悪行に裁きを下す司法神として最も重要な神とみなされた。さらに幻力(マーヤー)で三界を創造した始原神ともされる。
特にヴァルナは天則や掟を侵す者を裁く司法神としての性格が恐れられ、欺瞞に満ちた悪人を縄索で縛り、水腫をもたらして罪人を罰したという。
厳格な存在ではあるが、一方で悔悟した者を許し、医薬を用いて人間の命を守る慈恵の神でもある。
天空神でもあり天地に雨を降らせて豊穣をもたらし、夜間の太陽の進行を支配するとされ、天上の水に住むことから水神ともされた。
時代が移ると共に上記の神格はブラフマーやヤマに奪われ、西方を守る護世神や風神を経て最終的に水神の地位に落ち着いた。
ヴァルナの起源は異説も多いがインド・イランの最高神とされ、ゾロアスター教のアフラ・マズダーと同根の存在である。この為に“アスラ”の長たるヴァルナの成立経緯を根拠にして、アフラ・マズダーと大日如来を同一視する説が存在する。
また契約の神ミトラと強く結び付けられ、ミトラが太陽と昼に関連付けられると、ヴァルナは月と夜に関連を持つ神とみなされるようになった