(ネタバレ)
2016年2月28日放送の機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンス第21話にて登場人物の一人であるビスケット・グリフォンが戦死したことに対する反応と、追悼イラスト・小説などにつけられたタグである。
ビスケット・グリフォンはキャスト順でも3番目で鉄華団筆頭。
(上二人は本アニメのダブル主人公というべき三日月・オーガスとオルガ・イツカ)
イラスト、キャラ表を見てもらえばわかるように、恰幅の良い太目の体格と劇中見せる穏やかな性格は、少年兵による戦闘という殺伐なストーリーの中である種の癒しとなっており、作中疑似家族とみなされる鉄華団における「お母さん」(CV:花江夏樹インタビュー記事)的な役割を果たしていたキャラであった。
物語中でも主人公たちの属する鉄華団の参謀として、経理、補給、兵站などの裏方を一手に引き受ける頭脳派であり、団長オルガの副官として交渉現場には必ず同席、作戦行動においても常識的立場からオルガの立案する作戦に釘を刺し、いざ作戦が決まればそれを現実的方向に修正・損失を最小に抑えるよう努めるなど、どちらかというと脳筋集団である鉄華団の潤滑油・ストッパーとして機能する存在。また他人には自分の弱い部分を晒せないオルガが唯一自身の胸の内を晒し自分の弱みを見せられる相談役であり「相棒」でもあった。
主人公三日月や団員たちとの関係も良好で、祖母の農園を守り双子の妹を就学させるという目的を持ち、家族関係の希薄な鉄華団団員たちの中、明確に本当の家族をもったキャラとして描かれており、ある主ストーリーの和やかさを感じさせる存在であった。
そのビスケットが21話で団長オルガを守り攻撃を受け、破壊されたモビル・ワーカーの下敷きになり下半身をつぶされ、オルガと三日月の目の前であっけなく死亡する。
レクイエムにも似た第一シーズンエンディングテーマである「オルフェンスの涙」の流れる中、妹たちを学校に行かせる、生きてみんなで火星に帰ることを最後まで望み、一番家族のもとに帰るべき動機を持っていた彼が、「まだ死ねない、死にたくない」とあがきながら無念の死を遂げることになったことは、少年兵が戦うという戦争物としてのガンダムシリーズの非情さを物語る。
(ちなみに「オルフェンスの涙」の後半部分の登場人物集合図はビスケットの「還りたかった場所」火星の彼の実家であるトウモロコシ畑である。)
以降の鉄華団からはそれまでの和やかな雰囲気は見られなくなり、オルガが(自身と仲間たちを鼓舞するためとは言え)仲間たちの仇討ちを宣言したことにより、少年団員までもが「復讐」を口にするような前のめりな集団と化すことになる。
物語上の立ち位置から彼の物語中途での退場を予測しなかった視聴者も多く、彼の死は多くの視聴者に衝撃をもって迎えられた。また、鉄華団の運営上必要不可欠な人物の喪失にガンダムOO第一期に見られた組織壊滅・主要人物死亡エンドを連想する向きも多かった。
なお、よりによって2月28日はビスケットの日である。(スタッフにより特に狙ったものではなく、あくまで偶然であったことが明かされている。)