ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴
編集者:iks
編集内容:新規記事作成

マジステール

まじすてーる

1950年代初頭に開発された初等練習機で、ジェットエンジン駆動としては世界最初の機でもある。約50年の長きに渡って使われ続け、多くの飛行士を育てて愛されたフランス製ジェット機。V字尾翼(蝶尾翼とも)が特徴である。ちなみに「マジステール」とはラテン語で「教師」のこと。

マージ・マジ・マジーロ!(概要)

全てのはじまりは1948年、フーガ社がフランス空軍省に向けて売り込んだCM.130が基になっている。

このCM.130はパワー不足と判定され、書類審査で不採用になってしまったが、エンジンを強化し、寸法を拡大して全金属製に設計し直したCM.170として再提出する。

1950年、フランス空軍省は3機の試作機を発注し、最初の機が1952年7月23日に初飛行を遂げる。

この結果に満足した空軍省はCM.170「マジステール(教師:ラテン語)」として、1953年6月に続く初期生産機を10機、1954年1月には生産型95機を発注。1956年には本格的な運用が始まり、以来フランスなど世界の空で、多くの飛行士を育成してきた。

就役期間は長いが、その間に生産と整備を担当する企業は移り変わり、フーガ⇒ポテーズ(フーガ)⇒シュド(フーガ)⇒アエロスパシアル(フーガ)と変遷を遂げていった。どれも(フーガ)なのは生産・整備施設が引き継いだものだからである。

エア・フーガ社

1920年にガストン・フーガが南フランスで設立した会社で、航空機開発に携わってきたメーカーである。CM.8グライダーなどV字尾翼が特徴的であり、中にはCM.88「ジェムー」のようなゲテモノ(?)も存在する。その雄姿(!?)はぜひとも画像検索されたい。

V字尾翼(蝶尾翼)

見た目は非常に奇抜であるが、実は垂直尾翼・水平尾翼の機能を、2枚の「ラダベータ」で済ませられるようになる合理的な設計でもある。ただ本機のように機体上に設置すると、旋回で補助翼の働きを空力的に邪魔してしまうため、ロール率では劣るようになるので戦闘機などには向かず、グライダーのように運動性より軽量化を追求する場合に有利な設計である。

ちなみに、これが機体下なら逆に促進するようになるのだが、今度は離着陸で壊す可能性が出てくるため、今のところUAVへの採用にとどまる。

マージ・マジーロ!(派生型)

生産は1962年まで続けられ、フィンランドでも1967年まで生産されている。

主な型を下に挙げる。

空軍・輸出向け

CM.170

試作機3機、および初期生産機10機。空軍向け審査用。

CM.170-1

CM.170と同規格の本格的生産型。チュルボメカ「マルボレⅡ」エンジン搭載。

761機が生産され、うち188機が西ドイツ、18機がフィンランド(別に62機がライセンス生産)、50機がイスラエルで運用された。

CM.170-2

1960年から切り替えられた後期型。エンジンが「マルボレⅣ」に換装され、出力が3.92KNから4.7KNとなった。

海軍向け

CM.170M

海軍向け審査用で試作機2機が相当。1956~7年に初飛行。

CM.175「ゼファー」

空母への離発着練習用で30機生産。

ジルマ・マジーロ!(主な海外輸出機)

フランス以外にもイスラエルフィンランドベルギーアイルランドブラジルエルサルバドルモロッコカタンガで運用された。

イスラエル

16機を購入、また36機がIAIにてライセンス生産され、「ツヅキット」として採用された。

練習機として使われる一方、第3次中東戦争に実戦投入され、近接航空支援向けに威力を発揮したが損失も出している。

フィンランド

1958年~59年にかけて最初の18機を輸入・受領する一方、ヴァルメット社でも1958年~67年にかけて62機をライセンス生産している。1988年まで運用され、後継はBAeホークである。

ベルギー

最後までマジステールを運用していた国。

最盛期で50機を運用し、以降は残存機を細々と運用していた。

空技飛行隊「レッドデビルズ」にも採用。

アイルランド

1975年~99年にかけて6機を運用。

内4機は空技飛行隊「シルバースワローズ」専用である。

ブラジル

1968年~75年にかけて、CM.170-2をT-24として空技飛行隊「スモーク・スコードロン」で46回公演している。

エルサルバドル

イスラエルから9機、フランスから3機の中古機を輸入し、練習用・対地攻撃用として内戦に投入された。

モロッコ

1956年、および1970年にフランスから計25機を輸入。

戦闘損失などにより1980年代には退役したとみられている。

カタンガ

おそらくもっとも有名な戦例がコレ。

1961年に新規生産機(9機)とベルギー向け輸出機のうち3機が送られ、コンゴ内戦ではとくに1機がベルギー人傭兵により国連軍にむけて猛威をふるった。これに手を焼いた国連軍は、スウェーデンにトゥンナン(5機)を派遣させて対抗し、ようやく沈静化させたのだった。

マジ・マジ・マジカ!(発展と現在)

この後も各種発展型は開発され、チュルボメカ「ガビゾ」エンジンを換装したCM.171「マカル」(試作1機:1957年墜落)や、同じく「シュペル・マルボレⅥ」に換装したCM.173「シュペル・マジステール」(試作1機)などが計画されたが、いずれも採用には至らなかった。

現在では、すでに自家用として少数が登録されているのみの模様。

マジーロ・マジカ!(映画のマジステール)

チョイ役ではあるが、「007・リビングデイライツ」において、アフガニスタン(実際にはモロッコ)の飛行場にひっそりと駐機してある。

関連記事

編集者:iks
編集内容:新規記事作成