『冠を持つ神の手』とは、同人サークル「小麦畑」が制作したフリーゲームである。略称は「かもかて」。
ジャンルは「育成系ADV」。主人公を育成しつつ、イベントで選択肢を選ぶことによって結末が変化する。
回想モードや好感度表示機能などが搭載された、シェアウェアの攻略支援版(630円)も公開されている。
「フリゲ2009 あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム」において二位を獲得しており、pixiv内でもファンによる投稿作品がある。
概要
田舎者の主人公は、身寄りをなくした直後に、実は王位継承者の印があることが判明した。しかし既にもう一人の印持ちがいるため、どちらが王に相応しいか、一年間の王城での生活の後に決定することになる。
一見主人公を育成して王になるのが目的のゲームに見え、それも主な目標の一つではあるが、どちらかと言うと公式サイトで言うところの「ひたすら城の中で人間関係に翻弄される話」である。
このゲームは、主人公の攻略対象への気持ちをプレイヤーが左右できる「印象度システム」を備えており、11人の攻略対象たちと友情を築くも、愛し合うも、憎み合うも、殺し合うのも自由である。
更にこのシステムには「反転ボタン」というものがある。
これは「大っ嫌いなアイツの意外な一面にときめいてしまった」「相手のふとした言動で百年の恋も冷めてしまった」などの心変わりを実装した機能であり、キャラ一人につき一度だけ、プレイヤーが任意で使用可能。
攻略対象が主人公に対して心変わりすることもある。
もう一つの特徴として、このゲームの舞台となる国の人間は、成人の際に自らの意思で、男女どちらになるかを選ぶまで性別を持たない。
そして主人公は翌年成人を控えた未成年であるため、男女どちらも恋愛対象になりうるし、男と女が主人公を巡って修羅場になることもありうる。
「じゃあ未成年のうちに成人済みの恋人がいて、自分の成人の時に相手と同じ性別を選んだらどうなるの?」と思った人は、主人公はED前に自分の性別を選べるので、ぜひその目で確かめてみてほしい。
その他の特徴として、主人公のパラメータや印象度による、選択肢やイベントの分岐が非常に多い。
ED数は120以上。選んだ性別や、王になったか否かなどによる細かい文章の変化を含めると更に増える。
登場人物
主人公(名前変更可/デフォルト名はレハト) 14歳/未分化/「僕・私・俺」から選択
史上初の「二人目」の王候補。
城に来る以前は、母子二人辺境の村で暮らしていた。
母が真実を隠したまま亡くなったため、額の印が何を意味するのかは知らなかった。
上記の印象度反転システムによって、運命の人だと思っていた相手を謀殺することも、宿敵と思っていた相手に愛の告白をすることも可能なため、ゲーム中一番のツンデレにしてヤンデレであるとも言われている。
公式のグラフィックがないため、pixivでは多種多様な主人公の姿が見られる。
ヴァイル・ニエッナ=リタント=ランテ 14歳/未分化/俺
現国王の弟の子で、額に印を持つもう一人の王候補。
主人公同様まだ性別がないが、自分は男を選ぶと公言している。そのため言動も男の子っぽく、傍若無人な振る舞いを見せる。両親は城にいない。
これまで王位継承者は一代に一人しか現れなかったため、当人を含めて誰もが彼(作中で未成年は「彼」と表記される)の即位を疑わなかったが、主人公の出現により王城内はひっくり返ることになる。
しかし当のヴァイルはこの状況を楽しんでいる節があり、主人公を良きライバルと認めて友好的に接してくるため、彼の友情EDは最も簡単な部類に入る。
そんな気さくな彼だが、言ってはいけない言葉がある。
タナッセ・ランテ=ヨアマキス 17歳/男/私
新ジャンル「ツンヘタレ」。ヴァイルの従兄で、女王リリアノの一人息子。
正真正銘の王子様だが、印がないので王様にはなれないという微妙な立ち位置にいる。
王城に到着した主人公を真っ先に歓迎してくれる人。
顔しか母に似なかったのか、特に秀でた才能を見せず、その上ほとんど誰に対しても嫌味たらしく接するため、城内の評判は悪い。
しかし公式のキャラ人気投票では二冠を達成しており、ED人気投票も彼の愛情EDが一位を獲得した。
リリアノ・ランテ=リタント=ヨアマキス 36歳/女/我
主人公より年上の子持ちとは思えないプロポーションを誇る女王様。
ヴァイルの伯母。息子のタナッセが幼い頃に、夫とは離縁した。
一言で言うと完璧超人で、王としての評判も高い。
異分子の主人公に、王の座を公正に競う機会を与えた一方で、彼を故郷から連れ出した張本人でもある。
ローニカ・ベル=ハラド 52歳/男/私
城から主人公を迎えに来た老侍従。そのまま主人公に仕えることになる。
攻略対象の中で、主人公とは最も歳が離れた38歳差である。勿論彼との愛情EDも存在する。
田舎者の主人公にも丁重に接してくれるが、年齢を重ねている分、彼の本心を窺い知るのは難しい。
サニャ・イニッテ=コノラ 16歳/女/私・サニャ
主人公のお付きになった、そばかすドジっ子召使い。
田舎の出で正しい敬語が未だに身につかず、城の人間とも反りが合わない。
彼女の憎悪ルートは、胸が痛んでやっていられない人と、むしろ燃えてしまう人の大体2パターンに分かれる。
グレオニー・サリダ=ルクエス 19歳/男/私・俺
王城の警備をしている衛士。ガタイのいいお兄さんだが、見た目と違って同僚からよくいじられている。
色々な意味で、一見簡単そうに見えて案外難しい人。
幾度も刃を交えた末の殺害EDに定評がある。
モゼーラ・ゼネ=トカーキ 22歳/女/私
理想に燃える直情型の文官。仕事上のミスで今の部署に左遷されたらしい。
未だに独身であることを気にしている模様。
彼女との交流は、愛情と友情のどちらを育むかで、受ける印象が大分変わってくる。
ティントア・シーア=ファダー 18歳/男/僕
物静かでミステリアスな雰囲気を持つ美形神官。
彼の絵を見て「あれ?」と思う人もいるかもしれないが、れっきとした男である。
顔と出世が有望な立場のせいで、今まで散々女性に狙われてきたため、一方的に好意を寄せると引かれる。
とあるEDで、ゲームシステムをも捻じ曲げる必殺技を披露してくれる。
以下の攻略対象は登場条件が若干複雑なため、公式のキャラ紹介には載っていない。
ルージョン・アーネ=フィアカント 18歳/女/私・僕
薄幸のツンデレ魔女。
ある攻略対象と仲良くならないと出て来ない。
ちなみに魔術師なんてお伽話の魔物並にいるはずがないし、いたら家族もろとも異端者として処分される。
トッズ 男/俺
ヒゲと軽口と胡散臭さで出来ている、自称二十歳の商人。でもどう見てもおっさん。
商人がいそうな場所に行けば登場する。
彼とローニカのコンビは、コンビ・トリオ人気投票で二位を獲得した。
ユリリエ・ヨアマキス=サナン 17歳/女/私
職業:愛の狩人な生粋のお嬢様。タナッセのいとこで、彼の天敵。
彼女に獲物認定されるためには、ある程度の評判と最低限の身だしなみ、そして社交界デビューが必要。
上記の「成人済みの恋人と同じ性別を選んだ場合のED」に定評がある。