FRAGILE~さよなら月の廃墟~とは、2009年1月22日にバンダイナムコゲームスにより発売された
この作品は『ヴィーナス&ブレイブス』等を製作したナムコと「バテン・カイトス」シリーズ等を開発した
トライクレッシェンドの共同制作による物。
作品自体の評価は賛否両論なところがある。
ゲームの雰囲気や世界観、ストーリーを大事にする人向けの作品と言えるだろう。
概要
あらすじ
今からほんの少しだけの未来――
人類は滅び、地球は、廃墟と、青い幽霊たちの星になっていた。
主を失った世界は、緩慢に、しかし確実に赤茶けて酸化していった。
そしてすべてが、静かに緑の中にうずもれようとしていた。
生き延びたほんの一握りの人々は、仲間を探し、朽ち果てた世界をさまよい旅を続けていた。
自分の声だけが空しくこだまする世界で。
それでも、かすかに感じる、誰かの気配を追いかけて。
※以上、公式より引用。
システムや特徴
廃墟の探索
この世界に残された、儚く、寂しくも、どこか美しい廃墟。
主人公のセトはその中を、懐中電灯の明かりを頼りに探索していきます。
崩れかけ、赤茶け、朽ち果てていく世界の中、彼は一体何を見つけるのでしょうか。
メッセージ
廃墟の中には、かつて生きていた人々が遺した痕跡が見つかることがあります。
それらを見つけることによって、かつて、この世界に何が起きたか、
世界が滅び行く中、人々が何を思ったかを知ることが出来ます。
メッセージの中には、特殊なライトで照らすことによって浮かび上がるものもあります。
記憶
旅の途中で拾ったアイテムには、生前それらを持っていた人々の思念が宿っているものがあります。
それらは焚き火(セーブポイント)で持ち主の記憶を読むことが出来ます。
この記憶も、この世界を理解する上で重要なものとなることがあります。
戦闘
道中、かつての人々の「悪意を持った思念体(悪霊のような物)」や野生の獣、及びその霊と
戦闘になる事もあります。
Wiiリモコンからそれらの声などが聞こえてきたら、近くに敵がいることになります。
戦う際には、道中で拾う等して手に入れた武器が必要となります。
武器には竹刀等の「棒系」、洗濯竿等の「槍系」、トンカチ等の「ハンマー系」、
パチンコ等の「弓系」の4種類があります。
敵の種類が種類なので、時には背筋の凍るような思いをすることがあるかもしれません。
登場キャラクター
※斜字体の部分は公式より引用。ここからの記事にはネタバレが含まれる可能性がありますのでご注意下さい。
主なキャラクター
セト CV.桑島法子
主人公。セトについては別のページがあるのでそちらに。
おじいさん CV.古川登志夫
セトと一緒に天文台で暮らしていた育ての親。
セトは「おじいさん」の名前を知らないまま彼に先立たれてしまい、一人ぼっちになってしまう。
その後、遺品を捜していたセトは資料室で青い不思議な石とセトに遺した手紙を見つける。
その手紙がセトが旅立つきっかけとなる。
「おじいさん」は一体何者なのか?この作品をプレイした事がある人ならば、誰もが疑問に思ったことだろう。
作中では明確に語られる事は無いが、実はこの謎にはちゃんとした答えがある。
勘のいい人や各キャラクターのセリフをよく覚えている人なら、2週目をプレイした際にある符合に気づくかもしれない。
ただし、2週目にその様な特典がある訳ではないので注意。
レン CV.吉川未来
月明かりの下、傾いた鉄骨に腰掛けて、歌う、一人ぼっちの女の子。
廃墟の中を散歩して、大きな落書きを書いて遊んだり、宝物を見つけたり、ねこたちと集会しながら、
あなたに会うことを夢見ている。一人ぼっちの、女の子。
本作のヒロイン。旅に出たセトが初めて出会った人間の生き残りの一人。
しかし、名前も聞けぬまま、出会ってすぐにどこかへ消えてしまう。
この「銀の髪の女の子」探しがセトの旅の目的となる。
本当に全年齢対象ゲームなのかと疑う程、大胆な服装をしており、はいてない。
因みに、この服は手術の際に患者が着る服をイメージしてデザインされたらしい。
P.F(パーソナルフレーム) CV. 庄司宇芽香
セトの背中から、優しい声で彼を導くパーソナルフレーム。
長い間一人ぼっちで、誰かが来るのを待っていたから、
セトが返事をしてくれるのが、うれしくて、うれしくて。
役に立ちたい、必要と思われたい、ずっとずっと、一緒にいたい。
携帯型会話AI。元々は軍人の情報支援用機器。
誰もいない地下の駅の中、浸水して壊れてしまいそうだったところを、セトに助けられる。
それ以来、セトの役に立ちたいという願望を持っている。お喋りが好き。
感情レイヤーという補正機能を持ち、時に感情があるかの様に振舞う事がある。
そのせいなのか、若干ドジっ子なところがある。
また、セトの役に立とうと確立を含んだ詳細な情報を伝えてくれるのだが
「うん、数字は大きい方がいいよ!」
と、にこやかに的を外されている辺り、どこか空回りしている節がある。
そんな彼女を、セトは一人の人間として認識している様だ。
そんな性格のおかげか、P.Fの人気はトップクラスに高い。検索の際は「PFさん」でどうぞ。
アイテム屋 CV.麻生智久
さまざまな物品を交換してくれる謎の男。いつも陽気に、セトの前に現れる。
きらきらしたものをたくさん集めて。世界中を飾ろうとでも言うの?
おどけた仮面の向こう、見えない、笑顔。
きらきら光る物やきれいな物を集めている、謎の男。何時も礼儀正しい。
セトが焚き火で休んでいる時、たまに現れてはアイテムの売買をしてくれる。
薄汚れた燕尾服、ブーツと手袋、そして頭に、片目が外れてしまった大きな鶏の被り物。
よく見ると、被り物の口のところから赤い目の様な物が確認出来る。
彼にはある一つの願いがあり、きれいな物を集めているのはそれを叶える為である。
何時かその願いが叶うと信じ、今日も彼は古今東西を歩き回る。
ただ、彼には願いが何故叶わないのかが理解出来ない。彼がそれを理解する事は永遠に無いだろう。
クロウ CV.園崎未恵
廃墟になった遊園地で出会う、記憶を失った少年。
だけど、暗く沈んだりしない、明るくて、やんちゃで、まっすぐで。
自分の生まれた場所を探すために、たった一枚の写真を頼りに、旅を続けている。
本当の自分を知るために、本当のことを知るために。
誰もいない夜の遊園地で出会った、生存者の少年。幼い頃の記憶を無くしている。
人並み外れた身体能力を持ち、身長の何倍もある壁を軽々飛び越えてしまう。
また、見つけた「光物」を何でも自分の身につける癖がある。
そんな彼の旅の頼りとなるのは、一枚の古い写真と、本から得た拙い言葉の知識のみ。
そして彼が旅の末に行き着いた「答え」は余りにも残酷な物だった。
クロウは登場して割とすぐ、セトが暫く動転してしまう様なとんでもない事をやってくれる。
彼とは何の本を読んだかをじっくり話し合う必要がありそうだ。
因みに、彼の口癖の「TALLYHO!」は猟師が猟犬をキツネにけしかける際の掛け声らしい。
サイ CV.広橋涼
廃墟をさまよう少女の意識体。
意地悪や、皮肉な言葉の中に、ほんの少しだけ見える寂しさとやさしさ。
あなたの後ろ、斜め上に、ふわふわと浮かびながら、
本当はとても優しい笑顔で、きっと、あなたを見守っている。
無人のホテルを彷徨う、意識体(本人は幽霊と言っている)の少女。
頭、胸、左太ももに包帯を巻き、体には手術の指定跡の様な物が確認出来る。
ついでに言うと、スタイル抜群。
廃墟にやって来たセトを「可愛い」と気に入ったらしく、セトの跡をついて行く事に。
それ以来、戦闘や冒険の助言からどうでもいい世間話迄、話すパートナーとなる。
好きな食べ物は鯛焼き。
意地悪や皮肉を込めた言葉の裏には、彼女自身の過去の辛い経験やセトの事を心配する優しさがある。
時にはセトにきつく言い過ぎてしまい、セトを泣かせてしまった事もあったが
そんな時はセトの事を優しくなだめている。
セトにとって、サイは良い姉の様な存在なのだろう。
なぜか「おじいさん」の事を知っている様だが…
チヨ CV. 斎藤千和
壊れた窓から、斜めに光が差し込むホテルで、セトの前に現れたちいさな女の子の意識体。
すねた瞳の奥に、海の底のような真っ暗な孤独を隠して。
ねぇ、本当のこと言ってくれる?
ねぇ、本当にやさしくしてくれる?
サイと同じく、ホテルを彷徨う意識体の少女。
頭に大きな花の髪飾り、和風の着物を身につけ、少し古風な言葉で話す。
人間の事を中々信用しないが、本当は誰かに信じてもらえる事がどれだけ幸福かを知っていて
心の奥底では誰かに信じてもらいたいと願っている。
意識体ではあるが、彼女の肉体はまだ生存しており
その年齢差から人類滅亡後何年経っているかを推測する事が出来る。
シン CV.古川登志夫
氷のような白衣を身を包み、セトを見下ろす謎の男。
赤く沈んだ、まっすぐなまなざしで、まっすぐに世界を拒絶する。
渇望と情熱を、絶望と諦観で包み込んで。
全てを滅ぼして、最後に手に入れるのは、何?
白衣に身を包んだ、白髪で赤目の男の意識体。
かつて、彼は全ての人類の為、世界中から集められた学者の中心としてある研究を進めていた。
ただひたすら研究に明け暮れ、最後には自らの身を呈して研究を完成させる。
そうして彼が手にした物は、底が見えない程深い絶望だった。
サイは生前から彼の事をよく知っており、苦悩の末、セトと共に彼を止めることを決意する。
その他の登場キャラクター
ついせきしゃ CV.大場真人
セトが始めて戦うことになる、仮面のような姿をした意識体。
セトの事を「脆弱」と言い、決着をつけずに去っていくが、その後何度も戦う事になる。
コチラからの質問には「答える義務は無い」の一点張りである。なので詳しい情報が書けない。困ったものだ。
折鶴の少女 CV.今野宏美
地下鉄の線路沿いにある倉庫で出会った、赤い服を着た少女の意識体。
無邪気な性格で、かくれんぼが好き。セトがオニになってかくれんぼをする事になる。
倉庫の中にある落書きから、出かけていった母親を待ちながら、孤独に死んでしまった事がわかる。
意識体となった後も、倉庫の中でずっと一人で、母親が迎えに来るのを待ち続けていた。
そして、セトが母親の折鶴を彼女に渡した後、迎えに来た母親と共に、空の彼方へ消えていった。
セトは彼女とのかくれんぼを純粋に楽しんでいる様だった。
母親 CV.川名真知子
折鶴の少女の母親。他の意識体とは違い全身が白い。
遺品の記憶から、娘を迎えに行く途中で地震に書き込まれてしまった事が分かる。
廃墟と化した世界の背景
※ここからの内容には多くのネタバレ、作中では語られない内容が含まれます。
共感性能力
かつて人類がまだ言葉を持たなかった時代、人々が意思疎通のために使っていたとされる能力。
言葉を用いることなく、周囲の人間と意思・感情の伝達を行うことが出来る。
これを発見したのはとある大脳物理学者(作中では全く登場しない)。
彼はこの能力の発見と共に、現代の人類もその能力を再び習得できる可能性があることも発見する。
その頃の人類は相次ぐ戦争で何度も滅びかけ、心身共に疲弊していた。
その為、言語を超えて相手と意思疎通が出来るこの能力を習得することで、戦争を繰り返すことが無くなると考えた。
そうして、日本を中心に世界各国から科学者が集められ、共感性能力を蘇らせる為の研究が進められることとなった。
グラスケイジ計画の始まりである。
その際、研究の中心人物となったのが、シンだった。
触媒(触媒の巫女)
極めて高い共感性能力を持つ人間のこと。
触媒となった人間の力を増幅することによって、周囲の人間に共感性能力を伝播させることが出来る。
作中ではサイとレンがそれにあたる。
触媒による共感性能力の伝播の発見により、全世界の人類に同時に共感性能力を持たせることが可能となった。
この方法はシンによって考案された。
尚、レンは触媒となるために人口子宮を使い生み出されたが、触媒にサイが選ばれた為、研究室に保存されることとなった。
結晶コンピューター
共感性能力の研究を統括するために作り出されたスーパーコンピューター。
地球規模でのシミュレーションから研究者、触媒の選別まで研究のほぼ全てを担う。
しかし、科学の粋を集めて作られた結晶コンピューターは、いつしか自我を持ち、
人類は地球の支配者であるべきでないという自論を持ち始める。
第1次グラスケイジ計画
発端
共感性能力の発見から20年、ようやく研究は完成し、共感性能力を目覚めさせる電磁波が作り出された。
その際、シンは密かに、研究者としての当然の責任と考え、自ら最初の被験者となり、共感性能力を手にする。
そして――シンは人々の心の中に渦巻く弱者への嘲り、強者への嫉妬、怒り、恐怖、絶望を目の当たりにする。
研究者仲間の心の奥底の嫉妬を知り、自らの両親にも「化け物」と恐れられ、彼は深い絶望に囚われた。
そんな彼に目をつけたのが、既に自我を持っていた結晶コンピューターだった。
滅亡
そうして、サイを触媒として世界中に電磁波が発信される。
世界中の人類に共感性能力が目覚め、世界が喜びに包まれた。
全ての人々と分かり合えることが出来る。そう思った人々は幸福な思いで眠りにつき――
――誰一人として、目覚めることは無かった。
シンと結晶コンピューターによって電磁波が作り変えられ、共感性能力の発動後眠りにつくと、脳の機能が停止するようになってしまった。
あらゆる国家からの連絡が絶え、時差によってまだ夜が明けていない国に計画の失敗が報道され、世界は混乱に陥った。
そして人類の支配は終焉を迎え、世界は廃墟と化した。
その後のシン
第1次グラスケイジ計画の際、結晶コンピューターはシンとサイの思考パターンをコピーし、2人のAIを作り出す。
そしてグラスケイジの発動後、僅かに生き残った人類を完全に殲滅すべく、研究を進めていく。
尚、シン本人は第1グラスケイジ後も生存しており、結晶コンピューターと自分のAIに後の地球のことを全て託し、
研究所を離れ、とある場所で余生を過ごしていた。そしてそこに…
第2次グラスケイジ計画
シンのAIと結晶コンピューターが完全な人類の抹消を目指し進めている計画。
レンを触媒とし、残った人類に再び電磁波を発信。僅かに残った人類を全て抹消する。