概要
エンバカデロ・テクノロジーズから発売されている Windows 用の統合開発環境である。
現在はマルチプラットフォームアプリケーション開発環境となっており、Windows, macOS, iOS, Android, Linux のアプリケーションを開発できる。
かつては Borland から発売されていた。
Delphi 1.0 が発売された 1995 年から現在もバージョンアップが続いている息の長い開発環境である。
用途
誤解されがちであるがクライアント・アプリケーションだけでなく、サーバサイドのアプリケーションも作成できる。
またクライアント・アプリケーションでは主要 4OS(Win, macOS, iOS, Android)向けのアプリケーションを真の意味のワンソースで作れる。
つまり GUI デザイナだけ OS 別になったり、フレームワークが分かれたりしない。
また、3D を用いたアプリケーションも作成可能である。
IDE
Delphi / C++Builder で使用される IDE は RAD Studio IDE と呼ばれる。
今では珍しく無くなった Drag & Drop での GUI 構築の元祖とも言える IDE である。
GUI デザイナをメインに据え、GUI デザイナ・コードエディタ間は自由に行き来でき、かつ、相互に変更可能である(2Way-Tool)
「イベントハンドラに対してオブジェクトイベントを委譲する」2Way-Tool の手法は Borland の特許である。
Framework
現在フレームワークは2種類存在している。
どちらのフレームワークも「スタイル」という機構によってダークカラーなど様々な見た目に変更できる。
VCL
Visual Component Library の略で Windows 専用のコンポーネント群。
FireMonkey
マルチプラットフォーム用コンポーネント群。
FMX と略されることもある。
DirectX や OpenGL で描画されるため非常にリッチな見た目を手軽に実現できる。
3D 表現も可能である。
言語
Pascal を拡張した Object Pascal を使用する。
特徴
教育向け言語の Pascal をオブジェクト指向に拡張した言語。
本来が教育向けだったため非常に解りやすい言語になっている。
しかし、最新のバージョンではクラスヘルパーやジェネリクス、無名関数など言語の機能が強化されており他の言語に引けを取らない。
呼称の変遷
Delphi 1.0~7 まで Object Pascal と呼ばれていた。
Delphi 8~XE5 まで Delphi Language と呼ばれていた。
Delphi XE6~以降は Object Pascal に呼称が戻った。
Delphi XE6 の発売直前に Delphi 以外で Delphi Language を使用する開発環境(AppMethod)が発表されたため元の呼称である Object Pascal に戻った。
無料版
2018年現在 Starter Edition が無料で提供されている。
過去の無料版
Delphi 6 では Personal 版が無料で提供されていた。
Delphi 2006 Update2 相当の Turbo Delphi Explorer が無料で提供されていた。
Delphi 10.1 Berlin から Starter Edition が無料で提供されている。