イヴ=イグナイト
いぶいぐないと
概要
「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」の登場人物。19歳。
炎のような赤髪が特徴の美女で、アルザーノ帝国王家に連なる三大公爵家のひとつ・イグナイト家の出身。
数年前から若くして帝国宮廷魔導士団に所属し、特務分室室長の役職とその証となる執行官ナンバー1・コードネーム《魔術師》として活動していた。
グレン=レーダスのかつての上司。
目下の人間に対しては傲岸不遜でイヤミな物言いをするが、想定外の事態には弱く、グレンからは「冷血ヒス女」と陰口を叩かれている。また、男性との交際経験もろくにないようで、「行き遅れ」呼ばわりされるとキレる。
除隊後も「天の智慧研究会」検挙のためにグレンを巻き込み続けていたが、「フェジテ最悪の三日間」での失態からイグナイト家からは勘当、軍内部でも左遷され、軍事教練の担当講師としてアルザーノ帝国魔術学院に赴任することになる。その際には母方の姓から「イヴ=ディストーレ」を名乗っている。
過去
現当主アゼル=ル=イグナイトと平民の女性の間に私生児として生まれ、正妻の子である異母姉の代わりに家を継ぐために徹底した英才教育を受けて育った。
しかし、平民の血を引く彼女は貴族社会の中では忌み嫌われる存在であり、イグナイト家での己の価値を認めてもらうために厳しい訓練に耐え続けてきた。
本来は仲間思いで無辜の民を捨て置けない優しい性格だが、この過去のために手柄に固執するようになってしまった。それでも部下が殉職する事態はギリギリで避けられるような差配で室長の任をこなしていたが、グレンが軍を除隊するきっかけとなった「天使の塵」事件にて父アゼルの横槍を入れられ、増援を送ることができずセラ=シルヴァースを死なせてしまった。このことはイヴ自身にとっても深い傷となっており、一生背負うべき罪であると自認している。
能力
イグナイト家は《紅炎公(ロード・スカーレット)》の二つ名で知られる炎熱系魔術の大家であり、次期当主候補として育てられたイヴも当然その技を継承している。もっとも、魔術全般において高等教育を受けてきたため他の属性の魔術も使用できる。戦闘においてはアルベルトには劣るが早撃ち・即興改変も容易にでき、システィーナと似た万能タイプ。
しかし、「フェジテ最悪の三日間」にて左腕切断という重傷と精神的ショックを負ったことにより、腕が元通り接合された後も左腕での魔術行使ができなくなり、大きく弱体化している。
- 眷属秘呪【第七園】
予め指定した領域内における炎熱系魔術の起動を精神集中も魔力操作も呪文詠唱もなく炎を手足の一部のように自在に操ることの出来る領域の構築。領域内の魔術起動速度はアルベルトを遥かに凌駕する。
- 眷属秘呪【イーラの炎】
一定領域内における負の感情(殺意・悪意)を炎の揺らめきとして視覚化し、察知・特定する索敵魔術。
人間関係
元部下。同年代の彼とは反りが合わず顔を合わせるたびに口論していた。セラの死後は彼への後ろめたさを押し殺しながらもそれまで通り接していたが、講師として再び同僚になってからは関係性が多少改善されている。
講師になってからの教え子。彼女たちからは魔術師としても大人の女性としても憧れを抱かれているが、同時に「過去の諍いに決着がついたらグレンとくっついてしまうのではないか」と警戒されている。
元部下。他人とちゃんと付き合えないイヴにとって、数少ない同性の友達と呼べる存在だった。グレンとのケンカの仲裁も彼女が行っていたが、そんな彼女の殉職がグレンとの関係に深い亀裂を生むことになった。
元部下にして、セラを殺し、さらにはイヴの左腕を傷つけた張本人。自身の「正義」を盲信する狂人ではあるが、同僚たちの人間性については的確な評価を下しており、イヴの精神的な歪みを指摘し心を折った。