CV.寿美菜子
概要
かつてアルザーノ帝国宮廷魔導師団特務分室の執行者ナンバー3”女帝”の席にいた女性。
長く美しい銀髪と羽根の髪飾り、赤い紋様を顔料で刻み、緑色の民族衣装を思わせる服装を身にまとう。
面倒見が良い世話焼きな楽天家、天真爛漫な優しい性格であるが、自己犠牲を厭わない危うい一面や、努力家かつ負けず嫌いな一面も持っており、グレンやイヴからは「お姉さんぶるくせに危なっかしいやつ」と評されている。
自身の民族の文化に対する思い入れは深く、ダンスや音楽を愛し、郷土料理を始めとする手料理の腕前は一級品。家庭的で朗らかな性格は、その美貌もあって戦場には似合わない。
しかしセラの正体は、戦争で土地を追われた北方の異民族の姫君であり、通称”風使い”、或いは”風の戦巫女”の異名を持つ、風属性の魔法については当代比肩する者なしと謳われた屈指の実力者である。
祖国の地を奪還することを夢見て軍に入り、以後ひたむきに努力していたが、それは隣国との国際情勢等を考えると、もはや叶わぬも同然の夢。
同じく”叶わぬ夢を追う者”だったグレン=レーダスの掲げる”正義の魔法使いになる”という夢を全力で肯定してくれた唯一の人物であり、過酷な現実の前に荒みつつあったグレンを献身的に支え続けていた。
しかし…
-グレン=レーダス最愛の女性(ネタバレ注意)
報告書をほったらかしにするグレンを追いかけたり、お説教したり、郷土料理の手料理を振舞ったりと年上のお姉さんぶることも多く、そのお節介で世話焼きな性格は年頃の男として素直になれないグレンからは鬱陶しがられたことも多かった。
折れそうになるグレンに寄り添うセラの存在はグレンにとってもかけがえのない存在であり、本人たちがお互いに口にすることはなかったようだが相思相愛。
「いつかグレンくんを私の故郷に案内したいな」と度々語り、心から信頼する相手としか踊ることはないとされる部族のダンスをレッスンするなど、好意の示し方は割と分かりやすいタイプ。
それだけでなく、過酷な現実に涙を流すグレンを優しく励まし、何度も立ち直らせている。
やがて「たとえ"みんなを救うことができる正義の魔法使い"になれなくても、"セラを守れる魔法使い"にさえなれれば、それでもいい」と思うことができるようになるほど、グレンにとってセラの存在は絶対的なものだった。
特務分室の仲間たちからはバレバレで、二人の恋路を応援する者も多く、グレンの育ての親であるセリカ=アルフォネアもまた、グレンとセラの間にある深い愛情を察していた。
しかしお互い意地っ張りな性格故、互いに相思相愛であることに気付きつつもなかなか一歩を踏み出せずにいる状態が長く続く。
やがて二人は、互いに愛し合っている事実と向き合う機会を得ることとなる。
セラはグレンへの愛を事実上打ち明け、グレンもまた、「仲間」からその先へと明確に関係性を進める決意を固め、二人の想いは成就するはずだったのだが、皮肉にもその直後に別離の時が訪れてしまい、そのことがグレンの精神に完全に止めを刺してしまうこととなってしまった。
彼女との日々は、辛かったことも楽しかったことも今もなお色褪せることはなくグレンの心に刻み込まれており、セラとの思い出が誰一人気付けなかった敵の策略を破る鍵となるなど、二人の絆は今もなお揺らぐことなく結ばれている。
もし、セラがグレンの傍らに在り続けていたならば、グレン=レーダスの人生は間違いなく今とは違った形となっていただろう。
その他の人間関係
グレンだけでなく、イヴにとっても唯一の親友であり、理解者であったかけがえのない人物である。
考え方の違いから何かとグレンと対立していた彼女の間に入ってくれただけでなく、家名の重みに押しつぶされそうな彼女のことも精神的に支えてくれており、 グレンにセラを取られたくない一心で、あれやこれやと妨害工作を働くこともあるほど。
グレン同様に口では素直になれないながらも、手間が掛かる部下で、何かと心配させる癖に、自分の心に安らぎを与えてくれる大好きな親友だった。
しかし、ジャティスによる天使の塵事件において、父親の横槍で窮地に陥ったセラを救うことができなかった。
このことでイヴはグレンとの関係に決定的な亀裂が入り、さらにイグナイト家の重責から完全に逃れられなくなり、手柄や結果を追求する性格が悪化してしまった。
イヴ自身もグレンとセラが相思相愛であることを知っていたこと、セラの天真爛漫さに幾度も救われた事実、そしてそんな大好きな親友を失った自身の無力さ・悔しさを、イヴは決して忘れることはない。
グレンの育ての親である彼女からも、グレンの精神的支柱であると認められており、唯我独尊なセリカの性格に似合わず、セラに直接感謝の言葉を述べるなど信頼してグレンのことを任せていた。
とはいえ、やはり親バカな身としては、グレンの嫁になることについては未だ素直になれないところがあるらしく、セラから「お義母さま」と呼ばれた際の反応に対し、セラ自身から「めんどくさい人」と評されている。
グレンを奸計に陥れ、その目の前でセラの命を奪った裏切り者。
セラの風の魔術の使い手としての技量を味方だった頃から最高峰と評価すると共に、自身の得意とする魔術との相性の悪さから警戒もしていた。
最愛の女性を奪われたグレン、唯一の親友を奪われたイヴの両者から向けられる身を焦がすような憎悪は未だ凄まじいものがあり、セラが二人にとってどれだけ大切な人物であったかか窺える。
作中最初の敵として登場するも、噛ませ犬のごとく退場してしまったズドンさんだが、話が進むごとに下衆ではあるが凄まじい実力者であったことが判明。
そんなジンは過去にセラと戦ったことがあることがやがて判明。
しかしその結果は、文字通り一方的な惨敗。己の得意とする魔術・戦法をことごとく封殺された挙げ句、命からがら必死に逃げ惑うしかなかったと、プライドが高いはずのこの男が心からの完敗を認めるほどの戦いだったらしい。
戦闘スタイル
風の魔術師として、あらゆる人物から最高峰の存在として語られることのあるセラ。
作中ではオカリナを用いた支援魔法でグレンを援護する、魔術的な加護を得る部族のダンスをグレンに教える等、その性格通りサポート役的な一面が描かれている。
しかし支援特化型かと言えばどうも違うらしい。
特に自身や仲間を高速移動させることができる魔術・疾風脚の技量は尋常ではなく、最高速、加速、急制動、持久力全てにおいて隔絶した実力を持つ高機動戦闘のプロフェッショナルだったとジンが回想している。
一度本気を出した彼女からは、誰も逃れることはできず、誰も追いつけない…そんな彼女の戦闘スタイルは、やがて自身が愛した最愛の男の手により、その教え子へと継承されることとなる。
”白犬"と"白猫"に隠された真意
かつてグレンはセラのことを白犬と呼んでからかっていた一方、教え子のシスティーナ=フィーベルを白猫と呼んでからかっている。
これはお節介で世話焼きな性格、夢にまっすぐな姿勢など、長い銀髪も相成ってシスティーナの本質がセラによく似ていたがゆえに、”システィーナはセラじゃない”と必死に自分に言い聞かせていたため。
本質がセラとシスティーナは似ている、という件についてはアルベルト、ジャティス、イヴらも同じように評している。