エメロード姫
えめろーどひめ
概要
CV:緒方恵美
「この『世界』を助けて…… 伝説の『魔法騎士』たちよ……」
異世界セフィーロを支える『柱』。彼女の祈りでセフィーロの均衡は保たれていた。
神官ザガートの存在によって危機に陥った世界を守るために、水の牢屋から『柱』にのみ使える招喚魔法を唱え、異世界の少女たちに自らの願いを託した。
余談
上述の通り、今でも『男八段』の異名で親しまれている緒方恵美が演じているのだが、この役はスタッフからのオファーで実現したもの。少年役や青年役で有名な緒方ではあるが、当時から女性役は無いわけではなかった(例:嵐のペッツ、GS美神の女性モブ等)。それでも当時から衝撃だったようで、電話を受けたマネージャーが「は?」「もう一度言ってください」と聞き返した挙句に「うちの緒方に姫の役を?」と信じられない様子だった。勿論、この電話を聴いてた周囲のスタッフもざわつく程であった。そして、オンエア当日。テレビを見ていたスタッフは皆、「本当に緒方がやってるの……?」という空気を漂わせていた。
衝撃はスタッフだけではなかった。「なかよし」読者向け試写会でも第1話を流したのだが、この時のエンディングロールで「エメロード姫 緒方恵美」のテロップが流れた瞬間、会場から「ええーーっ!?」と声が上がった(CLAMP、平野俊弘、浦上靖夫ら出席した関係者一同、談)。
当時、緒方は男性役ばかりやっていたこともあり、役作りに骨を折っていた。「助けて……」というセリフも、吉田小南美や山崎たくみから「お前を助けられるヤツはいない!」とイジられながらも模索する日々だったという。
また、アニメ版第2部では同じく緒方恵美が演じるイーグル・ビジョンが姫の声を「きれいな優しい声」と評する場面がある。
以下、ネタバレ
「私の愛するザガートを殺したのは あなたたちね……!」
「ザガートのこの剣で……殺してやる! 魔法騎士!!」
第1部終盤、魔法騎士たちの前に立ちはだかったザガートが倒されると、悲しみのあまり大人の姿へと成長。その心は憎悪に染まり、彼の仇を討つべく魔法騎士たちへと襲いかかる。
しかし、最後に残った『柱』としての心が、少女たちに伝承の真実を語る。
『柱』とは、異世界セフィーロを支える存在。柱に選ばれたものは、己の感情を捨て、ひたすらセフィーロに生きる全ての命の幸せを祈ることが義務付けられる。
しかし彼女は、「一人の女」としてザガートを愛してしまい、セフィーロのためだけに祈ることができなくなってしまった。
ザガート個人の幸せを祈るようになり、セフィーロにとって悪しき存在となってしまったエメロードは、ザガートへの思いを断ち切るために自ら水の牢屋へと入るも彼を忘れられず、伝承に従い、異世界から魔法騎士を招喚した。
魔法騎士とは、『柱』がセフィーロに害なす存在となったとき、『柱』を殺すために呼び出される異世界の人間のこと。
セフィーロの人間が『柱』を殺すことも、『柱』が自ら死ぬこともできないため、セフィーロを救うために『柱』を殺す方法が「魔法騎士の招喚」であった(事実、エメロードは魔法騎士に「私を助けて」や「ザガートを倒して」とは一度も頼んでいない)。
セフィーロの崩壊を防ぐため、自らを殺してくれるよう魔法騎士に懇願する幼い姿のエメロード。
魔神(マシン)に搭乗したエメロードの攻撃を受けながらも「できない」と3人は拒否し続けるが、『柱』として、そして女としての彼女の願いを叶えるために、ついに決意する。
魔法騎士たちの涙ながらの一撃を受けて敗北したエメロードは、ようやくザガートだけのものになれると安らかな笑顔で死を迎えた。
「一人の人間が世界そのものを支える」というこの『柱』制度には、セフィーロの住民たちも疑問の声があがっていて、第2部に登場したザガートの弟ランティスも疑問を持った一人である。
読者からも制度に対する反響の声が多かったようで、作品の設定資料集にてその旨が明かされている。