「この『世界』を助けて…… 伝説の『魔法騎士』たちよ……」
概要
CV:緒方恵美
異世界セフィーロを支える『柱』。彼女の祈りでセフィーロの均衡は保たれていた。
神官ザガートの存在によって危機に陥った世界を守るために、水の牢屋から『柱』にのみ使える招喚魔法を唱え、異世界の少女たちに自らの願いを託した。
金髪の童女の姿をしているが、実年齢はかなりのもの。745歳の導師クレフよりは年下。
実はフェリオの姉であり、彼が付けているピアスはエメロードが贈った物。
余談
上述の通り、今でも『男八段』の異名で親しまれている緒方恵美が演じているのだが、この役はスタッフからのオファーで実現したもの。少年役や青年役で有名な緒方ではあるが、当時から女性役は無いわけではなかった(例:嵐のペッツ、GS美神の女性モブ等)。それでも当時から衝撃だったようで、電話を受けたマネージャーが「は?」「もう一度言ってください」と聞き返した挙句に「うちの緒方に姫の役を?」と信じられない様子だった。勿論、この電話を聴いてた周囲のスタッフもざわつく程であった。そして、オンエア当日。テレビを見ていたスタッフは皆、「本当に緒方がやってるの……?」という空気を漂わせていた。
衝撃はスタッフだけではなかった。「なかよし」読者向け試写会でも第1話を流したのだが、この時のエンディングロールで「エメロード姫 緒方恵美」のテロップが流れた瞬間、会場から「ええーーっ!?」と声が上がった(CLAMP、平野俊弘、浦上靖夫ら出席した関係者一同、談)。
当時、緒方は男性役ばかりやっていたこともあり、役作りに骨を折っていた。「助けて……」というセリフも、吉田小南美や山崎たくみから「お前を助けられるヤツはいない!」とイジられながらも模索する日々だったという。
また、アニメ版第2部では同じく緒方恵美が演じるイーグル・ビジョンが姫の声を「きれいな優しい声」と評する場面がある。
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以下、ネタバレ
「私の愛するザガートを殺したのは あなたたちね……!」
「ザガートのこの剣で……殺してやる! 魔法騎士!!」
第1部終盤、魔法騎士たちの前に立ちはだかったザガートが倒されると、悲しみのあまり大人の姿へと成長。神々しさと禍々しさが同居した、長い尾と翼を持つ人馬型(アニメ版では二本足)の女怪のような白い魔神(マシン)に搭乗し、愛するザガートの敵を討つべく第一部最後の敵として魔法騎士たちと死闘を演じる。
その心は憎悪に染まっていたが、最後に残った『柱』としての心が、少女たちに伝承の真実を語る。
『柱』とは、異世界セフィーロを支える存在。柱に選ばれたものは、己の感情を捨て、ひたすらセフィーロに生きる全ての命の幸せを祈ることが義務付けられる。
しかし彼女は、「一人の女」としてザガートを愛してしまい、セフィーロのためだけに祈ることができなくなってしまった。
ザガート個人の幸せを祈るようになり、セフィーロにとって悪しき存在となってしまったエメロードは、ザガートへの思いを断ち切るために自ら水の牢屋へと入るも彼を忘れられず、涙を流しながら伝承に従い、異世界から魔法騎士を招喚した。
魔法騎士とは、『柱』がセフィーロに害なす存在となったとき、『柱』を殺すために呼び出される異世界の人間のこと。
セフィーロの人間が『柱』を殺すことも、『柱』が自ら死ぬこともできないため、セフィーロを救うために『柱』を殺す方法が「魔法騎士の招喚」であった(事実、エメロードは魔法騎士に「私を助けて」や「ザガートを倒して」とは一度も頼んでいない)。この事実を知っていたザガートは、だからこそ愛する者を守るために魔法騎士を排除しようとしていたのだった。
セフィーロの崩壊を防ぐため、自らを殺してくれるよう魔法騎士に懇願する幼い姿のエメロード。
魔神の攻撃を受けながらも「できない」と3人は拒否し続けるが、『柱』として、そして女としての彼女の願いを叶えるために、ついに決意する。
魔法騎士たちの涙ながらの一撃を受けて敗北したエメロードは、ようやくザガートだけのものになれると安らかな笑顔で死を迎えた。
「一人の人間が世界そのものを支える」というこの『柱』制度には、セフィーロの住民たちも疑問の声があがっていて、第2部に登場したザガートの弟ランティスも疑問を持った一人である。
読者からも制度に対する反響の声が多かったようで、作品の設定資料集にてその旨が明かされている。
第2部は原作とアニメでは展開が異なるが、『柱』エメロード姫を失ったセフィーロを我が手にしようとする勢力が群雄割拠し、最終的に獅堂光の選択に運命が委ねられる。
柱に関する顛末はこちら→『柱』(レイアース)。
セガサターン版
「わたしの…愛する人を…
わたしの愛する人を殺した…!
マジックナイト!
許せない!!」
原作通りラスボスとして登場。ストーリーがオリジナルのためイベントが原作やアニメとは異なっている。
ラストダンジョンの最奥にて光たちが助けに来た後、ザガートを倒したことを告げられる。その際に激昂し豹変。大人の姿となり、復讐鬼として襲い掛かって来る。戦闘は原作通りロボットに搭乗しての空中戦(シューティング)となる。
闘う直前に光たちはクレフから真実を語られる。
エメロード姫を倒すための理由付けとして「このままでは逆上したエメロード姫によってセフィーロがメチャクチャにされてしまう。それは本来のエメロード姫の意志に反すること」と言われ、光たちは魔法騎士としての使命を果たすべく最後の戦いを演じる。
エメロード姫は消滅するが、別れ際に彼女の魂が3人に語り掛け「その心の強さを忘れないで」と告げ、元の世界に戻すという結末となる。
なお、エメロード姫を撃破すると悲痛な叫びを上げながら機体が爆発四散するというシーンが流れるため、ちょっとしたトラウマである。ラストシーンで本来のエメロード姫から笑顔を向けられるのが救いか。
スーパーロボット大戦シリーズ
魔法騎士レイアースが参戦した「スーパーロボット大戦T」でも、シナリオ中盤の大ボスであるザガートを倒し彼の協力者ラバーン・ザラマンド(あの人の転生後の姿)を退けた後に上記の白い魔神(名義は「魔神エメロード」)に乗った大人の姿のエメロード姫が現れ、憎悪と殺意をむき出しに襲い掛かってくるのだが、これが滅茶苦茶強い。
ただでさえユニット能力が、直前の難敵である魔神ザガートを更に一回り強くしたような圧倒的性能を誇るのだが、パイロットであるエメロード姫のスキルは
- 気力が130以上だと回避率と命中率が大幅上昇する極。おかげで攻撃が当たらないし避けれない。
- 技量の低いキャラクターに対して、与ダメージ増加するプレッシャーと攻撃を仕掛けられた側でも先行になるフルカウンターの恐怖のコンボ。必殺級の攻撃力を先手で連発してくる。
- 極めつけに3回行動の能力持ち(ちなみに本作は2回行動持ちの敵すらここまでのシナリオには登場していないと言えば、どれだけ彼女がブッ飛んでいるかがおわかりいただけるだろうか)。このスキルの危険性はZシリーズ経験者ならご存知のはず。
と、殺意溢れるスキルの数々を持っている。
ちなみにこれはノーマルモードの話。エキスパートモードでは自軍フェイズ開始時に精神コマンドの覚醒を使うため実質4回行動ができてしまう。
一応、魔神エメロードは防御系の特殊能力を持たない・光を優先的に狙うので行動パターンを見極めやすいと付け入る隙はあるのだが、魔神ザガート&ズワウスといった強敵との戦いで疲弊した状態なので、原作知らない人間には初見殺しとなるのは間違いない。
このボスラッシュは紛れもなく本作でも指折りの山場と言える。下手したらラスボス攻略よりも難しいという声も。
……「愛する人を奪われた憎しみに駆られるままに戦う」彼女の姿は、プレイヤーサイドの復讐鬼達にも通ずるものがある。
続き登場した『スーパーロボット大戦30』でも中盤の見せ場として登場。本作では結託先の馬鹿王子が登場してさらにお姫様を誘拐したためせっかくの見せ場らしい場面を絶望に叩き落すごとく現れる。更に本作では取り巻きとして怪獣が現れるため ロボット大好きキャラすら破壊者と言われたため本作に登場した自称神に対する究極のアンチテーゼと思われる場面は1つの見せ場である。
更にもう一つ付け加えると、パイロット能力を確認してみると彼女もザガートと同様に精神コマンドに「希望」と「愛」が備わっている……。
彼女に対する特殊セリフも豊富に用意されているが中でも『ベターマン』の主人公蒼野蛍汰は「お姫様を助けたら、普通はエンディングじゃないの!?」とレイアース放送当時の視聴者達の気持ちを代弁したかの如く困惑している。
しかしそれでも、
- アムロ「それが…あなたの望みならば…!」
- カミーユ「エメロード姫の、この想い…これは!?」
- ルルーシュ「エメロード姫のこの怒り…、そういうことか…!」
- スザク「愛するが故の復讐…!」
- カレン「あのお姫様…、もしかして…!」
- エル「悲しみと憎悪が、機体を通して伝わってくる…!」
など、殆どの自軍メンバーが訳も分からず困惑する中、一部のメンバー達がそれぞれの性格・体験・能力などを理由にエメロード姫の心中を察してしまう。
『30』にはサクラ大戦シリーズも参戦しており、愛する者を失って憎しみに駆られるエメロードに対し他作品主人公とヒロインのいちゃつきを見せつける合体攻撃「ふたりはさくら色」や「ハレルヤ」をぶつけるというある意味酷過ぎる愉しみ方(?)をすることもできたりする…