CV:江原正士
概要
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経歴
かつて地球連邦軍士官時代はスーパーロボット「ガイアーン」のパイロットとして活躍し、その後は38歳という若さで世界的企業VTXユニオンの社長に就任、そこから10年間世界の経済界をリードしてきた。
またエイム・プレズバンド議員とは長年にわたっての友人でもある。
豪放磊落な性格で一度した決心は曲げようとしない頑固さを持つゆえに内外に敵が多いものの、経営においては柔軟な姿勢を心がけ、その先見の明にカリスマ性を感じて命懸けで付き従う者も少なくない。
自軍部隊「T3」の後ろ盾でもあり、ラミィ・アマサキからは自身に居場所を与えてくれたヒロスケ・アマサキと並ぶもう一人の地球の父として「おじさま」と慕われている。
しかし、物語終盤、UND(第13・24・32銀河および汎星団間共同体同盟下における軍事協賛組織連合の略称)との戦いで特攻して命を落としてしまう。
生前に次期社長を指名していたため、業務の引き継ぎはスムーズに行われたものの、特務三課の面々からはその死は悼まれるのであった。
以下ネタバレ
UNDを退け、エイムを追ってGアイランドシティに到着したT3の前に、超巨大ロボットダイガイアンを駆って姿を現す。彼の機体を一太刀で瞬殺すると、外宇宙への進出という「新たな黄金の時代」を自分の手で開くという目的で『銀河統一計画』を唐突に宣言、事実上の外宇宙・異世界侵略に全人類を参加させ、自身がその総司令官になることを宣言した。
彼は死亡しておらず特攻しながら生存できたのは火星生まれのジャンパー、つまりボソンジャンプで秘密裏に脱出していた。このような行動を取った真意は「己のヒロイズムをアピールする為のパフォーマンス」が目的の自演であった。
実は特務三課及びT3の面々は知らなかったのだが、ダイマはこれまで挫折知らずの順風満帆人生を送ったがゆえに、自分と他人の境目も他者の痛みも全くわからない独善的な人物へと成り果てており、「黄昏の時代」となった退廃した地球救済と兼ねてのからの夢であった外宇宙進出を両立すべく他星侵略という形で秘密裏に決行しようとしていた。
本人は正義感でやっているつもりであったが、地球人による他星への侵略以外の何物でもなく当然T3からは非難され、特にラミィの先輩である主人公らからは、異星出身ながらも地球を守るために戦ってくれた彼女に対する裏切り行為から『地球の恥』と言わしめる程に嫌悪され、彼らと決戦を繰り広げる事となった。
ちなみに近年のスパロボでは恒例となっているのだが、終盤の展開は条件を満たすと分岐し、通常ルートと激闘ルートに分かれそれぞれ展開が異なっている。
- 通常ルート
ゾヌーダ化した命を救出した現場に乱入したエイムを逆に粛清し、「機動要塞VTX」を中核とした銀河統一計画を提唱しT3と対峙する。T3の戦闘データ、地球文明・太陽系先史文明・ラミィがもたらした異星文明を融合した科学技術、さらには感情を力に変えるテクノロジーまで搭載したダイガイアンでT3を追い詰める。そして機動要塞に市民やVTX社員を集め自分の雄姿をプロパガンダする目的で太陽系全土に中継し、「新しい人類の船出の旗頭」となる自分を世に知らしめた。
しかし、人々から激しいブーイングの嵐を浴びせらてしまい。さらに社長返上しての計画だったがゆえ、VTXユニオンからも縁を切られた挙句に社の予算を私用した横領犯として追われる立場になってしまい、トドメにホシノ・ルリから「痛い無職の中年」と指摘されてショックでエネルギーが逆流してT3に逆転されてしまう。
ゲームではいきなり気力300で襲い掛かってくる。自身の能力もあいまって戦艦クラスのユニットですら一撃で沈みかねない攻撃を放ってくる。しかしHPが一定値以下になると前述のブーイングイベントが発生するので、ここまで凌げるかが攻略のカギとなる。
- 激闘ルート
機動要塞VTXが出現しダイマがエイムを粛清しT3に立ちはだかる流れは若干違うが通常ルートと概ね同じだが、こちらではダイガイアン1号にデビルガンダム由来の自己修復機能が搭載されており、突如受けたダメージを全回復してくる。
さらに殺されたと思われていたエイムがダイガイアン2号とともに姿を現し、ダイマの銀河統一計画への協力を宣言、友情を確かめ合いながら二人揃っての前口上と共にT3に挑んでくる(一度死んだ…ふりをした事で罪を清算し生き返ったという茶番だったようだ)。
なにやっとんだおっさん共!と思うかも知れないが、ゲームとしてみると大ボス級の機体×2・自己修復機能へのエネルギー供給を行うエイムを先に撃破する必要がある・さらに増援で毎ターン増えるティランド(勝手に作ったティラネードの量産機)が30体になるとゲームオーバーになるという特殊な敗北条件があるなどなど、通常ルートよりも難易度が大幅に上がっている。
- 決着
どちらのルートでも)敗北しダイガイアン1号と共に、先に散ったエイムの後を追おうとする。しかし主人公に自身が作ったVTX社訓その7『逃げる事を潔いとは言わない』を突きつけられ、さらにラミィの「かつての恩人をこれ以上嫌いになりたくない」という説得が決め手となり、ダイガイアン1号から脱出・投降するという結末を迎えた。
社会的地位を持ったスパロボのラスボスといえば、Lのルド・グロリアといった前例がいたものの、その手のヴィランとしては死亡せずに決着が付いた数少ない事例でもある。
VTXユニオンに入社する前は人類の敵と戦い続けた英雄的軍人であったが、敗北も挫折も経験することなく己の価値観を周囲に押し付けて突き進んでしまった結果、自身が気づかぬうちに正義の味方のなれの果てとも言えるエゴイスト(しかも、本人は善意のつもり)へと変貌してしまったのが彼の不幸だったのかもしれない。
余談
以前、寺田Pとシナリオライター・奈須きのこ氏の対談(外部リンク参照)にて、(「納得できるだけの伏線があればそれもアリ」と銘打ったうえで)「超銀河帝国と戦った後に、そこらへんのオッサンと戦えますか、ってことですよ(笑)」と語っていたがまさか本当に宇宙規模組織と対決後に地球人のおっさんと戦うと誰も予想できない展開となっている。
一見、超展開に見えるが、自分が経営する会社の一大プロジェクトに携わる特務三課の主任である主人公の名前を憶えていない点、彼らの会話の中で登場するVTX社訓の中には根性論の濫用とも取れるものや目的のために手段を択ばない狡猾さや一種の権威主義志向を匂わせるものが多数存在する点から何か黒いものを感じとり、きな臭さを察したいたプレイヤーも少なくない模様であった。
最終話での各キャラとの戦闘前会話もかなり豊富。決別した筈なのに今なお銀河統一計画に勧誘して嫌悪され対立するというのがだいたいの流れ。主人公クラスのキャラ以外にも充実しており、怨敵と同種の危険な独善を察知するサブロウタやレイ、旧知の仲ゆえにこの暴挙を止めようとするエルドラチームや東方不敗、故郷オートザムも侵攻対象だと聞かされここで計画を食い止めようと決意するイーグルとリアクションも様々。
しかしそんな中、多くのプレイヤーが『これはひどい』と感じたのはやはりゲッターチームとの会話であろう。
上記の特攻直前にT3と再会した際、真ゲッタードラゴン誕生時に武蔵が消滅してしまった件を気にかけてくれるのだが、実はあれは周囲に良く思われたいから悲しんでいるフリしていただけだった。後任が後を引き継いだ事をうっかりド忘れして会話していた事からバレてしまい、彼らを激昂させている。社長という大勢の前に立つ立場ならばそういったしたたかさも必要かもしれないが、今回ばかりは流石に不謹慎過ぎたようだ。
なお、彼ら以外にも
- 『平和な星に辿り着く事を信じて娘と技術を送り出したラミィの両親』
- 『異星人である自分に優しくしてくれた地球の人々への恩返しとしてトライダーを開発したナバロン』
- 『スパロボにおける地球連邦軍の良心の代名詞であるミスマル・コウイチロウ提督』
- 『オートザムと同じ異世界に住まうファーレンやチゼータの人達』
等、ほぼ全方向に喧嘩を売っており文字通りの『地球の恥』としか言えないだろう。
関連タグ
スーパーロボット大戦T サイゾウ・トキトウ サギリ・サクライ ラミィ・アマサキ メリル・スパンナ エイミス・アーネスト ヒロスケ・アマサキ ルーディー・ピーシーザルト
ラグナヤル・ディンハーリッシュ…エイムと友好関係を築いたUND戦闘部門におけるトップ。上司としての器はダイマよりも遥かに大きく、部下想いで誇り高き熱血漢。劇中両者とも接点はなかったがもしラグナヤル氏がダイマの本性を目の当たりにしたら発狂していただろう…。
シュウ・シラカワ、イルイ・ガンエデン、インファレンス、ジ・エーデル・ベルナル、アドヴェント、ホープス…同じく最後まで生存しているスパロボのラスボス達。
ルド・グロリア…『正義の味方のなれの果て』と言えるスパロボのラスボス繋がり。こちらは「社会的地位を維持している」「世論の支持を得ている」「民衆に失望している」「最期は命を落とす」等、色々な意味でダイマとは正反対な人物であったがルドが今のスパロボOGに出た場合奇しくもこの発言にガッチリと当てはまってしまう(実質的には大統領なのだが規模と戦力からすると「そこらへんのオッサン」と同レベルでしかない)。
リュウセイ・ダテ…一部ファンからは「リュウセイの成れの果て」と言われている。確かに、OGシリーズ初期のゲーム感覚が抜けていなかったリュウセイが何一つ挫折を経験しなければ可能性があったかもしれない。ただ、様々な経験を経てリュウセイは人間的に大きく成長を遂げているため、実際にはダイマのようにはならないだろう。このため、より正確には「リュウセイが成長しなかった場合に辿る可能性の一つ」というのが正しい。
テンザン・ナカジマ、マクギリス・ファリド:リュウセイよりはむしろこちらに近い。しかし、マクギリスの場合は志を共にする多くの同士がおり曲がりなりにも平等の為に戦っていた。また、テンザンにとってはダイマの様な結末の方が幸せであったかもしれない。ちなみにテンザンは「リュウセイが成長しなかった場合に辿る可能性の一つ」という点でもダイマと一致している。
ミスト・レックス:仮にダイマがOGに出たらプレイヤーを怒らせることになった彼のあまりにも身勝手で傲慢とも取れる発言に正当性が出てしまう(ガドライトと同じくマトモに見せるためのポジションになるか)。また、困難ルートにおけるブライト・ノアとダイマの戦闘前会話は「ユーザーが望むプレイヤー部隊VSミストの戦闘前会話」と呼べる。
赤月瑞雲:スーパーロボット大戦GC(XO)のオリジナルキャラ。こちらも子供っぽい一面がある社長である(OGシリーズでは子供っぽい一面はカットされ、常識的な性格になっている)。ただし身勝手な暴走したダイマと違い赤月は最後まで味方サイド側であった。ちなみに同じヒーローに関連しておりダイマの場合はロボット乗りとしてヒーローになっているが赤月はヒーローに憧れを抱いている。