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概要編集

CV:堀内賢雄

"組織" のリーダーである老齢の男。本名はクー・クライング・クルー

ヴァンの婚約者エレナとレイの妻シノを殺した、2人にとって不倶戴天の敵。

延命治療を繰り返しており、何百年も生き永らえてきたが、それも限界に達しているため、息子から提供される血液を輸血することで命を繋ぎ止めている。


右腕に着脱可能な鉤爪の義手を装着しており、宗教的なモチーフと護身具を兼ねている。鉤爪のメンテナンスを行う際は通常の人間の指と同じ形状の義手を装着している。


本名を秘密にしているわけではないが、あえて名乗ろうともしない。

そのため、組織のメンバーたちからは尊敬の念を込めて「同志」と呼ばれ(後述)、それ以外の人間からは「カギ爪」「カギ爪の男」と呼ばれている。劇中ではほとんどこの2種類の呼ばれ方しかされない。


息子はオリジナル7の一人、ウィリアム・ウィル・ウー

かつて妻がいたが、母親の愛を独占したいと考えていた幼いウーに嫉妬され、ウーにナイフで殺されそうになった際に、それをかばった妻が身代わりとなって命を落としている。それからは父と息子という上下関係ではなく、お互いに組織関係者の一員として対等な立場として名前を呼び合うこととなる。


性格編集

極めて温厚で柔和な性格をしており、誰に対しても子供に語りかけるかのような優しい口調で喋る。気に入った相手がいたら、自分の心を開いて相手を説き伏せた後に「夢はあるか」と問いかけ、「自分と一緒に夢を見ないか」と組織に誘う。

決して人に怒らない性格として知られており、相手を貶したり、暴力的な発言を行うことはない。しかし、作戦が上手くいかない時や、周囲の人間に受け入れられない時は、指が震えたり、表情が険しくなったりするため、実際は「喜怒哀楽の"怒"の感情のみが麻痺している」と言いかえた方が正しい。


オリジナル7と同じような性質を持つバースデイに搭乗できるよう、改造手術を受けていると思われる。これによって本人の自覚がないまま、ヴァンやレイに匹敵する身体能力(銃弾を素手で弾くなど)を得ている。

相手を説得する際には、相手が自分に理解を示すまで抱擁するという方法を取るのだが、この時に相手が理解を示さなかったり、暴れたりすると、自身でもコントロールできないほど過剰な力が入ってしまい、彼自身の持つオリジナル7に匹敵するほどの怪力で「うっかり」殺害してしまう。過去に何度もこういった場面に出くわしているのが、非常に危険な手法だと知っているにもかかわらず、過去人間だった時の説得における必勝法であった経験からか、改善しようとは考えていない。

ちなみに「二重人格的なもので、本当は相手に対して殺意がある」という説が挙がることもあるが、そのような描写は皆無である。例えばムッターカの同僚を抱擁で殺害した時には、抱擁の瞬間は穏やかで慈愛に満ちた表情をし、その後相手の身体から血が出ていることを察するとハッとした表情になり「またやっちゃった。ごめんなさいごめんなさい」と涙を流しており、そこに怒りや殺意のような感情は見出せない。


…と思われていたが、実際には明確に殺意を持って相手を殺害していることが谷口監督自身が明言している(後述)。


性格が極めて温厚で、人望を有し、けれども説得せねばならないはずの相手をうっかり殺害する悪癖もある。

これだけでも大変厄介であるが、彼の場合これに加えて、(あまり長い時を生きてきたためか、それとも後述の思想のためか)、他人の生死に異常なほどに鈍感であり、うっかり殺害した相手や自らの計画の中で犠牲となった人間のことを割とあっさり忘れてしまうという別の意味で忌むべき悪癖も持つ。

約10年前の作品エレガントな総帥とは真逆と言えよう。


素顔編集

以上のような「温厚なエゴイストで相手を殺害するのもうっかり、それでいてすぐに忘れた挙句に「心の中で生きている」と正当化するサイコパス」というのが当時の視聴者の受けた彼の人物像であった。


しかし、BDBOXの谷口監督のインタビューにおいて「負の感情がないわけではなく、過去のトラウマから表に出すことができなくなってるだけ」(同時にこれは、「同志」の誰も本質を理解してないということでもある)「溜まった負の感情が爆発する時があり、その時はカギ爪を無意識に動かしている」という裏設定が語られた。


前述したムッターカたちを殺害した時に「慈愛の表情で抱擁して殺意を見出すことはできない」というのも間違いであり、過去にもエレナやシノを殺害したことも、「自分を拒絶した」ことで激しい怒りを内心抱いて手にかけたのであろう。


また、最終決戦において計画を台無しにされたことを察した際にはヴァンに「もう一度やり直せる!ありがとう!」と礼を言うという非常に印象的なシーンがあるが、実際はバースデイでダンに対して猛攻を繰り出して「仲間に迎えたい」はずのヴァンのことを殺そうとしてるようにしか見えない。

事実、口ではそんなことを言っているがこの時のカギ爪は恐ろしい笑顔でカギ爪をピクピクと動かしている


総括すると「無意識のうちも含めて自分を拒絶されることに一方的に怒りや憎悪を向け、明確に自分の意思で殺害し、それを「彼らは私の心の中で生きている」と正当化した挙句に最後はそれを忘れるサイコパス」が彼の本性である。


思想編集

組織の代表であるが彼自身に自己顕示欲や権力欲は無く、「世の中から争いを無くしたい」という漠然で巨大な夢に基づいて行動している。

彼の組織は上下関係が存在しないことになっているため、軍隊的な規模であるにも拘らず1人1人を大切な仲間として分け隔てなく扱う。また、仲間からは崇拝の対象である彼自身の事は "同志" と呼ばれているが、その呼称には絶対的な敬意が込められている。


長い長い人生の果てに、人の生死に価値は無く、人の行動そのものに価値があるという思想に到達している。

どんな行動をしたか、そしてその行動が自分の心に残ったかどうかだけが重要であり、カギ爪にとってその人間が生きているか死んでいるかは大した問題ではない。

この思想は彼が時折言い放つ「いいじゃないですか、あの人は私の心の中で生きているんですから」という言葉に顕著に表れている。


このような善悪を超越した思考は強大なカリスマ性を生んでおり、彼を神のように慕う者も多い。だが多くの人を死に追いやりながらも全く反省せず、開き直りすらするソシオパスである上、殺した者の事もすぐに忘れる為、仇からはますます恨まれるという悪循環を生んでいる。


結局、人としての度量そのものは果てしなく大きいが、長すぎる人生の中でその器に致命的な歪みが生じており、慈愛の心で赦し受け入れているはずの他人を最後は必ず取りこぼし破滅させてしまう存在である彼は、その内面に悍ましいものと致命的な矛盾を抱えている。

現に「人は生死ではなく行動そのものに価値がある」と宣いながら、意見の異なる者を衝動的に排除してその人物の命=行動そのものを続ける権利を奪っている事実には一切向き合っていなかった。


来歴とその目的編集

かつて地球では、総合総庁という政治を管理する仕事に就いていたが、細菌兵器の誤使用によって巻き起こされた "永遠の春休み"により地球が崩壊してしまったため、惑星エンドレス・イリュージョンに向けて脱出した。途中、月で観測チームと合流するも、その時に起こった争いに巻き込まれ右手を失う。最終的に自分以外の人間が死に彼だけが生き残るが、仲間同士であっても最後の1人になるまで殺し合う"人間の恐るべき本性"を間近で見たため深く絶望してしまう。


その後、わずかな希望をもって惑星エンドレス・イリュージョンに降り立つが、彼を待っていたのは荒廃した土地と、ギャングや賞金稼ぎが闊歩するほど乱れたモラルの世界だった。治安維持の任務を放棄し、私利私欲のために権力を振るう腐り尽くした惑星の管理者(旧オリジナル7)達と敵対し、その他の想像を絶する絶望にあいながらも、彼は惑星に降り立って初めてできた友である医者の手により、百年単位の延命治療を受け、争いの無い世界を築くために行動を開始する。


世の中から争いを無くす方法「幸せの時」なる計画は、表向きは武力による世界征服であり、彼を代表とした統治により争いのない世の中を作る事とされているが、実際には月に設置された惑星破壊兵器「プリズン・プラネット・デストロイヤー」を利用し、この惑星そのものを破壊することである。

惑星を一度破壊した後、テラフォーミング装置を使い惑星の周辺の時系列を1から再構成し、人類を争いを起こさない思考を持つ人間に作り替えるという、という無茶な試みであった。

再構成時に、個人個人に対して都合のいい状態まで時間を巻き戻すことが理論上は可能であり、カギ爪の男の「人を生き返らせることができる」という言葉も、この再構成により人が生まれ変わることを見据えてのセリフである。

人間を再構成するときに、人間の心を蝕むオルフェの花を触媒にすることで、本人(カギ爪の男)の意識を全人類の遺伝子に潜り込ませ、全人類を争いを避ける人種に作り変えるというのが計画の全貌である。


一見平和的な解決法にも見えるが、作中に登場する技術をフルに活用し、何万回シミュレートしても成功確率0%という希望的観測に募った再現性の低い試みである。当然失敗すれば惑星の破壊の段階で世界が終了し、そのまま全人類を失うことになる。

仮に成功したとしても、全人類はカギ爪の男の意識を遺伝子レベルで植え付けられてしまい、彼のような狂人ないしサイコパス同然の思考になる可能性が高い。よって生き返ったとしても元通りになれず、寧ろ世界の争いがマシと言えるレベルの致命的な問題が発生してしまう


彼らの計画はどう考えても不安要素が大きいのだが、カギ爪の男はこの計画が成功することを前提として活動しているため、たとえ何億分の1の成功確率であっても試みると発言している。また、彼の部下達もカギ爪の男と一つになれるならそれでいいという宗教的な崇拝のみで計画を推し進めている状況にあった(さすがにスパロボではアレと思われているのか、スパロボオリジナルや他作品との要素のコラボにより計画は成功するレベルにまではしている)。

この計画は集団の中でもごく一部しか知らされておらず、カギ爪の男の目的が人類を滅ぼす事だと推測した部下であるムッターカ・チーフ以下数名にクーデターを起こされている。


カギ爪の男の顛末編集

自らの夢を実現させる為にあらゆる者たちの人生を狂わせていたが、レイとの問答を皮切りにラッキーを手放してしまい(尤も、その事態が起こらなければ「完全に終わってしまった」が)、最終的にはヴァン達によって計画も瓦解となってしまった。


そして自身のもとにたどり着いたヴァンに「貴方を愛しています」と言おうとした所を、お前の言葉など聞くつもりはないと言わんばかりに一刀両断されて最期を遂げた。


「夢を追いかけ続けた怪物」は、「夢を奪われた男二人(とそれについて来ているバカ達)」によって夢のみならず命を失ってしまった


スパロボにおける立ち位置編集

他作品とのクロスオーバーを展開するスーパーロボット大戦においても彼の「聖人の皮を被った狂人」というキャラクター性も再現される。当然ながら、他作品のキャラクターたちからもその所業を嫌悪されている。また、彼が持つ狂った魅力に惹かれて忠誠を誓う者も現れている。


尚、『T』と『30』では「実は地球人ではなく異星人(或いは別の銀河出身)」という設定となった(この内『T』ではその人物と共演していた)。


また、本名を省略するとC.C.C.(シースリー)となる所から、『30』ではギアス嚮団と関わりがあるという設定が付与。元嚮主であるC.C.もその存在を知っていたという衝撃的展開が用意された。


関連タグ編集

サイコパス ラスボス


彼の同志編集

ミハエル・ギャレット ガドヴェド・ガオード ファサリナ

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