概要
『SSSS.GRIDMAN』に登場した怪獣のほとんどは、新条アカネが針金や粘土といった物を用いて作り出したフィギュアに、彼女と手を結んでいるアレクシス・ケリヴが何らかの手を加えることで誕生する。
この時、アレクシスは「インスタンス・アブリアクション」と唱えているが、これを直訳すると「情動・感情の開放の実体」と言う意味になる。
また、インスタンスはオブジェクト指向のプログラミング言語においてクラス(設計図)を基に制作された実体の事を指しており、一部では作中世界はコンピューターワールドなのでは?という推測されある人物?の発言からその説が正しい事が判明する。
一見デザインに統一性は殆どないように見えるが、ごく一部の特例(アカネの作品ではないヂリバーとアノシラス、「中の人」であるナナシB)を除いて中に人が入って動かせるようになっている造形・動作が特徴(劇中の動作を見ればわかるが、例外のもの以外は人間離れした動作をしていない)。また、どの怪獣もソフビ人形のように体にグラデーションが入っているとのこと。
また、鳴き声も特徴的でよくよく聞くと人間の言葉が元になっている(アンチに至っては高度な言語能力を所持している)。
各怪獣の大きさや能力(設定)はアカネが自由に決められるようだが、どのような仕組みなのか不明。
作りが甘い部分があるのか、個体によってはそのことに起因していると思われる弱点が存在する。
もっともグールギラスに関しては作成を決意してから登場までに半日もかかっていないと思われるため、作りの甘さは作成時間の短さに起因するものとも思われる(実際、そちらより制作時間の長いデバダダンは特にそのような問題はなかった。のちに明かされた設定でも、グールギラスはアカネが怒りに身を任せて急造したために未完成だったとされている)。グリッドマンの登場以降は、毎回前回の戦いを踏まえた改良を施されており、グリッドマンを苦しめている。
が、物語が進むにつれてすぐにグリッドマンの武装に怪獣の方が付いていけなくなっており、作中での怪獣との戦闘時間は特撮版の怪獣たちと比べるとかなり短く、グリッドマンをエネルギー切れ寸前まで追い込んでジャンクに火を吹かせたケースも意外と少なかったりする。(アシストウェポンたちの出動タイミングが特撮版よりも早く、グリッドマンが追い詰められる前に合体してしまうという理由もあるのだが)さらにいうと本作のグリッドマンは記憶喪失のため最終回まで以前よりも弱体化した状態であった。(ステータスがオールMAXなので最終回に登場した姿が特撮版の頃のグリッドマンよりもパワーアップしている可能性はあるが)
倒されると、その翌日には彼らのもたらした被害はまるで嘘であったかのように修復される他、人々の記憶からも彼らや彼らのもたらした被害は消去され、その間に被害に遭って死亡した人物は「怪獣被害が起こる以前に何らかの形で死亡している」ということになるという一種の歴史改変が起こり、さらに生存者と犠牲者の関係が浅いと出会っていない事になり、現に中学時代に死んだ事にされた問川さきる達はグリッドマン同盟の3人とアカネ以外の生徒達や教師からは「知らない人」扱いされている。
なお、ボイスドラマ等から改変自体は翌日にならないと起こらない様子。
アカネが怪獣の元になるフィギュアを作り出し、それをアレクシスに怪獣にしてもらって暴れさせる動機は「自分に不快な思いをさせた者達を(たとえ無関係な者達を巻き添えにしてでも)殺すため」というあまりにも身勝手極まりないものである(半ばストレス発散も兼ねているためか、例え未遂で終わったとしても対象が死んだかどうかはどうでもいいと発言したこともある)。
原作に登場していた藤堂武史が怪獣を作る理由も大抵の場合身勝手な被害妄想ではあるが、あくまで仕返しや懲らしめるレベルのことで済まそうとしており、被害者の命が危険にさらされたとしてもそれは武史本人の意図ではない(基本的には命を奪うような行為に対してはむしろ反対していた。中には大規模な災害や死人の発生に繋がりかねないケースもあったが、彼が殺意を持って人を殺そうとした例は一つしかない)。もっとも、アカネはツツジ台においては文字通りの神様とも言える創作者なので、ゲームで気に入らないNPCを排除する程度の認識しかなく、殺人を犯しているという自覚はほとんど無かったと思われる。
放送ではグールギラスが初登場であるが、アレクシス・ケリヴの「また怪獣かい?」という発言から、実際にはそれより前から怪獣が作成・実体化されており、1話以前から怪獣による犠牲者が人知れず出続けていたことが察せられる(毎回街中に突然現れるだけでなく、記憶の改変のせいで事前準備すら不可能であるため相当数の被害者が出ていると思われる)。
しかし、本編ではグリッドマン出現以降、目的を達成できたのは最初の問川だけ(ゴングリーに狙わせた大学生は最終目標だったやまとを取り逃がしている)で、後は未然に防がれて仕留め損ねる事の方が多くなり、これがアカネのさらなるストレスの元になっていった。
また改変は完全なものではなく、実際に中学時代に死亡した事になったさきる達の人数分の机と椅子が学校のゴミ捨て場に捨てられていたり、彼女達の連絡先が電話連絡網に残っているなど痕跡らしき物があるなど謎の部分がある。
第7回ではアレクシスが「憎しみが強い程強い怪獣が生まれるからね」と発言しており、アレクシスが第5回でゴーヤベックを「随分と普通の怪獣だね」と感想を述べたのはデザインに対してではなくアカネが「グリッドマンへの復讐」よりも「テストを兼ねたお遊び」が目的で制作した事で余り憎しみが籠っていなかった為と考えられ、さらに彼女が「自信」を持って生み出したメカグールギラスがあっさりフルパワーグリッドマンに敗れたのに対し、その後にむしろ捨て鉢な気持ちで作ったナナシがそのフルパワーグリッドマンを圧倒している事からアカネの作る怪獣の強さの原動力は設定などの理屈ではなく彼女自身のマイナス感情であると推測される。
第11回においてアレクシスは粘土細工だけでなく、その元となる「情動」さえあれば人間も怪獣の素体にできるという事が判明し、激しい焦燥と絶望に駆られていたアカネ自身を怪獣へと作り変え、自身もまたその情動を取り込む事で巨大な姿となった。
一覧
名前 | 別名(※) | ターゲット | 登場回 | デザイナー |
---|---|---|---|---|
ジャイガンター | 次元巨獣 | ダイアクロン世界の地球 | ダイアクロンVS.グリッドマン | - |
ジャムダン | 百花繚乱怪獣 | - | ANOTHERLOAD | 西川伸司 |
霧の怪獣 | 毒煙怪獣 | ツツジ台全域 | 第1回~ | ??? |
グールギラス | 気炎万丈怪獣 | 問川さきる | 第1回 | 西川伸司 |
デバダダン | 因果応報怪獣 | 担任教師 | 第2回 | 西川伸司 |
アンチ | 臥薪嘗胆怪獣 | グリッドマン | 第3回~ | 西川伸司 |
ゴングリー | 朝雲暮雨怪獣 | Arcadia | 第4回 | 丸山浩 |
ゴーヤベック | 多事多難怪獣 | グリッドマン | 第5回 | 山口修 |
怪獣少女アノシラス(二代目) | - | - | 第6回 | 坂本勝 |
ヂリバー | 幽愁暗恨怪獣 | グリッドマン | 第7回 | 板野一郎 |
メカグールギラス | 捲土重来怪獣 | 台高祭及びグリッドマン | 第8回 | 西川伸司 |
??? | 名も無き怪獣 | 無し | NOVEL VOL.1 | ??? |
ガイヤロス | 覆水不返怪獣 | グリッドマン | NOVEL VOL.1 | ??? |
スコルバン | 軻親断機怪獣 | グリッドマン | NOVEL VOL.2 | ??? |
デイワルダス | 一蓮托生怪獣 | ツツジ台全域 | NOVEL VOL.2 | ??? |
バジャック | 有象無象怪獣 | グリッドマン同盟 | 第9回 | 丸山浩 |
ナナシ | ****怪獣 | グリッドマン | 第10回 | 坂本勝 |
ゼッガー | 自縄自縛怪獣 | 無し | 第12回 | 前田真宏 |
アレクシス・ケリヴ | - | - | 第12回 | コヤマシゲト |
※ 各怪獣の別名は本編および公式サイトでは公開されておらず、TRIGGERのTwitter公式アカウントが公開しているアフレコ台本の表紙にてその名称が確認できる。アカネたちによって生み出された怪獣の大半は四字熟語+怪獣という名称で統一されている。
アノシラスはアカネとは無関係の怪獣のため、この規則から外れている。
ナナシはアカネが作った怪獣だが別名が存在しない→リンク先
第4回以降はあらすじ紹介や公式サイトでも登場怪獣の姿や名前について一切事前告知されない為、本編放送まで怪獣の情報が皆無なのも大きな特徴。(ただし字幕をオンにすれば名前と別名が表示される)
第11回で一度実体化した怪獣は破壊されても再実体化ができることがわかった。
アレクシスは怪獣を作る気力を失ったアカネに代わり、(確認できるだけなら)グリッドマン陣営に寝帰ったアンチと管理怪獣を除く8体の怪獣すべてをツツジ台に再召喚する。
ただし一度目の姿の状態で実体化するのではなく目に光がない状態(怪獣によっては目が無いように見える)で実体化され、まだ生物感があった初登場時と比べるとさながら「アレクシスの手駒と言える心を持たない兵器」と言える。
尚、公式ではこれらの怪獣達は再生産怪獣軍団と呼称されている。
余談
本作では平成ウルトラシリーズの製作に携わったデザイナーが数多く参加しており、その影響からか特撮版のグリッドマン怪獣のみならず、ウルトラ怪獣へのオマージュ的な要素を持つ怪獣も多数登場しているほか、デザイン以外のオマージュとして、アフレコ台本の表紙はOO(その回で初登場する怪獣名。ちなみにあの怪獣?はJr表記)登場というサブタイ(?)とともに、バックに黒塗りのシルエットとなった当該怪獣が配置された画像が映っているジャンクがおきまりのパターンとなっている(勇者シリーズのダグオン等、多くの作品で一度は見かけたであろう、主に番組開始序盤に挿入される、ネタバレ的なあの演出である。多くの視聴者にはあまり目の届かないであろう場所にもネタを加えるのはなかなかニクイ話である)。
尚パソコンでデザインされていた原典とは異なり、怪獣模型作り好きなアカネに合わせてるのか現実空間(実際はコンピューターワールドだが)で手作業で生み出されている。ちなみに製作途中の怪獣には、琥珀色の石のようなものがはめ込まれており、同じような別の石を、アカネが手に持っていたこともある。絵コンテによるとこれはバロックパールという歪んだ真珠である模様。
バロックを用いる理由について、『超全集』での解説では『ウルトラマンダイナ』に登場したバロック怪獣ブンダーと同じく怪獣制作に錬金術を取り入れている為と説明されている。
また本編開始前から一応怪獣は作っていたはずだが、上述の第11回の過去の怪獣総出演シーンで何故それらを実体化させなかったかは不明(描写されていないだけで再召喚した上でグリッドナイトに既に倒されたかメタ的に言えば予算の都合で出せなかった?)。
尚、今作の音楽プロデューサーの鎗水善史氏が今作が初登場に怪獣の鳴き声は「憎い」「苦しい」などの単語をアカネ役の上田氏に言ってもらい、それを音源にしてサウンドミキサーの吉田氏に加工した上で使用し、ヂリバーだけはアンチが生み出した怪獣なのでアンチ役の鈴村氏の声を加工して使用している事を明かしている。
立体物
玩具販売をメインにした作品ではないため、商品化の機会は少ない。
放送当時にはグールギラスのラバーストラップ、放送終了後の2019年8月にグッドスマイルカンパニーからソフビ人形が発売された。のちにアンチとデバダダンも発売。
アンチとアレクシスはレギュラーキャラクターなだけあってか立体化の機会に恵まれている。
外部出演
スーパーロボット大戦30ではグールギラス、デバダダン、アンチ、メカグールギラス、ナナシA/B、ゼッガーが登場。
ゼッガー以外は一度倒すと量産の雑魚キャラとして登場してくる。
関連タグ
SSSS.GRIDMAN グリッドマン怪獣 怪獣(SSSS.DYNAZENON)
ガゼラ 妄想ウルトラセブン キングオブモンス バジリス スキューラ 魔デウス スパークドールズ
同じく人形が本物の怪獣になった存在。キングオブモンス達やスパークドールズは脚本が同じ長谷川圭一なので、単なる偶然というわけではない。
レッドキング(3代目) - こちらは「怪獣の人形が欲しい」と言われたマアジンが間違えて呼び出した本物の怪獣。
東方ロストワード:この怪獣達を模したキャラが存在する。ちなみに同作にはアカネ役の上田麗奈氏が参加しているのであながち無関係ではない。
鉄甲機ミカヅキ:粘土で怪獣を作る点での元ネタ。佐塚弾純が『グリッドマン・ドグマ』を描いた際に監督の雨宮哲から宿題として見せられたとのこと。