問川さきる
とんかわさきる
「ごめん、マジごめん! マジ反省します! しました!」
前髪を頭頂部で縛り、おでこを出した髪型が特徴的。校内にもかかわらず制服のブレザーではなく、赤いトレーナーとミニスカート、スパッツを着用しており、活発的な印象を受ける。また、腰にはガンバルクイナくんを模したポーチを付けている。
クラス内には戸井田光(通称:といこ)など5人の女子バレーボール部員仲間(通称・いつメン)がいるほか、他クラスの生徒とつるんでグループを拡張するほどのアクティブさを持ち、クラスの中心となっている。
第1回では名字でしか呼ばれておらず、スタッフロールでも名字しか記載されていない。
第1回「覚・醒」
昼休みの教室内でボール遊びをしていたが、誤ってバウンドさせてしまったボールが裕太の席へ飛来。その結果、新条アカネが裕太にあげようとしたスペシャルドッグを潰してしまう。
アカネ・まるさん「「問川、外でやれや〜/やれし~」」
「ごめん!」
幸いスペシャルドッグは袋に包まれていたため食べるのに支障はなく、裕太も全く怒らずに彼女を許した為、すぐにその場は収まった。
その日の放課後にはバレー部が活動中にもかかわらず、サボって体育館裏でスマートフォンをいじっていた。といこによると「四葉先輩」なる人物がいないとすぐにダラけるとの事。
しかし、彼女の平和な日常は怪獣グールギラスの出現により一変する。
イヤホンを付けていた問川は異常事態を察知できず、
気付いた時には街に放たれた火球の一つがバウンドし、彼女の眼前に迫っていた。
その直後、火球は体育館を直撃。猛烈な火柱が噴き上がった……
第2回「修・復」
内海が電話連絡網から住所を特定、同時に彼が持っていたメモから本名が発覚した。
実家は「龍亭」という中華料理店。
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第2回が始まった時点で、問川はもうこの世にはいなかった。
彼女はやはり第一話で火球の直撃を受けて爆死しており、しかも周囲の人々の記憶も書き換えられていた。中学生の時に事故で亡くなり、高校にはもともといなかったことになっていたのだ。
彼女がこのような目に遭ったのは、新条アカネを怒らせてしまったから。
スペシャルドッグを潰されたことを彼女は家に帰ってもまだ根に持ち続けており、その後すぐにグールギラスを制作して問川をターゲットにして出撃させ、彼女目掛けて火球を発射したのだ
(第1回の体育館裏のシーンを見直すとアカネが操るドローンのプロペラ音が響いており、問川がこの時点で狙われていたことが分かる)。
更にこの際、体育館で練習をしていたバレー部の生徒達も巻き添えで死亡している。
残酷な話ではあるが、問川は同じクラスだっただけで、裕太、将、六花のだれとも特別親しかったわけではない。
だが彼女やバレー部員の消滅をきっかけにして六花は自分のもっと親しい友達もある日突然失ってしまうかもしれないという漠然とした恐怖、裕太はグリッドマンとともに怪獣と戦う事で自分にできることはなんなのかという疑問を植え付けられた。
このように、台詞は上記の謝罪くらいしかないものの、ストーリーを動かす上で大きな役割を果たしたキャラだったと言える。
第7回「策・略」
第7回では正体を明かしたアカネが、裕太を勧誘する場所の一つとして「龍亭」を選び平然と料理を注文して食事をするなど、問川の死に一切頓着していない描写がされた。
第2回と第7回でアカネは「食べ物を粗末にしたから」と問川を殺した理由を述べているが、彼女自身はアンチの持っていたスペシャルドッグを踏み潰しているなど、極めて自分勝手な動機で問川は殺されている。
※加えて漫画版での問川は、改めてアカネに謝罪しようとした矢先に怪獣に殺されてしまい、より一層アカネの罪が重く描写されている。
結果、そうした問川の死を何とも思っていないアカネの態度が、裕太がアカネを拒否して戦いを決意する理由の一つとなった。
第8回「対・立」
第8回では問川達は自分達が消される前に、数年ぶりに開催される学園祭のクラス企画として「男女逆転喫茶」(女装男子と男装女子による喫茶店)をクラスの中心となって提案し、採用されていた事が判明する。
それに対しアカネが自身の学園祭嫌いと(おそらく)彼女達の遺産といえる企画を台無しにしたい気持ちを合わせて、グリッドマンに宣戦布告と予告までしてメカグールギラスで学園祭を潰そうと計画する。
結果グリッドマン同盟とフルパワーグリッドマンによってメカグールギラスは倒され、学園祭は問題なく開催され、彼女達の企画は無事に決行される事になるが、アカネは学園祭には姿を現さなかった。
なおその後に発表された公式イラストでは、アカネが参加していた場合は書生の姿をする予定だったことが明かされた。
第9回「夢・想」
そして、第9回で夢の世界に捕らわれた裕太は、親友たちもグリッドマンもいない世界で、龍亭を見かけて違和感を抱く。
そしてアカネと共に訪れた墓地で、問川の墓を見たことがきっかけで怪獣が作り出した夢の世界から脱出することになる。
これは裕太が知り得る限りの被害者が問川であることが理由と思われるが、それだけ彼女の死が裕太の戦う動機となっている証拠であろう。
第10回「崩・壊」
第10回では、アカネの見た夢の中で、殺された他のバレー部のメンバーと共に登場している。
さらにその姿に驚いたアカネの前には、次々と他の犠牲者達の姿も現れ、彼女はどんどん追い詰められていく事になる。
今まで何の疑問も抱かずに邪魔者を排除してきたアカネだったが、問川の死を裕太に責められ、拒絶されたことで、心の奥底にあった罪悪感を意識せざるを得なくなってしまったのだろうか。あるいは罪悪感こそ全くないが、今までやって来たことが無駄(=夢)だったと思ってしまったのであろうか。
引きこもってしまったアカネが作り出した怪獣は、「グリッドマンとの戦闘にはやる気がない」「内部から現れた骨格部は、彼女の作り上げた街を修復不可能な状態にし、死んだ人間の記憶を消去する怪獣を破壊する」と、この状況を受け入れられなくなっているアカネの心理を反映したかのような動きを見せた。
第12回「覚醒」
アレクシスに完全に見限られ、怪獣ゼッガーに変えられたアカネの前にこれまでアカネが殺してきた人間たちの亡霊の一体として出現。
この時のアカネは無数の白い手に覆われ身動きが取れず、亡霊の顔のあたりに無理やり付き合わされるという拷問じみた生き地獄にも等しい状態だった。
そんな状態ではあったが他の亡霊と同じく言葉は発さずただ笑みを浮かべているのみだった。
まるで今の無様な状態のアカネを嘲り笑っているかのように…
理不尽な理由で若くして命を奪われ、裕太、将、六花、アカネ以外の学校関係者から忘れ去れてしまう事になったさきる達だが、彼女達の存在は皆の心に深く刻まれているのだ。
2017年に小説投稿サイト『小説家になろう』へ投稿された連作短編小説。
作者はインフェルノコップ名義の雨宮哲監督自身。
『SSSS.GRIDMAN』の制作が決定し、キャラクターを一から創ることと文章を書くことの練習のために書いた習作らしい。
ネガティブな漫画部員の少年・米澤喜孝の視点から、クラスの中心人物である女子バレー部員・問川さきる、そしてバレー部と漫画部を掛け持ちする男性・四葉先輩の関係が描かれる。
問川とささいなきっかけから会話する事になった米澤少年は、彼女との交流を通して得た自身の心境の変化を、問川と四葉先輩を題材にした漫画を学園祭で発表するという形で昇華しようと試みる。
また、「教室の隅の席の読モ並みの顔をしているあの娘」の存在も示唆されている。
一見するとアニメ本編の前日譚のようにも思えるが、本作中の時間経過と「SSSS.GRIDMAN超全集」で明かされた本編中の時系列設定を照らし合わせると整合性がつかないので、本作は問川がアカネに殺されることのなかった、別の可能性世界での出来事と考えられる。
本作を読んでからアニメ本編を見直すと、彼女の存在と死がより重く感じられるだろう。
担当声優はアニメ『怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜』でザンドリアス、『ウルトラマンR/B』でダーリンの声を演じており、もはやウルトラシリーズファンにはお馴染みの声優である。
また、バレー部仲間のといこを演じた飯田里穂も、『怪獣娘』の主人公・宮下アキを演じている。
彼女が身に着けているガンバルクイナくんは『ウルトラマンネクサス』に登場し、ウルトラシリーズでも屈指の悲劇的展開を迎えたヒロインが作った代物として知られる。
問川がガンバルクイナくんを身に着けてボール遊びをするシーンは放送開始前の特報PVでも公開されており、更に本作の脚本家が『ネクサス』のシリーズ構成を担当した長谷川圭一だったことから、特撮ファンの中にはPVを見た時点で問川の死を確信する者もいた。
更に、問川を殺害したアカネはノスフェルのフィギュアを大量に所有しており、この点においても両者の関係が示唆されている。
ただし、ガンバルクイナくんの登場は長谷川氏によるセルフオマージュではなく、作画スタッフが自主的に行ったパロディだったようだ。長谷川氏はオンエアを見てびっくりしたそうな。
ちなみに絵コンテによると体育館裏でサボっていた際に問川がスマートフォンで見ていたのははっすの配信だった。
名前の由来はアメリカの玩具メーカーのトンカと、トンカが発売していたゴーボッツのキャラクターサイキルと思われる。
ちなみに他の生徒も
- 戸井田光(といこ)→レーザーウェーブの玩具のベースであるアストロマグナムを発売していたトイコープス社
- 毛苗村里香(けなちゃん)→アメリカにて一時期ビーストウォーズの玩具を販売していたケナー社。現在はハズブロの子会社
- 土居ハコ→オメガスプリームの玩具のベースであるスーパーチェンジロボ・メカボット1を販売していたトイボックス社
- 高良奈々→タカラ系のフックトイを販売している関連会社であるセブン社
とタカラやトランスフォーマーの玩具販売会社にちなんでいる。なお上記の企業のほとんどが現在は倒産か子会社化している。
デザイン画の時点では万代夢という名前だった。
また、実家の『龍亭』は『合体竜帝キンググリッドマン』が元ネタと思われる。
SSSS.GRIDMANが参戦した『スーパーロボット大戦30』でも原作と同じ展開を辿ってしまう。なお、皮肉にも本作で彼女の死後貰える強化パーツがスペシャルドックだったためある意味彼女への遺品あるいは消耗品と思われてしまった。