概要
ゴーボッツとは、『トランスフォーマー』よりわずかに先行した1983年、日本国内のマシンロボを米国トンカ社で展開するために付けられたタイトル、またはそれを元に米国のハンナバーベラで作成されたアニメ『チャレンジ・オブ・ザ・ゴーボッツ』の事を指す。
設定
正義のガーディアンズと悪のレネゲイズが地球に来訪、地球人の協力者と共に戦いを繰り広げるというものである。
古典的ヒーローでありがちな設定であるが、当時の米国カートゥーンとしては珍しいものではなかった。問題は対抗商品と番組がかの『トランスフォーマー』だったということなのだが。
ちなみにゴーボッツは完全なロボットではなく、元はゴーボトロン星に住むゴービーングスという、人間に酷似した有機生命体である。
ゴービーングスは、マスター・レネゲイド率いるテロリスト集団レネゲイズの攻撃を受け、滅亡の危機に瀕してしまった。その際にラストエンジニアと呼ばれる天才が、ゴービングスを救うために、彼らの脳を機械の身体に移し変えたことから生まれている。
このロボットボディには「モディファイア」という機能があり、これによりゴーボッツは航空機や乗用車などの乗り物への変形が可能になる。また、彼らは戦闘時に銃を使わず、突き出した拳から光線を発射して相手を攻撃する。
商品展開とキャラクター
メイン商品は日本国内で言うところのマシンロボ600シリーズ。だが、カートゥーンでのアレンジがきつく、日本的なタメ・見栄を切るアクションとは無縁で、ひたすら動きはするものの、メリハリのない画面は現代の目で見た場合、魅力的とは言い難い。ストーリーや音楽、変形シーンは玩具にとても近く、完成度は高いが、登場人物が多い反面、下記のキャラクターたちがレギュラーとして活躍、他のゴーボッツたちが脇役となっているため、群像劇が主流だったトランスフォーマーシリーズと対照的だった故、人気が得られなかった要因でもあった。
何よりも当時の『ダイアクロン』・『ミクロマン』の花形商品群を小アレンジで多数投入してきた『トランスフォーマー』相手には、商品訴求力が決定的に不足していた。そのため日本版には無いオリジナル商品もてこ入れで多数投入されたが、結局『トランスフォーマー』に勝つことはできなかった。
登場人物
リーダー1
CV:ルー・リチャーズ
『マシンロボ』のイーグルロボに相当する正義のガーディアンズの主役キャラ。日本的な基準で言った場合、ほかのモブに潜り込んでも識別の付かないデザインだが、ガーディアンズのメンバーやマット達を気遣う勇敢なリーダーである。
CV:バーナード・アーハード
『マシンロボ』のバイクロボに相当する悪のレネゲイズの首領キャラ。基となった玩具から顔のアレンジがきつく、ただの夜盗の頭といった風貌である。リーダー1とはかつて友人関係にあり、ガーディアンズに所属していたが、民主的なガーディアンズの体制に反逆し、レネゲイズのリーダーとなった。
マット・ハンター
CV:モーガン・ポール
ガーディアンズに協力するNASAの経験豊富な宇宙飛行士。口髭を蓄えた壮年期の男性で、士官候補生のニックとAJと共にゴーボッツの争いに巻き込まれる。NASAがUNECOM(United Earth Command)に改変された後も人類とガーディアンの中継役として尽力する。ガーディアンズのリーダー1は彼の良きパートナー。
ニック・バーンズ
CV:スパーキー・マルクス
ガーディアンズに協力するNASAの士官候補生。金髪の青年で、楽観的かつ気さくな性格の持ち主であり、レネゲイズから離反した末に非業の死を遂げたスチーマーに対して唯一人理解を示した人物でもある。ガーディアンズのスクーターとパートナーを組んでいる。
A.J.(アリソン・ジャンモリア)フォスター
CV:レスリー・スペイツ
ガーディアンズに協力するNASAの士官候補生。褐色の肌を持つ女性で、ガーディアンズのターボとパートナーを組んでいる。
玩具について
これらはTFへの対抗上、後にギミックやプロポーションを改良した大型玩具が発売され(コンボイやメガトロンをあからさまに意識したものと思われる)、日本でも「ビッグマシンロボ」として発売されたが、国内のお友達には海外での販売事情など知る由もなく、ユーザー置いてけぼりの商品であった。
その後日本では『出撃!マシンロボレスキュー』に続く『ムゲンバイン』のヒットを受けて組み換えによる変形・合体路線にシフトし、旧来の『マシンロボ』は半ば忘れ去られた形でフェードアウトしていく中、2010年代後期に香港の玩具製造メーカー・アクショントイズから(『マシンロボ クロノスの大逆襲』名義として)これらの版権を取得しリメイクされた変形玩具が数点登場。あくまでも版権上は『マシンロボ』だが、大型サイズのDXバイクロボには初回限定版として謎の顔面パーツが付属しており、それを取り付けるとサイキルになってしまうという確信犯的なギミックが仕込まれている。
その後
80年代後半には大勢が決し、後年トンカはハズブロに吸収されてブランドも運命を同一にする。そのため現在の『ゴーボッツ』というブランドは『トランスフォーマー』の乳幼児向け入門ブランド『レスキューヒーロー・ゴーボッツ』や『トランスフォーマーG2』のミニカータイプのロボットのカテゴリとして名を残している。
2004年に通販サイトe-hobbyにて限定販売された「G1ゴーボッツ(トランスフォーマーコレクション12ミニボットセットのリカラー品)」のように、ゴーボッツのキャラクターの名前を付けられ、トランスフォーマーとして発売されるケースもある(ちなみにこのミニボットリカラー版ゴーボッツには、トンカ版ゴーボッツを連想させる設定が付加されている)。
トランスフォーマーのカテゴリとしてのゴーボッツは、当該記事を参照。
しかしその一方で、IDWパブリッシングのコミック『メガトロン・オリジン』では剣闘士時代のメガトロンにサイキルが敗北し殺害されるというショッキングなシーンが描かれた(日本語版では権利の都合上、デザインに修正が加えられている)。
サイキルのみならず、トランスフォーマーの2002年度に展開したシリーズ「armada」こと「マイクロン伝説」では、メガトロンのパートナーミニコンに「リーダー1(日本名バレル)」と名付けられている。
※つまり、トランスフォーマーの悪側のボスのパートナーに、ゴーボッツの善側の主人公の名前が付けられているのである。
関連イラスト
動画
「チャレンジ・オブ・ザ・ゴーボッツ」OP