長野県北部地震
ながのけんほくぶじしん
概要
- 2011年の長野県北部(長野県と新潟県の県境付近)を震源としたM6.7の地震で、長野県北部で震度6強を観測したが、長野県北部と新潟県中越地方の一部地域では震度7相当の揺れを観測した可能性がある。死者は3人。
- 2014年の長野県北部(北安曇郡白馬村)を震源としたM6.7の地震で、長野県北部で震度6弱を観測したが、こちらも一部地域で震度7相当の揺れを観測した可能性がある。こちらは幸い死者を出していない。
2014年の地震は2011年に発生した地震と混同しないようにするため、長野県が「長野県神城断層地震」と呼称した。
2011年3月12日の地震
概要
2011年3月12日の3時59分ごろに、長野県北部を震源として発生した深さ8kmのMj(気象庁マグニチュード)6.7/Mw(モーメントマグニチュード)6.3~6.4の地震。最大震度は長野県栄村で震度6強を観測した。しかし、実際は栄村と新潟県津南町・十日町市では震度7相当の揺れを観測していた可能性がある。逆断層型の内陸地殻内地震と考えられる。東北地方から近畿地方にかけて震度1以上の揺れを観測した。前日発生した東北地方太平洋沖地震の誘発地震と考えられている。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
6強 | 長野県 | 栄村(震度7相当) |
6弱 | 新潟県 | 津南町(震度7相当) 十日町市(震度7相当) |
5強 | 群馬県 | 中之条町 |
新潟県 | 上越市 | |
5弱 | 新潟県 | 南魚沼市 刈羽村 湯沢町 出雲崎町 柏崎市 長岡市 |
長野県 | 野沢温泉村 |
※震度4以下は省略
余震活動
地震発生日は震度6相当の揺れを度々観測した。
- 2011年
発生日 | 時刻 | 震央 | 震源の深さ | 地震の規模 | 最大震度 |
---|---|---|---|---|---|
3月12日 | 4時31分ごろ | 長野県北部 | 1km | M5.9 | 6弱 |
5時42分ごろ | 長野県北部 | 4km | M5.3 | 6弱 | |
23時34分ごろ | 長野県北部 | 5km | M3.7 | 5弱 | |
4月12日 | 7時26分ごろ | 長野県北部 | 0km | M5.6 | 5弱 |
4月17日 | 0時56分ごろ | 新潟県中越地方 | 8km | M4.9 | 5弱 |
6月2日 | 11時33分ごろ | 新潟県中越地方 | 6km | M4.7 | 5強 |
長野県神城断層地震
概要
2014年11月22日22時8分ごろに、長野県北部を震源とする深さ5kmのMj6.7/Mw6.2の地震が発生した。この地震で長野県小谷村、小川村、長野市で震度6弱を観測した。しかし、長野県白馬村の一部地域では震度7相当の揺れを観測していた可能性がある。また、震度1以上を観測した地点は中国地方・近畿地方から東北地方に及んだ。なお、この地震のpixivの投稿作品は存在しない。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
6弱 | 長野県 | 長野市 小谷村 小川村 |
5強 | 長野県 | 白馬村(震度7相当) 信濃町 |
5弱 | 長野県 | 中野市 大町市 飯綱町 |
新潟県 | 糸魚川市 妙高市 |
※震度4以下は省略
長周期地震動階級
最大で階級3を中部地方で観測した。
階級 | 地方 | 地域 |
---|---|---|
3 | 中部 | 長野県北部 |
2 | 中部 | 新潟県上越地方 新潟県中越地方 新潟県下越地方 富山県東部 長野県中部 |
1 | 関東 | 茨城県南部 群馬県北部 埼玉県北部 千葉県北西部 東京都23区 東京都多摩東部 |
中部 | 富山県西部 石川県能登地方 石川県加賀地方 長野県南部 愛知県西部 |
地震のメカニズム
神城断層の活動による地震であり、西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地下の余震分布面が東下がりの傾斜を有していることから、震源断層も東下がりの傾斜を持つ逆断層とも考えられている。
過去の地震と周辺の地震との関連
この地震の震央の周囲約20km付近の1910年以降の地震活動を見ると、最大の地震は1918年の大町地震M6.1・M6.5、次いで1986年12月に起きたM5.9の震度4の地震で若干の被害があったほか、1998年7月にM5.0・震度4の地震が発生している。今回の地震はそれらを上回り、過去約100年間では最大である。
2011年3月12日に発生した長野県北部地震の震央(長野県下水内郡栄村・新潟県中魚沼郡津南町)の西南西約70km付近と比較的近接している
前兆現象
地震から4日前の11月18日夜から11月19日午前にかけて、震源の近傍でM2程度のまとまった前震が発生していたが、素直に前震と断定できない。
被害と影響
この地震では46人の負傷者が出たが、幸い死者数は1人も出していない。その理由としては『白馬の奇跡』とも呼ばれ、「建築基準法における垂直積雪量の基準により太い柱が使用されていたことや、普段から近隣住民通しの繋がりが強く且つ、チェーンソーやジャッキなどの用具を持っていたこと、住民間の情報伝達システムが出来ていたことによる」と分析されている。
住家倒壊の多くは震央に最も近くの地表震源断層が出現した白馬村大出地域では無く、離れた堀ノ内地区・三日市場地区に集中していたことが分かっている。また、長野市では灯油貯蔵用のホームタンク転倒が多数報告されていたほか、善光寺では石灯篭の倒壊や仲見世通りの商店での商品被害が発生した。
中部電力によると、地震後合わせて1760戸が停電となったが、その後復旧が進み、11月23日16時までに約180戸に縮小、11月24日までにすべて復旧した。また、姫川第二発電所と南股発電所の2カ所の水力発電設備が停止した。白馬村では対応能力を超える断水が予想されたため、白馬村からの要請を受けて、長野県は11月23日に陸上自衛隊に給水活動を主とした災害派遣を要請した。
交通では、国道や県道など複数の箇所で土砂崩落などによる通行止めが発生した。馬村堀田と小川村との境界付近で路面の亀裂が生じた。堀之内地区では液状化により歩道が陥没し、マンホールが浮き上がったりなどの被害が出た。近辺の鉄道においては大糸線で、白馬大池駅と千国駅の間で線路に土砂崩落があったほか、簗場駅と南神城駅の間で液状化現象によるレールの歪みが発生、南小谷駅ではホームの損壊が発生するなどした。
毎年11月23日に長野市で行われている長野えびす講煙火大会は、地震翌日ではあったが、主催する長野商工会議所と長野商店会連合会は「地震に負けず、長野に元気をもたらそう」という意味も込め、予定通り大会を開催した。