概要
前震、本震といった地震を経て、本震の後に起こる一連の地震。
大規模な余震は本震発生後1週間程度でおさまるとされているが、忘れたころに大規模な余震が起きるというのもよくある話である。ただ、「本震発生後1週間程度でおさまる」という考えは、世間一般的な考えに過ぎず、大地震が発生した場合は、実際には1週間程度で完全収束するということは、ほとんどの地震においてまずない。
そもそも、自然のタイムスケールと人間のタイムスケールは、大きく違い、たとえ「数十年」というスパンでも自然からすれば人間が瞬きをした時間に過ぎないため、巨大地震が発生した場合、震源があまりにも深くない限りは余震が1週間で収束することはまず考えにくい。例えば、100~数百年程度の周期で発生するプレート境界型の巨大地震であれば余震は十~数十年程度、数千年程度の間隔で発生する活断層帯で発生した大地震であれば、数十年どころか百年以上続くのが普通で、完全収束に至るまでには非常に長い時間を要する。
大小合わせて数十回から1000回規模で起きることが多いとされていたが、平成28年熊本地震の余震は2017年の時点で総数で4000回を遥かに超えており、これまでの内陸直下型地震の最多記録を大幅に塗り替えている。なお、東北地方太平洋沖地震は震度1以上を観測し余震は2018年3月6日時点で総数1万3000回を超えている。
前震・本震・余震の区別
同じ震源域で連続して発生する地震のうち最大規模を誇る地震が「本震」・本震の前に起きた規模の小さな地震が「前震」・上述した通り、本震の後に起こる地震を「余震」と呼ぶが、前震は後から初めて気づくことになるため、判断が極めて困難。そのため、本震より余震の方が規模の大きい地震となってしまう場合があり、追い討ちをかけるかのように本震・余震の区別も狂ってしまう可能性がある。代表例としては下記の表の通り。
地震名 | 震災名 | 内容 |
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兵庫県南部地震 | 阪神・淡路大震災 | 本震前日の18時28分に明石海峡付近を震源とするM3.3の地震が発生し、最大震度1を観測する地震が発生したの始まりにM1~3クラスを計4回観測。その後、本震となった。 |
東北地方太平洋沖地震 | 東日本大震災 | 最初にM7.3の地震が発生した後、M4~6クラスの中規模の有感地震が40回以上に渡って多発して減衰したかのように見えたが、最初の地震から約2日後にM9.0~9.1という超巨大地震が発生してしまった。 |
平成28年熊本地震 | 最初にM6.5の地震が発生し、気象庁はそれを本震としていた。しかし、約2日後にM7.3の地震が発生したことで、本震とされていた最初の地震は前震だったと解説された。 |
等
地震本部の見解
気象庁は平成28年熊本地震を受けて以降、同年10月に起きた鳥取県中部地震からは「揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、最大震度◯程度の地震に注意してください。特に地震発生から2~3日程度は、規模の大きな地震が発生することが多くあります。」と、「余震」という言葉を控えるようにした。