概要
佐藤天彦は日本の将棋棋士。中田功七段門下。棋士番号は263。福岡県出身。第74期~第76期名人。
2004年にプロ棋士養成機関の奨励会三段リーグにおいて通算2度目の次点(3位)となり、フリークラスの棋士としてプロ入りできる権利を得たにもかかわらず、この権利を放棄したことで有名。(通常、プロ棋士になれるのはほんの一握りであるため、自ら権利を放棄するのは珍しい行為である。)
その後、2006年度前期リーグで14勝4敗で戸辺誠に次ぐ2位の成績を収め、見事、フリークラスではなく順位戦に参加できる棋士として、同年秋にプロデビュー(四段昇段)した。
2008年9月25日、第39回新人王戦決勝三番勝負で奨励会三段の星野良生に連勝し、棋戦初優勝。
2015年1月8日、第73期順位戦B級1組で9勝2敗となり、A級への昇級と八段昇段を決めた。
同年7月21日、第63期王座戦挑戦者決定戦で豊島将之七段に勝利し、羽生善治王座(当時名人・王位・棋聖の四冠王)への挑戦権を獲得。初のタイトル挑戦となったが、結果2勝3敗で敗れた。
同年12月、第41期棋王戦で敗者復活戦を勝ち抜き挑戦者決定戦二番勝負に進出。佐藤康光九段に2連勝して渡辺明棋王(当時竜王を含む二冠王)への挑戦を決めたが、結果1勝3敗で敗れた。
2016年5月31日、名人戦第5局で羽生善治名人(当時)に勝ち、4勝1敗で自身初のタイトルとなる名人位を史上四番目の若さで獲得。
その後、2017年は稲葉陽八段、2018年は羽生善治竜王・棋聖(当時)からの挑戦をそれぞれ4勝2敗で防衛を果たし、3連覇を成し遂げている。
棋風は居飛車党で、先手番では角換わり、後手番では横歩取りを主力戦法とし、特に後手番の横歩取りでは非常に高い勝率を誇っている。終盤での粘り強い受けの手を得意とし、トップ棋士を相手に何度も逆転勝ちを収めている。
余談
佐藤は、将棋界でも有数の羽生キラーとして、羽生善治九段に対する脅威の勝率を誇っている。(勝ち越すことすら難しい羽生相手に12勝8敗)
また、ファッションへのこだわりにも定評があり、その方面での逸話も多い。(『家庭画報』2018年1月号で組まれた将棋特集で、名人在位中の佐藤へのインタビューが、佐藤の自宅で行われ、収集した家具調度に囲まれた佐藤の写真が掲載された。)