CVCCに対する評価
当時世界一厳しく、パスすることは不可能とまで言われた米国のマスキー法という排気ガス規制法(1970年12月発効)の規制値を、最初にクリアしたエンジンである。その功績により「CIVIC CVCC」はSAE(米国自動車技術者協会)の月刊機関誌(AUTOMOTIVE ENGINEERING)上で20世紀優秀技術車(Best Engineered Car)の1970年代優秀技術車に選ばれた。[2]
社団法人自動車技術会の「日本の自動車技術180選」の「ガソリンエンジン」部門で、「マスキー法を後処理(エアポンプや触媒等)無しでクリアできる最初のエンジンとして米環境保護庁(EPA)より認められた複合渦流調速燃料方式」として選出されている。
2007年に、日本機械学会が創立110年を記念し制定した機械遺産(6号)に、「日本の排出ガス低減技術を世界のトップに引上げた歴史的な機械」として認定されている。
CVCCの問題点は、燃焼室形状が複雑で燃焼室表面積が大きく熱損失が起こり出力の低下につながったり、専用のバルブ、カム、ロッカーアーム、キャブレターなど構造が複雑になる等であった[要出典]。その後、触媒技術の進歩によりエンジン本体での対応がなくても、排気ガス浄化が可能になり、ホンダからCVCCの技術を導入し、研究や試験的発売もしていたメーカーは採用を止め[3][4]、世界的な流れには成りえなかった。長く採用していたホンダ自体も、後にCVCCの採用を止めている。
歴史
1973年12月12日に、CVCCをシビックに搭載し発売した。
1980年4月25日に、CVCC-IIをアコード及びプレリュードに搭載し発表。副燃焼室の位置を中央よりに変更、トーチ孔を多孔化したセンタートーチ燃焼室と、希薄混合気とEGR(排気ガス再循環)の比率を走行条件に合わせたラピッドレスポンスコントロールシステムを採用、燃費効率向上を実現している。
1981年10月29日に、新ファンネル型燃焼室を採用し、超ロングストロークで高い燃焼効率を実現したCOMBAX(COMpact Blazing combustion AXiom:高密度速炎燃焼原理)エンジンを、シティに採用した。
1982年11月25日に、コンパクトなルーフ型主燃焼室とB・Cトーチ(Branched・Conduitトーチ:分岐トーチ)により高圧縮比9.4を達成したエンジンを、プレリュードに搭載し発売した。
CVCC及びその派生型エンジンは、1970年代・1980年代のホンダ製の自動車のほとんどに搭載された。
搭載車種とバリエーション
CVCC
初代シビック
ED (1,488cc:74.0X86.5) 73PS/5,500rpm 10.2kg·m/3,500rpm('73モデル4ドアGL)
ED (1,488cc:74.0X86.5) 63PS/5,500rpm 10.2kg·m/3,000rpm(4ドアGL以外の'73モデル)
2代目シビック初期型
EJ (1,335cc:72.0X82.0) 68PS/5,500rpm 10.0kg·m/3,500rpm
EM (1,488cc:74.0X86.5) 85PS/5,500rpm 12.3kg·m/3,500rpm(CX)
EM (1,488cc:74.0X86.5) 80PS/5,500rpm 12.3kg·m/3,500rpm(CX以外)
初代アコード初期型
EF (1,599cc:74.0X93.0) 82PS/5,300rpm 12.3kg·m/3,000rpm
EK (1,750cc:77.0X94.0) 90PS/5,300rpm 13.5kg·m/3,000rpm
初代プレリュード初期型
EK (1,750cc:77.0X94.0) 90PS/5,300rpm 13.5kg·m/3,000rpm
CVCC-II
初代シティ(COMBAX)
ER (1,231cc:66.0X90.0) 67PS/5,500rpm 10.0kg·m/3,500rpm(R MT車)
ER (1,231cc:66.0X90.0) 63PS/5,500rpm 10.0kg·m/3,500rpm(R MT車以外)
ER Turbo (1,231cc:66.0X90.0) 100PS/5,500rpm 15.0kg·m/3,000rpm(ターボ)
ER Turbo (1,231cc:66.0X90.0) 110PS/5,500rpm 16.3kg·m/3,000rpm(ターボII)
2代目シビック後期型
EJ (1,335cc:72.0X82.0) 72PS/5,500rpm 11.0kg·m/3,000rpm
EM (1,488cc:74.0X86.5) 85PS/5,500rpm 12.3kg·m/3,500rpm(CX)
EM (1,488cc:74.0X86.5) 80PS/5,500rpm 12.3kg·m/3,500rpm(CX以外)
3代目シビック/バラードセダン/CR-X
EV (1,342cc:74.0X78.0) 80PS/6,000rpm 11.3kg·m/3,500rpm
EW (1,488cc:74.0X86.5) 110PS/5,800rpm 13.8kg·m/4,500rpm(CR-X)
EW (1,488cc:74.0X86.5) 100PS/5,800rpm 13.2kg·m/4,000rpm(CR-X以外のPGM-FI仕様)
EW (1,488cc:74.0X86.5) 90PS/6,000rpm 12.8kg·m/3,500rpm(キャブ仕様:グロス)
クイントインテグラ
EW (1,488cc:74.0X86.5) 76PS/6,000rpm 11.8kg·m/4,000rpm(キャブ仕様:ネット)
クイント
EP (1,601cc:77.0X86.0) 90PS/5,300rpm 13.5kg·m/3,500rpm
初代アコード後期型
EP (1,601cc:77.0X86.0) 90PS/5,300rpm 13.5kg·m/3,500rpm
EK (1,750cc:77.0X94.0) 97PS/5,300rpm 14.3kg·m/3,500rpm
2代目アコード/初代ビガー
EK (1,750cc:77.0X94.0) 97PS/5,300rpm 14.3kg·m/3,500rpm
ES (1,829cc:80.0X91.0) 110PS/5,800rpm 15.2kg·m/3,500rpm
EY (1,598cc:80.0X79.5) 94PS/5,800rpm 13.6kg·m/3,500rpm
初代プレリュード後期型
EK (1,750cc:77.0X94.0) 95PS/5,300rpm 14.3kg·m/3,500rpm
(最終型は97PSまで進化)
2代目プレリュード
ES (1,829cc:80.0X91.0) 125PS/5,800rpm 15.6kg·m/4,000rpm(MT車)
ES (1,829cc:80.0X91.0) 120PS/5,800rpm 15.6kg·m/4,000rpm(AT車)