概要
本作のT-800。
テキサス州のはずれにて人間として暮らしており、カーテン屋を営んでいる。
最新型ターミネーター『REV-9』に追跡されるダニエラ(ダニー)、グレース、そしてサラと対面し、彼女たちに力を貸す。
その正体
以下、ネタバレ注意!
このT-800は人類抵抗軍が「守護者」として送り込んだ個体ではなく、T-1000とは別に、自らの存在していた時代が消滅する前にスカイネットがジョン抹殺のために「刺客」として送り込んだ個体。
本編の冒頭、グアテマラのビーチを訪れていたコナー親子の前に現れる。突然現れたT-800に呆然としていたジョンを、サラの眼前で銃撃する。咄嗟に反撃したサラによって右頬を撃たれるが、一蹴してジョンにとどめを刺すとその場を立ち去った。
しかし、既にスカイネットが存在していた未来が前作でのサラとジョン、そして当時のT-800の活躍で消滅し、勝利が不可能のものとなっていたため、ジョンの殺害はもはや無意味だった。
抹殺命令を完遂したにもかかわらずスカイネットの勝利に貢献できず目的を見失い、途方に暮れていたところ、夫の虐待に苦しむ女性、アリシアとその息子のマテオを守り、「カール」と名乗って自身の正体を隠し彼女らの家族として暮らしていたことを明かす。つまり、再プログラムされたわけではなく、自らの意思で人間の命を守ったということになる。
仲は良好であり、室内には笑顔で映った写真が飾られている。長年人間として人間と共に暮らしていたためか、歴代のT-800以上に人間らしくなっており、警戒されるはずの犬にも懐かれている。職業のカーテン屋としても客にカーテンの柄についてアドバイスもしていたらしい。しかし本人は、「人間のようには愛せない」とも語っている。
人間として、夫として、父親として過ごす過程で、ジョンを守っていたT-800と同様に『人間』を学習、人としての心を学ぶ。その結果、自分が『サラから大切な息子を奪った』事実の重さも知ることになり、後悔の念が芽生える。
罪滅ぼしとして、自身がターミネーターの時空転移を感知できることを活用し、ジョンを失ったサラにターミネーターの出現時刻と座標を、「ジョンのために」の文面と共にメールで送り続け、彼女に生きる目的を与えていた。
サラ達の訪問によって、REV-9からダニーを守るために協力することを自分の意志で選択、愛する妻と息子にかつてのT-800が少年ジョンとそうしたように抱擁を交わして別れを告げ、彼女らと共にREV-9と死闘を繰り広げることとなる。
サラは前作に当たる『2』と異なり、かつて自分を殺しに来た個体や、ジョンを守っていた個体に対して最初に抱いていたものと同じ『人類の敵である機械仕掛けの化け物』に加えて『息子の憎き仇』とみなし、すぐに銃を向けるほどに彼に殺意を抱いており、「死んでもカールなんて呼ぶものか」「全てが終わったらこの手であなたを殺す」と宣言している。
ジョン殺害について
ジョンの殺害について監督のティム・ミラーは、サラをベストな形で描き、尚且つ新しい登場人物が活躍できる土壌を整える必要があると考えた結果、ジョンの死を決断したという。インタビューにおいて、「サラ・コナーは彼女は悲劇的である時こそ最高のキャラクターであるから、それを引き立てる起爆剤が必要だった」、「サイバーダインを爆破した時点で"人類抵抗軍のリーダーであるジョン"は消えた。36歳のジョンを登場させても悲しい人物に見えかねない」と、ジョン退場の理由を語った。
物語のキーパーソンであるジョンの死亡、そして前作において本物の絆で結ばれたT-800と同型のターミネーターに殺害されるという展開についてはネット上で賛否がかなり別れてしまうことになった。ジョンを演じたエドワード・ファーロングも「全編にわたって出たかったから、がっかりした」と語っている。本人のこれまでの褒められない経緯を考えると、ある意味致し方ないと思われるが、それでも彼の演じるジョンの活躍を期待していた人たちにとっては期待を裏切ることに繋がった。