概要
日本の昔話にもある『悪魔の名前を当てるお話』。この話には世界中に存在している「名前の神秘性」、対象の名前を知れば相手を支配出来るという概念が込められている。
ちなみに『ルンペルシュティルツヒェン』とは、日本語に直すと『妖怪柱ガタゴトさん』という意味になる。
あらすじ
昔、粉ひきがいました。大変貧しかったが、美しい娘があった。ある日粉ひきは王様と話す機会があり、娘を自慢したくて『娘は藁を紡いで金を作る事が出来るのです』と出まかせを言ってしまった。するとあろう事か国王がその話を鵜呑みにしてしまい、娘を大量の藁と糸車と一緒にお城の塔に閉じ込めて『夜のうちに金に変えなければ殺す』と言った。
娘が途方にくれていると、どこからか一人の小人が現れて変わりを申し出る。娘は母の形見のネックレスと引き換えに藁を紡いでもらい、どうにか事なきを得た。ところが次の日、国王はまたもや大量の藁を塔に積み上げ、娘は母の形見の指輪を代価に小人に仕事を引き受けてもらった。しかしまた次の日、今度は今までの倍以上の藁を積まれ、『今夜中に金にできたら私の妻に迎えよう。』と言われる。しかし小人に渡すものもなくなってしまったので娘は泣き出してしまう。すると小人は「娘と国王との間に生まれた最初の赤ん坊」を引き換えに要求し、娘は承諾してしまった。そして仕事の出来栄えにすっかり感心した国王は、娘を花嫁に迎える。
翌年。王妃となった娘は赤ん坊を産むが、小人が代価だと言って奪いにやって来る。
王妃が懇願すると小人は､「三日後までに自分の名前を当てられたら子供を連れて行かない」と約束する。王妃は国中からありとあらゆる名前を集めさせて小人に言ってみるものの、一向に当たる気配がない。そしてとうとう最後の三日目の朝になり、王妃が万事休すだと思っていた矢先、使いの者が森の中で「今日はパン焼き、明日はビール作り、明後日にゃ妃の子どもが手に入る。俺様の名前はルンペルシュティルツヒェン！でも誰も知らないことなのさ！」という変な歌を聞いたと話す。王妃はしめたと思い、最初は小人にわざと適当な名前を言いのべ、最後に「あなたの名前はルンペルシュティルツヒェンね‼︎」と叫ぶと、小人は『悪魔の野郎が教えやがったな！』と激昂して暴れまわった挙句自分の体を真っ二つに引き裂いて地面の下へ消えていった。
※初版では［怒り狂って走っていき、二度と戻って来ませんでした。］という結末である。
