概要
クラッキンDJ(CRACKIN'DJ)は、2000年にセガからリリースされたアーケード向け音楽ゲーム。
開発は、セガの第3AM研究開発部が分社化されて子会社となったヒットメーカー。同社の第1号作品でもある。
翌2001年には新曲を追加した『クラッキンDJパート2(CRACKIN'DJ PART2)』がリリースされた。
以降シリーズ作は制作されなかったが、時を経て2012年7月、同社が新たにリリースした音楽ゲーム『maimai』に一部の楽曲が収録された。
特徴
DJプレイを模した、専用筐体による音ゲー。
操作デバイスは、2つのターンテーブルと、その間にあるクロスフェーダー(左右へのスライドレバー)。
当時は同ジャンルの作品ではコナミの『beatmania』シリーズが人気を博していたが、本作はそれとは異なるアプローチを取っている。
『beatmania』がサンプラーやスクラッチによる演奏を体感できるのに対し、本作はクロスフェーダー操作で曲を繋ぎつつスクラッチでアレンジを入れるという、より実際のDJプレイに近い体感が味わえる。
収録楽曲は基本的にはオリジナルだが、『アウトラン』の楽曲群をDJミックスしたトラックや、『デイトナUSA』の「Let's Go Away」をDJアレンジしたトラックも収録されている。
あえてローポリのフレームを太く強調したトゥーンレンダリングで描かれたキャラクターや、HIPHOPを強く意識したアートデザインも特徴。
操作方法
好きな楽曲を選びゲームが開始すると、画面上部から操作デバイスごとにオブジェが降りてくるので、画面下部の判定ラインに重なるタイミングで操作する。
楽曲は2つのターンテーブルから流れる曲を入れ替えながら構成していくスタイルであるため、その切り替えポイントでフェーダーをタイミング良くスイッチングしなければならない。このときフェーダーに「カットイン」の矢印オブジェが流れてくるので、その方向へフェーダーをいっぱいに動かす。失敗するとBGMが途切れてしまいミスとなる。
時折「キューイング」の指示が出ることがあり、この場合は「カットイン」する前にターンテーブルを逆回転させなければならない。
演奏側と反対側のターンテーブルには、「スクラッチ」のオブジェが流れてくる。フェーダーを中央にして両側のタンテから音が出る状況にしておいてから、タイミング良くスクラッチする。
スクラッチには方向が指定されており、逆側へスクラッチしてもミスにはならないが、合っていればより高得点となる。時折短いタイミングで同方向への連続スクラッチが出るが、これを正確に取るためにはその間に「一旦フェーダーを端へ戻す」「スクラッチを逆に入れる(このスクラッチはミュートされ判定されない)」「フェーダーを再度中央へ戻す」という、素早く的確で高度なテクニックが必要となる。
入力の成否によってゲージが上下し、ゲージを残したまま楽曲を終えればクリア。楽曲の途中でゲージが無くなった場合はその時点で終了(Miss Out)となる。
余談
多くの音ゲーが判定ラインのタイミングで「ボタンを押す」のに対し、本作は「独自のアナログデバイスを(複数)操作する」ものであるため、全く異なる操作感覚に慣れるまでには時間を要するかもしれないが、それを手の内にした時のDJらしくデバイスを捌く爽快感は他には無いものがある。
『PART2』から導入された操作方法を説明してくれるレッスンチューンは、光吉猛修によるノリノリでハイテンションなMCも聴きどころ。
『beatmania』と異なるもう一点として、ターンテーブルにはアナログスクラッチ機構が採用されており、スクラッチ音が回す方向や速度に合わせて変化する。スクラッチ操作が手慣れるほどに、その音が見栄え良い物になっていくのが大きな特徴。
リリースから相当な時期が経っていることから、現在では筐体数も非常に少なく、設置店舗はごく僅かとなっている。