カエンタケ
かえんたけ
毒キノコの一種。
概要
ボタンタケ科。学名Trichoderma cornu-damae。カサを持たず、本体が数本に枝分かれする独特の形状を持ち、手の指状などと称される。身は固く、味はとても苦いらしい。
日本や中国、ジャワ島などに分布。
主に夏の始まりから秋の時期に、カシノナガキクイムシによるナラ枯れ症状を起こした樹木の根元によく発生する傾向があり、ナラ枯れの被害が広まるにつれて発生頻度が上昇しているという報告もある。
最新の研究によれば木材腐朽菌等ではなく、他の菌に対して寄生するタイプの菌寄生菌であるらしいことが判ってきた(前出のナラ枯れ症状との関連性も、ナラ枯れ菌に寄生する種なのであれば説明がつく)。この関係からニクザキン科ツノタケ属からボタンタケ科トリコデルマ属に分類を変更された。
見た目からも誤食など発生しそうにないものだが、よく似た外見の食用キノコであるベニナギナタタケや冬虫夏草などと間違っての摂食が発生しているらしい。それでも見分け方はあるが、素人判断はとっても危険なので命を優先すべし。
毒性
致死量は3g程度であるとされる。食べると僅か10分程で腹痛・嘔吐・下痢を発症。
その後、目眩・手足の麻痺・呼吸困難・言語障害と言った神経性障害や、皮膚の糜爛・脱皮と言ったアレルギー症状が発生し、最終的には肝不全・腎不全・呼吸器不全と言った多臓器不全症状を発症して死ぬという毒キノコの中では最強ランクの猛毒を持つ。運良く回復しても小脳萎縮等による後遺症が残る程である。
さらに、このキノコ最大の特徴は「触っただけで皮膚が爛れる」という嫌がらせに近い能力を備えている事。厳密には皮膚刺激性によってキノコの汁が皮膚に付着すると爛れるのだが、ここまで来れば同じこと。
人間以外では、散歩中の犬が本種を蹴りつけてしまい、異常をきたした足を舐めることで付着していた毒成分により中毒死するという事例も発生している。発見した場合は近寄らず、速やかに最寄りの保健所に通報することが望ましい。