CV:???
概要
『魔女の旅々』の登場人物。
主人公イレイナの箒が擬人化魔法をかけられたことで生まれた。通称「ほうきさん」
見た目も声もイレイナとほぼ同じだが、髪の色は桃色でややウェーブがかっている。
イレイナのことを「イレイナ様」と呼び、自分のことを「わたくし」と呼ぶ。
主人であるイレイナのことを深く敬愛しており、その度合いは他の女性キャラと同様に特別な感情の域にまで達しているようだが、かなり理性的で禁欲的。
イレイナからは肉親のように甘えられる存在として見られている模様。
経緯
全ては見習い時代にイレイナが興味本位で開発した魔法薬、その名も『物に命を吹き込む薬(物と会話する薬)』に端を発する。
師であるフランは気分屋で魔法を教えてくれない日も多かったため、しかたなく自習と研究に没頭していたイレイナはある日その場の「ノリ」と「偶然」でこの薬を開発してしまう。
このような高度魔法薬を見習いの身であるイレイナが開発したことで内心驚嘆していたフランだったが、褒めると調子に乗っておかしな方向にいきそうだからと敢えて黙っていた。
しかし黙っていても調子に乗るのがイレイナ。そのノリのまま『物を擬人化する魔法』の開発という、前人未到の領域に踏み込んでしまい、フランは頭を抱えることになる。
その後なんやかんやあって酷い目(ある物に魔法をかけたらそれの人間体がやべーやつで危うくやべーことをされかける)に遭ったことで、イレイナはその魔法を数年に渡って封印することとなる。
その後「人間に反逆を企てる物達」によって占拠された屋敷に迷い込み、洗脳系魔法によって身体の自由を奪われたイレイナは、残された最後の一手として封印を解除、箒に時限発動の形で「擬人化魔法」をかけて安全な屋敷の外に飛ばし、擬人化した彼女が助けにくるのを待つことになる。
こうして生まれたのがほうきである。
もっとも、今までイレイナが箒に擬人化魔法をかけなかった理由は、過去のトラウマによるものではなく「最も身近な道具である箒が自分のことをどう思っているのかを知るのが怖かった」というものであった。事実、彼女にあてた手紙の中でイレイナは
「今まで散々こき使っておいて、困ったときにはお願い事をするなど、白々しいことこの上ありません。だからこんなことを頼むのは、とても身勝手で、馬鹿げていて、欺瞞であることは明白で、愛想をつかされてこの場で破り捨てられても、何の文句も言えません」
と記しており、箒に対する負い目が伺える。
しかしそれに対するほうきの答えは
「生まれてこのかた、ずっとイレイナ様に大事にされてきました」
「言葉が通じずとも、声が届かずとも、わたくしは、どこまでもあなたの物でございます。いくら酷使されようとも、あなたを恨むことはありません」
であった。
その後もほうきはしばしば登場してはイレイナを支えることとなる。
イレイナへの想い
上記の通り「自分はイレイナの物」「自分はイレイナに愛されている」という誇りを持っており、忠誠を誓うと同時に特別な感情を抱いている。
イレイナに想いを寄せるキャラの中では最も控え目な常識人(物)であり、正妻との呼び声も高い。とはいえ完全に無私無欲というわけではなく、風邪で精神的に幼くなって泣くイレイナの珍しい姿を見て眼福を味わったり、眠りについたイレイナの髪を魔法の効果が切れるまで撫で続けたりと、ささやかな幸せを満喫している模様。
イレイナ以外の人物との交流について
小説本編においては基本的にイレイナ以外と絡むことはない。が、例外として危機に陥ったイレイナが自らを捨て駒にしてアムネシアを安全地帯へ退避させるため、ほうきに彼女のサポートをさせたことがある。
号泣してイレイナを救出するため現場に戻ろうともがくアムネシアにイレイナの気持ちを無駄にしないよう叱責し、今取るべき最善の解決法へと導く。さらにそれが究極の汚れ仕事となることを察した際には、アムネシアを大切に思う主人の気持ちを汲み取り
「あなたが責任感や義務感を感じることはございません。逃げてしまってもあなたを恨む人はいないでしょう」
と最後の力をふりしぼって抱きしめた。
後日、“あのとき何があったのか”を主人に告げることで、『信仰の国エスト』の法に反する「アムネシア救出作戦」を決行するための「正統な理由」探しをするイレイナの背中を押す役割を果たす。