その可憐な少女は魔女であり、旅人でした。――そう、私です。
CV:本渡楓
概要
ライトノベル「魔女の旅々」の主人公。同作と世界観を共有する「リリエールと祈りの国」においても脇役ながらも重要なポジションで登場する。
人物
この物語の主人公で主な語り手。作中に登場する物語「ニケの冒険譚」に憧れて世界を旅する。
作中年齢は10代後半~20代前半程度。10月17日が誕生日(公式設定)。「平和国ロベッタ」の出身。
出身国で最年少である14歳で魔女見習いの資格を取得、その後星屑の魔女フランに師事し、さらにその一年後の15歳の若さで魔法使いの最高位『魔女』の称号を取った少女。魔女名は「灰の魔女」。
ちなみにこの作品において魔女とは種族ではなく称号であり、「魔法の扱いに優れた、ただの人間」である。
最年少で魔女見習いになったにもかかわらず、魔法使いの中で名が知れ渡っている、ということはなく、作者はその理由について「最年少の称号はあくまでも故郷の中での話だから」と述べている。世界には実力を持ちながらも称号に興味がなく、見習い試験を受けていない者も数多くいるらしい。
イレイナと歳の近い魔女や才能があるとされるキャラも多数存在するため、世界基準だと未成年での資格取得は珍しいことではないのかもしれない。
実際、イレイナ同様に推定十代中頃で見習いになったミナ、見習いから魔女への昇格期間が恐らくイレイナより短いサヤ、天才と呼ばれるエステルなど、同等の才能を感じさせるキャラは複数登場している。
天才と呼ばれるイレイナが舌を巻くほどの才能を持つキャラが試験には何度も落ちていたことや、ロベッタに複数いる魔女たちの実力自体が低いことから、単純にロベッタの試験難易度が平均よりもかなり低かった可能性もあるが。
得意料理はシチューで、嫌いな食べ物はキノコ。
好物はパンで、食べ放題のバイキングに赴いた際には他のご馳走には目もくれず、サンドイッチやベーグル、マフィンといったパン系統の食事ばかりをお皿に盛るほどのパン愛好家。その中でも特に好きなものはクロワッサン。
美味しいパンを食べるとアホ毛が動く。かわいい。
作品内で出てきたのは一度きりだが、うさぎなどの野生動物をさばく最低限のサバイバル術もある模様。
また、旅人であるためテントのようなキャンプ用品も所持しているが、可能な限り野営はしない主義らしい。
またタバコの臭いが大の苦手で喫煙中の相手から話しかけられると思わず鼻をつまんでしまう。話しかけられていなくても近くに煙があると足早にその場を離れたくなる程で、それは夢の中であっても変わらなかった。
キャラクター像
極めて自己中心的で毒舌、他人に対して尊大で、常に上から目線。
作者曰く「世の中を冷めた目で見下ろす系女子」であり、「自分にとって理想の女の子」とのこと。
全てを口に出すことこそしないが、モノローグでは他者を見下していることが大半であり、度々口から暴言が飛び出ることもある(登場するゲストやモブが大体頭がアレな人たちであるのも理由の一つだろう)。
訪れた国独自の風習や、その風習を当たり前のものとして受け入れ暮らしている人々を見下し、馬鹿にしているような物言いや心情が描かれることも珍しいことではない。
自身の才能と実力を自覚しているが故にプライドもすこぶる高く、他人に対して呆れたり貶したりすることが多いが、逆に自分が馬鹿にされる立場に回るとあからさまにムッとするなど、性格はどこまでも自分勝手かつ自己中心的。
人間とは違う容姿を持つ獣人の少女に対して「旅で色んな人を見てきたため、偏見は持っていない」と自称していたが、チワワと人間の混血である男には(ギャグ調の話ではあれど)「気味が悪い」という感想を抱いたり、同性婚を許可した王子相手には普通に引いていたりする。
イレイナ本人に自覚があるかは不明だが、人間なら誰しもが持っていてもおかしくはない差別意識も当たり前のように持ち合わせており、視野が狭いと感じさせる場面も多々見受けられるような、良くも悪くもそんな人間らしさを持ち合わせた主人公である。
本人も自覚している通り決して善良な性格ではないが、情に絆されやすい一面があり、一度気にかけたら底抜けにお人好しになる傾向にある(相手は主に同性)。
そのためか助けた女の子達から特別な感情を寄せられたり特殊な性癖の持ち主を惹きつけたりしやすい。
その範囲は幼い少女から年齢が一回り違う成人女性まで、亜人から無機物(擬人化)までと幅広い。
本人もその事を薄々自覚しているらしく「女性を口説いて誑かした罪」でこれまでに出会った女キャラ達から裁判にかけられる悪夢を見た事もある。
自他共に認める美少女(部分的に除く)。
おかねだいすき
但しケチと言う訳では無く散財したり奢ったりする事もあり、結果的に金欠に陥りがち。
また依頼の報酬を全て寄付したり、被害者の幸せに投資したり、あるいは受け取る事無くその場を去る等結果的にタダ働きをする事も度々ある。
後述の通り原作者公認の性根が腐ったキャラだが、アニメのみを視聴した人からは「一人旅で保身に走るのは当然だし、少し性格が悪いだけで別にクズじゃないのでは?」と思われるかもしれない。
…が、アニメでは全てカットされたが、原作ではインチキ占いや詐欺で路銀を稼いでいる事が多く、国によっては晒し者の銅像が造られた程である。一体どんな犯罪やらかしたんです?
詐欺の手口も幅広く、擁護のしようがないレベルの清々しいクズっぷりを存分に発揮している。
一応一部の国を除き、魔女は重宝され(非)魔法使いから尊敬されるという価値観の世界であるため、魔女の沽券に関わる者を野放しにしておいていいのだろうか?という疑問が浮かばないこともないが、一見すると過酷なようで、実は緩い世界である魔女の旅々において、そこらはあまり気にしない方がいいのかもしれない。
人柄よりも実力が重視されている可能性もあるが、「魔女ともあろうものがそのような卑劣なことを仕出かすはずがない」という考えの役人や人間も定期的に出てくるため、魔女が世界的にどのような立場、扱いであるかは未だにはっきりしていない部分が大半である。
利益に関係無く人助けをする事もある一方で、あくどい手段でお金を騙しとる。
原作を読んでイレイナを根は優しい少女として見るのか、はたまた同性には甘いだけのクズキャラとして見るのか。どうとらえるかは読者次第だろう。
腹黒敬語系
原作者直々に性根がわりと腐っていると断言する程度の黒さ。
自覚はあるらしく、原作内においては「私は性格が悪い方」と自己分析したり「性根の腐った魔女は誰でしょう?」「薄汚い心の持ち主がいました。それは誰でしょう?」と言うモノローグが頻繁に出てくる。
一方アニメ版の『正直者の国』では「私は清らかな心の持ち主です」と言う文章を“正直に”書くことが出来ている為、媒体による揺れが観測されている(原作では性別に関する嘘を書こうとして訂正されていた為アニメオリジナルである)。
アニメでは若干マイルドになってるものの、原作の独白では容姿からは想像もつかないような罵言や暴言を毒づいている。また、土下座するサヤに対しなにかに目覚めそうなるなど性癖もそっち方面な模様。
俗に言う優等生ではあるものの、国王相手でも普段通り毒を吐く、校内への進入を断られた際は魔女であることを強調して強行突破を試みる、カップルに腹を立て街中のベンチを破壊する、立ち入り禁止区域に平然と立ち入るなど、常識が欠落している所も多数見られ、いわゆる「勉強『は』出来る」タイプの人間(しかし魔女であるためか、もしくはいわゆる主人公補正か、その行為や言動を注意されたり嫌悪されることはない)
腹黒であるがゆえに猫を被るのも上手い…と言いたいところだが、明らかに猫を被っているとわかるバレバレな媚び方であり、少なくとも読者視点で見ると上手いとは言い難い。また前述の通り、明らかな媚び売りでもそれが指摘されることはなく、媚びられた相手(大体モブの男)は普通に騙されるのが当たり前となっている。
ちなみに本人は猫アレルギーである。(※)
同時に少々ツンデレな側面もあり、善行に伴う照れを「黒さアピール」で隠しているケースもある。
※ネコその物は可愛いと思っているが、近付いただけでクシャミが出たり頬が赤くなって涙目になったりとネコを拒絶する身体。本人曰く「身体が『いや!さわらないで!』と面倒くさい女の子のように悲鳴をあげてしまう」とのこと。尚、とある出来事が切っ掛けで克服して、ウキウキでネコカフェ通いしようとしたり雪山で珍種のネコを抱き上げてアホ毛がハート型になったりする。かわいい。
ドライな性格?
冒険譚の広い世界に憧れて旅に出るほどの読書家だが、ロマンチストではなく、現実主義。また実際に故郷とは違う文明、文化を目の当たりしても反応は薄かったり、小馬鹿にしたりするなど、性格は非常にドライ。
魔女という世界的に尊敬される身でありながら、金欠に陥ったら真面目に働こうとはせず嬉々として詐欺行為に走るなど、決して善人とは言えない人間だが、情に流されやすい一面も併せ持つ。
正式に助けを求められれば可能な限り手助けをし、何かの切っ掛けで情を抱くとたとえそれが一銭の得にもならない所か損をする案件でも、色々理由を付けて助けようとする。
今でこそ人助けをするのが当たり前となっているイレイナだが、原作初期は母との約束を守り、厄介事に遭遇しても傍観者に徹していたり、助言する程度の介入にとどめている話が多い。
途中から現在にかけては、長旅で心情に変化が起きたのか、あるいは長期連載で路線を変えたのか、ゲストキャラの事情や国の根幹に深く関わり、何かしらの影響を与える話の方が多くなっている。
行ける所まではきままな旅を続けたいという考えから、あまり人や国に入れ込むことは避けたいと思っている節があり、原作のモノローグではしばしば
- 贈り物は後で見て悲しくなってしまうから受け取りたくない
- 別れは悲しくなるから黙って立ち去ろう
- 長居すれば愛着が湧いてしまう
- 過度な思い入れは旅人としてよくない傾向
- いつでも逢える近さだときっと依存してしまう
- 本当に会いたい人とは逢いたくても逢えないくらいが丁度いい
といった旨の独白で自らの本心を抑制する様子を見ることができる。
大人びてはいるが、一方で想定外の事態には弱く、本当に悲しい事があると泣き出したり悲劇的な経験を後々まで引きずったりするなど、年相応の女の子らしくか弱い一面もある。
また風邪をひいた際には性格が反転してしまうらしく、素直になり言動がかなり幼くなる。その姿を網膜に焼き付けたり頭を撫でたりするだけで我慢したほうきさんは偉い。
また、喉の乾きに耐えきれず噴水の水を飲んでしまう等、はしたないところも。
魔女見習いの頃(14歳)には調子に乗って擬人化した無機物(女性)に貞操を奪われかけたり、天狗になっていた所をボッキボキにへし折られる事が師匠初の教えだった等意外と隙も多く、世の中の厳しさをわからせたいおねえさんからの人気は高い。
容姿
自他共に認める美(少)女。
髪色は作者や担当絵師から銀髪呼びされていることもあるが、作中では魔女名の由来にもなっている灰色扱いで統一されている。瞳は瑠璃色。
髪の質感は第一巻表紙(本記事トップ画)ではややクセ毛気味だったが、現在はストレートで落ち着いている。普段はもみ上げ部を留めてお下げにしてあるが、第三巻の最後のエピソードではとある出来事が原因で一時的に断髪する。
衣服は「魔女」を彷彿とさせる三角帽子やローブのほか、爪先が反り向いたショートブーツを素足履きすると言うのが基本衣装だが、服装は結構コロコロ変わる。
自他共に認める美(少)女である。(大事な事なので二回ry)
物語の冒頭で自分の容姿を褒め称え、「その美少女は誰でしょう。そう、私です」で締めくくるのがお約束。
そんな魔女旅名物である脳内自己紹介は本人曰く「よく冗談で自分の容姿を褒め讃えているが、誰よりも美しい美貌と本気で思っているわけではない」とのことだが……普段のナルシストぶりを見ると、それが本音かは怪しいところである。
容姿には恵まれているが、しかしぺったんこ。何がとは言わない。自称B95またはB99。
因みに作中でも度々指摘されており、アニメ第3話では女の敵であるエミルの父親に鼻で笑われ、正直者の国でも可愛いと言われつつもないと言われた。
公平を期す為に付け加えると、Bカップくらいはある様に見える絵もある。が、自称の数値には程遠い。本人はめちゃくちゃ気にしているのでそっとしておこう。
余談だが、絶世の美女が登場する国ではその国の住民から「あんた別に美人じゃないだろ」と塩対応を受けており、絶世と呼べる美貌には及ばないようだ(しかし原作絵は絵師に恵まれたためかなり可愛い)。
作中では男女問わずにモテており、どちらからも何度も告白された事がある。
だが基本的にこの世界の男性は頭がアレな人が多いためかイレイナの対応も事務的かつ塩対応になりがちであり、また本人の恋愛対象故か先述の通り女性キャラに優しく接する傾向があるせいか、主に女性にモテるタイプ。その為、各地に現地妻を量産している。
本人はその気は無いと言い張っているが若干怪しい所があり、作中でも「女性にだけ甘いのではないか」、「イレイナさんって女の子が好きなの?」等しばしばツッコミを受けており、その度に口ごもったり「は?ちょっと意味わかんないです」、「ちょっと意味わかんないです」と同じセリフを連呼して逃げたり枕にぺちぺち八つ当たりしたりする等、疑惑の深まる挙動をしてしまう。かわいい。
ちなみにアムネシアの見立てによるとイレイナは受け属性とのこと。
魔法について
故郷では天才と呼ばれ魔法の才能に溢れるが、それは親から受け継いだもの。この世界では生まれつき才能のない者は魔法が使えないため、イレイナの場合は親譲りの恵まれた才能を開花させたタイプ。「魔女」の中では実力は上の中辺りらしい。
色々な魔法を扱えるものの事件の規模や進行度によっては魔法でもどうにもならず、手に負えず心に影を落とすこともある。
しかし国中の魔法使いが束になってもどうにも出来なかったゴーレムを余裕の表情で一人で倒す、ということもしているため、「いや大分チートでは?」と思ってしまうような話もあるにはある。展開によって強い魔女として書かれていたり逆に明らかに弱体化していたりと、実力にムラが出がち。
あくまでも旅とイレイナを取り巻く百合が主体のラノベであり、魔法にほとんど細かい設定がない故に、読み込んでいると魔法に関しての矛盾や、世界観についてもおかしな点が見つかることも多い。
一度見かけた他人の技術を苦労することなくあっさり会得するなど吸収性が良く、魔法の手数が多い。開発方面でも優れているらしく、見習いの時点でフランが驚愕する様な新魔法を開発している。イレイナも自らを「つよくてかしこい魔女さん」と称し、作中でも賢い少女として描かれることが多い。
…のだが、数々の事件の解決方法を見ると割と穴だらけな作戦が多かったり、何より敵対した相手がかなりのポンコツであることも多く、「周囲があまりにも抜けているため、結果としてその世界では賢い人間でいられる」というキャラクターにも見えてしまう。
「機転が利く賢い才女」ではなく「魔法を使うことには秀でた少女」という方が正しいかもしれない。
猫アレルギーを治す薬を作ろうとしてネコ耳が生える副作用を生んでしまったりとドジも多い。
またせこい商売に活用しようとして魔法統括協会やお役所から叱られる事もある。
その他
- 『ありとあらゆるありふれた灰の魔女の物語』と言うエピソードでは、本編のイレイナに加えて、彼女とは別の選択肢を選んだ世界線のイレイナが全部で21人登場する。
- 初期案ではファミリーネームが設定されており、フルネームは『イレイナ・セレステリア』だったが、原作者が「魔女の旅々の世界観はファミリーネームは設定しない方がいいだろう」と思い直し、名前だけとなった。ちなみにセレステリアはイレイナが訪れる国名として流用された。
関連イラスト
関連タグ
サヤ(魔女の旅々) アムネシア(魔女の旅々) フラン(魔女の旅々) ヴィクトリカ(魔女の旅々)
生誕祭タグ
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