概要
「魔女の旅々」の挿話の1つ。原作3巻11章、アニメでは第9話全編。
ストーリー
「時計郷ロストルフ」にやってきた「灰の魔女・イレイナ」。しかし、金欠で食事にもあり付けない。そんなとき、彼女は偶然、高収入バイトのチラシを目にする。
金に目の眩んだイレイナは、依頼主という「薫衣の魔女・エステル」を訪ねる。
依頼の内容とは、時間遡行をするので、そのお伴をしてほしいというものだった。
言うには、「薫衣の魔女・エステル」には仲のいい幼馴染み・セレナがいた。しかし、彼女は10年前、殺人事件で孤児となり、引き取られたおじからも虐待を受けた。耐え兼ねたセレナはおじを殺害。以後、「二丁目殺人鬼」として、殺人を繰り返した。
そして、「薫衣の魔女・エステル」は、セレナを捕らえ、その首を刎ねた。
幼馴染みを助けることのできなかった後悔から、長い時間をかけて時間遡行の魔法を開発。悲劇の始まりとなった、10年前に行き、セレナが不幸にならない未来を新たに創ろうとしていた。
しかし、魔力が足りないため、帰還時の魔力を補うためにイレイナも一緒に来てほしい、というものだった。
依頼に乗った「灰の魔女・イレイナ」は、「薫衣の魔女・エステル」とともに10年前の「時計郷ロストルフ」へと向かう…。
登場人物
- 「灰の魔女・イレイナ」(CV:本渡楓)…主人公。金欠で途方にくれていたところ、「薫衣の魔女・エステル」の依頼に飛び付く。
- 「薫衣の魔女・エステル」(CV:内山夕実)…バイトの依頼主。殺人犯となってしまった、幼馴染みを助けるために時間遡行する際のお伴を、「灰の魔女・イレイナ」に依頼する。
- 「セレナ」(CV:楠木ともり)…「薫衣の魔女・エステル」の幼馴染み。「二丁目殺人鬼」と呼ばれ、幼馴染みのエステルに処刑される。
- セレナの父(CV:遠藤大智)、セレナの母(CV:渡辺明乃)…セレナの両親。10年前、強盗に殺害される。
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【以下、ネタバレ】
特徴
- 全体として陰鬱な雰囲気とクライマックスの徹底した暴力描写、そして虚無感がある凄惨で救いのないバッドエンドが特徴。
- 魔女の旅々はこれまでも後味の悪いバッドエンドがあったが、それは登場人物の日頃の行いや教訓を守らなかった、タブーを犯した故に起きたいわゆる「しっぺ返し」系の結末であるのに対し、この話のゲストキャラであるエステルは善意や親愛から来る動機であったためによりいっそう結末の悲惨さが際立っている。
- クライマックスのセレナ処刑シーンは原作でも衝撃的な展開だったがアニメでは演出がより過激になり、原作では首を折るに留めておいたシーンを更に首をもぐと言う深夜アニメでもギリギリの残酷な表現となった。またBD版では死体の切断面まで書き込まれている。
- またその他にもエステルが血を抜くために残した腕の注射痕など、生々しい描写が多い。
- アニメ版ではOPなしでアバンタイトルだけの導入で、エンディングはストーリーの結末に合わせたのか黒地でのロール形式のエンドクレジット等、映画的な試みがなされた。
- アニメ版では他の話と地続きになっているが、原作では「ありとあらゆるありふれた灰の魔女の物語」に登場した「粗暴なイレイナ」のみが体験した話。この話の事件の始終を見たイレイナがやさぐれて何も知らない他のイレイナに襲いかかると言う展開は原作通りだが、アニメ版の「主人公のイレイナ」は事件を経た上で何らかの出来事を通じトラウマを乗り越えたという設定に変更されている。
- 原作者の白石定規氏はエステルやセレナのキャラデザを気に入り、Twitterで遠回しに「素敵なデザインなのに悲惨な目に遭わせて申し訳ございません」という旨の発言をしたそうな。
余談
この回が放送された際、開始時に「この作品には一部刺激的な表現が含まれます。 児童および青少年の視聴には十分ご注意ください。」の但し書きがされた。