猪熊柔
いのくまやわら
概要
CV:皆口裕子
本作品の主人公。初登場当時の年齢は16歳(高校2年生)。
恋もおしゃれもしたい都立武蔵山高校に通う女子高生だが、実は祖父・滋悟郎から幼年期より柔道の手ほどきを受けた天才柔道少女。階級は48kg以下級。得意技は一本背負い。
その雰囲気からは柔道が強いようには見えず、転んだ時もわざと受身を取らないなど、実力をひた隠しにしていた。しかし、街でひったくり犯を巴投げしたことが日刊エヴリースポーツの記者である松田耕作にスクープされ、その後次第にその存在が知られてゆく。
その実力は天分の才も滋悟郎の指導もあるが、並の柔道部員では一日として実行できない練習を毎日欠かさず行っている(行わされている)こともある。
その普通でなさがコンプレックスで、柔道や実力の披露を極力避けていた。
段位は第1回クジTV(名前の由来はフジテレビから)杯柔道選手権大会直前に初段。
後に弐段になっている。
いでたち
12月8日生(原作の履歴書より)、世田谷区北下沢在住(同)。身長は小柄だと言われているが、一般女性より少し低いぐらい。初登場時は武蔵山高校1年生で、普通の女子高生を振る舞っていた。そのときは柔道は嫌いじゃないが、普通の女の子でいたいという思いが強く、あまり柔道をすすんでやらなかった。また、本阿弥さやかのコーチだった風祭に憧れており、彼とさやかの三角関係で、絶えず悩まされていた(松田はあまり相手にされていないようだったが、後々彼の記憶もしっかりと刻まれていたことが原作で解る)。転機が訪れたのは三葉女子短期大学で無二の親友、伊東富士子に出会ってからであり、背が伸びすぎてトゥシューズを履けなくなりバレリーナの夢を挫折した彼女の願いを受けて、柔道を厭がらず始めることを決意。また、入学試験の出来事以後、松田のことも気になり始めるが、取材対象としか見てくれていないのじゃないかというジレンマも抱えることに。
ソウルのワールドカップの後、自分のせいで父親が失踪した事実を知りショックを受け、また柔道をやめてしまうが、富士子が秘密裏に短大で柔道部を創設し、色々なきっかけで元に戻る。卒業後は中堅旅行代理店「鶴亀トラベル」に入社、OLとなるが、彼女が旅行代理店を選択した理由は、父親の行方を捜すことだった。その後、ふとした社内のクレーム処理などが原因で、父親がさやかのコーチになっていた事実を知ってしまい、とうとう大会をボイコットするほどショックを受けてしまう。だが、その後、自分を見守ってくれる松田の大切さに気づき、記者をやめてほしくない(見守っていてほしい)と彼の前で復帰宣言。バルセロナでは色恋沙汰で一悶着はあったが、最後には体重別、無差別級の二階級制覇の偉業を達成し、国民栄誉賞を受賞した。
人格
朗らかで情に熱く、涙もろい感動屋さん。だが、相当思い込みが激しいところがあり、簡単に弱みに付け込まれてしまう精神的な脆さもある(試合時とは無関係)。また、高校時はけっこう身勝手で、寧ろ自分のペースで周囲をかき回すタイプだったが、短大で富士子に出会ってからは周囲への気配りができるようになっている。
趣味は料理、ファッションで、特にサブタイトルにa fashionable judo girlとあることからも、コミックス表紙、OP、EDアニメなど全てに柔道着が登場したことはない。また、履歴書にはレコード鑑賞なども書かれていた。柔道以外のスポーツはほとんど経験ないが、当初所属していたゴルフサークルなどでスーパーショットを出している。
家族は祖父の滋悟郎と二人暮らしで、時々母親の玉緒が帰宅してくる。一方、父親の虎滋郎は自分が5歳の頃に巴投げで投げ飛ばしてしまったことで修行の旅に出てしまったと思い込み、そのため自分のせいで家族がバラバラになったことにトラウマを負っているとともに、父親に対して強いコンプレックスを抱いている。そのため、松田の顔、声が父親に似ていたことも、彼女が深層で松田を意識することになったきっかけ(最初のアパートのエピソードから彼女は父親の姿を重ねていることがわかる)。
恋愛は相当の奥手で自分から積極的にアピールできず、それが原因で簡単に恋敵の奸計に引っかかってしまう。その割に相手の気持ちに疎い天然要素に加え、他人を揺動する小悪魔的性格、加えてかなりヤキモチ妬きという困った要素満載。特に加賀邦子が登場してからは松田に対して裏腹な言動を返すことが多くなった(一方、風祭に憧れていた頃は、さやかに対して弱気な態度を返していた)。また、松田が自分を追いかけるのは取材目的じゃないかという疑念が晴れないことも、二人の恋仲が進展しない原因だったが、後に彼の仕事が人を元気づけることもあることを羽衣係長から教えられ、そのジレンマも拭い取られる。その後も周囲のせいで、色々ややこしいすれ違いが起きるが、最後には松田こそ自分を見守ってくれていた意中の人だと気付き、強く彼に想いを偲ばせるようになった。
柔道について
周囲から天才の名をほしいままにしているが、本人に全くその自覚はなく、また祖父のように地位、名誉欲もなく、他人に強さをひけらかしたりもしない。ただ、柔道一家の血筋なのか強い柔道家を相手にすると燃える本能は持っており、本当に強い相手は「強い」と認めている(劇中では「ジョディ・ロックウェル」「本阿弥さやか」「アンナ・テレシコワ」そして「フランソワーズ・マルソー」の4人だけ)。一方で、毎朝の習慣で、打ち込みや走り込みを祖父に言われずともしており、その強さは日頃の鍛錬の賜物である。劇中では無敗(不戦敗を除く)を誇ったが、必ずしも100%の実力を発揮できるわけではなく、特に父親のように見守ってくれる松田耕作の存在がないと、途端にプレッシャーを感じてしまい、本領を発揮できないようになっている。伝家の宝刀の得意技は祖父仕込みの一本背負いだが、ほかに抱え袖釣り込み、大外刈りなど技は多彩で、しかも技に入る感覚に天性の勘を持っている。また寝技も得意としており、特に相手の寝技を避けることに長けている。巴投げも持っているが、この技で5歳の時に父親を投げ飛ばしてしまい、失踪の元凶と思い込んでいるためトラウマを持っており、劇中で巴投げを披露したのは過去への訣別となったさやか戦のみである(ただし、後付け設定なのか初期でひったくり犯をパンチラで投げ飛ばした技でもある)。