概要
琉球王国を中心に信仰されてきた多神教。
日本本土の神道とは違う独特な形での信仰が伝えられているが、これは全く別の宗教とという訳ではなく、琉球神道は日本本土の神道の一つの分派、もしくは古代の日本の神道を今も尚色濃く残している宗教であると言われている。
また琉球の固有宗教は、個人的な幸福を祈願するのではなく、社会及びそれを支える生活や生産について祈願し祝福するもので、社会が平和になれば個人は幸福になれると考えたのだと言う。
御嶽(ウタキ)
村人の保護者であり支配者である神が住み給っているとされる場所。
御嶽は日本本土に見られる神社の原初的形態である神籬(ひもろぎ)に近い。
ノロとユタ
琉球神道において最も強い力を持っているのが、巫女である。
巫女は大きく分けて、琉球王国の中枢にほど近い権威的な存在であるノロと、民間に広く根付いたユタの二つに分けられる。
神
琉球における創造神である女神。シネリキヨとは夫婦神とされており、海にただよう島々に草や木をうえて琉球の国土を創成したといわれる。
一応、神話では夫であり男神シネリキヨと共に琉球を作ったとされるが、実際には、九割彼女が作った。ちなみに、沖縄では現在、経済的に自立した女性が多く、離婚率が高いとされる。
夫との間に3人の子をもうけ、それぞれが領主、祝女(のろ)、民のはじまりになるとされる。別名にアマミク、アマミキュ。
アマミキヨの夫にして、創造神の一柱。
しかし、神話ではほぼ活躍しない。
漢字では「君真物」と表記される。これは「最高の精霊」という意味である。
漢字表記は東方大主。ニライカナイの最高神。
世界
漢字表記で言うと後生。琉球におけるあの世のことであり、語感や意味から地獄のようなものを連想しがちだが、実際には天国やら地獄やら魔界やら何やらを含めたすべての意味でのあの世。
死者が行き、神となるとされる世界。また、琉球においては死後に人の魂が此処に行き、神となって舞い戻ってくるとされた。この世界は琉球の人々に様々なものを送る世界であり、多くの恩恵がこの世界からもたらされると信じられた。
こう書くと、天国のような清らかな場所を想像しがちだが、このニライカナイから送られてくるものの中には、疫病や災害、害虫などの禍も含まれており、決して単純な意味での天国ではない。
ニライカナイと同様に、琉球の神話における天国とされ、神々が存在する場所とされた。
ニライカナイとの違いとして、ニライカナイが庶民によって強く信仰された世界であるのに対して、オボツカグラは、琉球王国の政府によって広められた世界であること。