少女椿
しょうじょつばき
概要
両親を亡くして孤児となり、奇形の見世物たちがうごめく見世物小屋で働かされるはめになった薄幸の少女みどりの辿る数奇な運命を描いた、丸尾末広作のエログロ漫画である。「地下幻燈劇画 少女椿」という題名でアニメ映画化される。
「私はどのように生きたらよいでせう」
登場人物
おかっぱ頭が特徴の女の子。年齢は10代前半。
花売りをしながら病床に伏す母親と共に暮らしていたが、母親が亡くなり孤児となる。客として知り合っていた嵐鯉治郎を訪ねた事がきっかけで、見世物小屋の芸人にされてしまう。ワンダー正光が一座に来てからは人生がマシな方に傾き出す一方で他の芸人を化け物呼ばわりするなど性格が徐々にきつくなっていく。座長が金を持ち逃げして行方をくらまし座をワンダー正光とともに離れることになる。道中で弁当を買いに行った正光が強盗に刺殺されてしまい(このときみどりはバス停で正光の戻ってくるのを待っていた)、戻ってこない正光を探しに行くも見つからず同じ道をぐるぐる回る羽目になる。そんな中、正光を含めた赤猫座の芸人が賑やかな宴会を行っているのを見たみどりは半狂乱になり「死んでしまえー!!」と棒切れを拾い上げ振り回すが気づくとそこには誰もおらず、絶望のどん底に叩き落され泣き叫ぶ(物語はここで終わる)。
小人症の中年男性。鯉治郎が東京から呼び寄せた芸人であり、西洋手品の使い手。みどりを気に入り寵愛するが、彼女に対する独占欲も露わにしていく。今で言うこれ。座長が金を持ち逃げして行方をくらました際にはみどりとともに座を離れ旅をするも道中で弁当を買って待たせておいたみどりの元に戻る途中強盗に刺されて命を落とす。
見世物小屋「赤猫座」の芸人。両腕を失い、火傷した顔を包帯で覆った男性。怪我の理由は不明だが、代わりに足を手のように使うことが出来る。欠損・包帯・学ランなど数々の属性を持ち、作品の中でも高い人気を誇るキャラクター。みどりにいじめたことを謝る際に「本当は俺はお前のことが好きなんだ」と告白するところをワンダー正光に見られてしまい嫉妬され口に泥を塗る詰められ殺される。
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軽業や火吹き芸を行う芸人。黒髪のポニーテールが特徴。見た目は美少女だが、一人称は「俺」で生意気な性格。朝の起き抜けに自分の股間のナニを見せつけみどりをドン引きさせた。赤猫座の座長である鯉治郎に可愛がられている。鯉治郎が金を持ち逃げして自分を捨てて逃げた際には悔し泣きしながら髪を短く切り、みどりたちが出発する際「おーいみどり、さようならー!」と泣きながら笑顔で見送った。
蛇を生きたまま丸呑みする芸を行う芸人。妖艷な美貌とグラマラスな肉体を駆使し人間ポンプ赤座ら男の芸人のほぼ全員と人間関係を持つ。みどりのことは最初は邪険に扱うが多少なりとも難からず思っていたようで、みどりがワンダー正光と座を離れるときにはみどりの服装を「とってもかわいいよ」と褒め優しく門出を祝い見送った。
剣を丸呑みする芸を持つ隻眼の大男。紅悦と肉体関係を持ち紅悦いわく「体の割にせがれはちっこい」」らしい。最初はみどりに紅悦とともに性行為をするようせびるが紅悦に止められる。最初は邪険に扱ったもののみどりがワンダー正光と座を出る際には優しく門出を祝い見送った。
赤猫座の座長。人気のない駅の外で花を売っていたみどりに「困ったときは私を訪ねておいで」と優しい声をかけた山高帽のおじさんの正体。カナブンと肉体関係を持っていた。本性はケチで小心者の人間であったが芸人たちに比べてみどりへの扱いは穏やかでみどりが風邪をひいて熱を出したときは何もせず寝ておくよう優しく声をかけるなど一座の人間の中では常識人。最終的には一座のお金を持ち逃げして行方をくらました。肉体関係のあったカナブンも捨てて逃げた。
所収
単行本 青林工藝舎より
2003年初版発行 ISBN 4883791416